2023年02月08日
ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組「ロッチと子羊」。山口大学の小川仁志教授に世界の有名哲学者の考えを伝授してもらいながら、解決の糸口を探します。
この日、二人のもとを訪れたのは、自己PRがうまくできないと悩む就活生です。
※この記事は、1月12日(木)にEテレで放送された「ロッチと子羊」の一部を編集したものです。
ロッチ
コカドさん
どういう悩みがあるのか、教えてもらえますか。
自分の思いを上手く言葉にして伝えることができないんです。
大学3年生
嶋田さららさん
実業団に就職して空手を続けていきたいと考えています。
パリオリンピックでは正式種目から外れてしまったんですけど、その次のロスオリンピックの最終選考に空手が残っているので、そこを目指したいなと。
でもその前に自己PRが出来ないと実業団に入れてもらえないということですね。
昔から苦手やったんですか。
高校生の時に「今日こんな事があった」って母に伝えたあと「何の話?」って言われて…まったく伝わってなかったことがありました。
ロッチ
中岡さん
僕も伝える事とか上手じゃないんですよ。
主語を言わんとずーっとしゃべってる時あるしな。
だから僕は、何か伝えたい時は大きな声でゆっくりしゃべる。
それだけでだいぶ変わるような気がします。
哲学者
小川教授
それは、いいヒントだと思います。
小川仁志さん
哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。専門は公共哲学。商社マン、フリーター、公務員を経た異色の経歴の持ち主。市民のための「哲学カフェ」を主宰するなど哲学の普及に努めている。著書は『ジブリアニメで哲学する』『子どもテツガク』をはじめ100冊以上。
20世紀前半に活躍した日本の哲学者、木村素衛も似たような事を言ってるんです。
体と精神の関係について考えた人です。
体が関係するんですか?
大いに関係してくるんですよ。
「言葉も体も表現することでは同じ」ってどういうことですか?
ちょっと実験してみましょう。
中岡さんと嶋田さん、立ち上がって、今日初めて会ったという設定で会話をしてみてください。
どうも初めまして。
初めまして。
今、どこか体が動きませんでしたか?
初めましてって頭下げました。
自然に2人ともおじぎしましたよね。
あいさつは言葉と体を使った表現という例です。
つまり人間は、言葉と体の区別なく、それを使いながら表現をしてきたという事です。
なるほど。
しかも、嶋田さんはもうやってますよね。
あっ、空手?
そうです。嶋田さんは得意な空手では素晴らしい表現がもうできてるんですよ。
木村素衛は「表現するとは、内を外に現すこと」と説きました。
内を外に?
陶芸家で例えてみましょう。
陶芸家という主体が内、土という素材が外です。
表現とは、陶芸家がこんな器を作りたいというイメージを内に持ち、体を使って土という外の素材に働きかけて器を作ること。
これが「内を外に表す」ということです。
つまり表現と体は切っても切れない関係にあるってことなんです。
なるほど。
空手で言うと、嶋田さんという主体が体を使って技を作っていますよね。
だから嶋田さんは、自己PRをする際、ことばだけではなく、空手で使っている体の動きを足せばいいんですよ。
じゃあ、体を使った自己PRを練習してみましょう。
嶋田さん、空手の練習で工夫した事とか、克服した事を教えてもらえますか。
自分の持ち味のスピードの早い技を習得する為に、例えば1個の突きに対しても何回も何回もパーンッ!パーンッ!って突いて、練習したり。
また毎日の積み重ねを大切にしていて、股割も毎日やっています。
なるほど、なるほど。
話がスムーズに入ってきますね。
生き生きしてましたよね。
実際にちょっと動くぐらいの方が、言葉に心がこもるんですよね。
嶋田さん、どうでした?
言葉だけで説明するより、自分の思いはすごく伝わってる感じがしました。
就活だと、会社に入りたい強い思いも訴えないといけません。
そこであと1つ足りないものは何でしょうか。
表現する時の動き、言葉、情熱!
木村哲学にあった表現愛です!
それって何なんですか?
陶芸の名人は「何度も土に語りかけると、土からこういう形にしてくれ」という声が聞こえると言います。
つまり表現は一方通行ではなく、陶芸家が手を介して土と会話をしながら行うものなんです。
素材に何度も語りかけて、素材からの声に耳をすます。これが、木村の言う表現愛なんですよ。
自己PRでは素材が何かって事ですよね。
自己PRでは、話す内容が素材となるんですよ。
嶋田さんはどうして空手をやりたいんでしたか?
空手がロスリンピックの正式種目になる時に、自分が出場できるように。
オリンピックに出たい。そこで優勝したい。その素材に何度も語りかけるのが表現愛です。
じゃあ今度は、オリンピック出場という素材を心に思い浮かべて、自己PRに応用してみましょう。ちょっと高度ですよ!
やります!
押忍!
目を閉じて、情景を想像してもらいましょう。
嶋田さん、今あなたはロスオリンピックの会場にいます。周りはどうですか?
いっぱい観客がいます。
試合が始まりました。相手は世界の1位、2位を争う相手です。
嶋田さん、勝ちました!
さぁ表彰台で金メダルをかけて貰いました。どんなポーズします?ポーズしてください!
いいですね!
イメージできました?
はい!
そのイメージを持ったまま、思いっきり自己PRしてください!
嶋田さん、なぜ実業団で空手をやりたいのか、あなたの夢と強い思いを自己PRお願いします。
ロスオリンピックに空手の正式種目に入った時に、自分が出場して優勝するためです。
優勝したらどうしますか?
金メダルをかけて貰って、観客席に向かって手を振って、ガッツポーズして、メダル掲げて、深々とお辞儀をしたいと思います。
これ、すばらしいんじゃないですか。
嶋田さん、やってみてどうでした?
自己PRに苦手意識がありましたが、行動しながら言ってみたら、けっこう自信がついてきました。
それは良かった。
実際の面接も動いてやります?
実際はまだ分からないですけど、そういう気持ちは出していきたいです。
それでいいんですよね、先生。
気持ちが入ると、自然にパッと手が動く事もあると思いますよ。
たぶん自然に動けるようになると思います。
頑張ってください。
ありがとうございました。
「ロッチと子羊」 (Eテレ 木曜20:00~)
ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組。山口大学の小川仁志教授に世界の有名哲学者の考えを伝授してもらいながら、解決のヒントを探します。
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