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将棋 羽生善治九段が通算1434勝 歴代最多勝利を更新

将棋 羽生善治九段が通算1434勝 歴代最多勝利を更新

2019.06.04

将棋の羽生善治九段が、4日に行われた対局に勝って通算1434勝となり、大山康晴十五世名人が持つ勝ち数の歴代最多記録を27年ぶりに更新しました。

羽生善治九段(48)は4日、東京の将棋会館で八大タイトルの1つ、王位戦の挑戦者を決めるプレーオフに臨み、永瀬拓矢叡王(26)と対局しました。

羽生九段は先月23日の対局に勝って、プロ入り後の勝ち数が「1433」となり、大山康晴十五世名人が平成4年に達成した歴代最多記録に並んでいます。

4日の対局は、羽生九段が次第に主導権を握る展開となり、午後7時43分、133手までで永瀬叡王が投了しました。勝った羽生九段は通算1434勝となって大山十五世名人の記録を27年ぶりに更新し、歴代単独1位となりました。

羽生九段は昭和60年、15歳2か月でプロ入りし、平成8年に当時の七大タイトルすべてを独占する史上初の「七冠」を達成するなどトップ棋士としての活躍を続け、去年2月には将棋界で初めて国民栄誉賞を受賞しています。

「棋士として大変ありがたいこと」

終局後、羽生九段は記者会見に臨み、「ことしに入ってから記録に少しずつ近づいていることには気がついていたので、1つの目標としてやっていこうと思っていました。大山先生の時代とは時代背景もかなり違うので、比較することは難しいですが、数字の上ではひとつ先に行けたというのは棋士として大変ありがたいことだなと思っています」と改めて喜びを語りました。

そのうえで、勝ち星を積み重ねた要因について聞かれると、「毎局毎局、根気強くやっていくということは心がけています。負けることも結構あるので、修正や反省はしないといけませんが、ある程度終わったらきれいさっぱり忘れて次につなげていくことが長く続けていくうえで大切だと思っています」と話していました。

そして、タイトル通算100期まであと1つに迫っていることについて問われると、「最近は若手で非常に強い人がたくさんいる状況なので、タイトル戦に出るのも容易なことではないと思っている。今回の王位戦はここまで進むことができたので、またひのき舞台に立てるように頑張っていきたい」と意気込んでいました。

将棋界から祝福のコメントが続々と

日本将棋連盟の佐藤康光会長は「前人未到となる1434勝目、誠におめでとうございます。40代で新記録達成は驚異的であり、数字が全てを物語っているように感じます。体調にご留意され、今後とも末永いご活躍を祈念いたしております」とコメントしています。

1324勝と歴代3位の勝ち数を挙げておととし引退した加藤一二三九段は、「平成の世を常に最前線で闘い、他の誰をも寄せ付けぬ別格の御実績を残して来られましたが、令和の世にまたこうして、不断の努力、たゆまぬ研究心により、偉大なる記録を打ち立てられましたこと、心より御尊敬申し上げます」などと記しています。

現在の勝ち数が歴代4位で、羽生九段と名勝負を繰り広げてきた谷川浩司九段は「新記録達成おめでとうございます。先日私も対局しましたが、ますます『自在の境地』に達しておられると感じました。これからも将棋の無限の可能性を求めながら、勝ち星を重ねていかれることを願っています」とコメントしています。

歴代5位の中原誠十六世名人は「千里の道も一歩から。羽生さんの一局一局の積み重ねに感服いたします」とコメントしています。

また、高校生棋士の藤井聡太七段は「歴代最多勝の達成に心よりお祝い申し上げます。一局一局の積み重ねが1434勝という偉大な記録となり、これからも更に重ねていかれる事に深い感銘を覚えます」というコメントを寄せています。

タイトル通算100期をかけて

羽生九段は4日に勝ったことで、6日に行われる王位戦の挑戦者決定戦に進みました。

羽生九段はタイトルの獲得数を歴代1位の「99」まで積み重ねていますが、去年12月に当時ただ1つ保持していた「竜王」のタイトルを失い、現在は無冠となっています。

6日の挑戦者決定戦に勝てば王位戦の七番勝負の挑戦者となり、タイトル通算100期をかけて、豊島将之三冠に挑むことになります。

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