

去年に続き値上げラッシュとなる見通しの2023年。専門家によると、2023年度の家計負担はおよそ4万円の増加(22年度比)と試算されています。どう暮らしを守るのか、ポイントは3つ。
①家計負担はいくら?
②さらなる負担増の可能性!?
③私たちにできる対策は?
安藤キャスターが解説します。

2023年度の家計負担 約4万円増える?
まず、家計負担はいくらになるのか見ていきましょう。
2023年は4月までの4か月で7390品目の値上げが予定されています。具体的には冷凍食品、缶詰、調味料など暮らしに欠かせないものが値上がりする見通しです。

こうした値上げなどによって私たちの負担はいくら増えるのか。
「みずほリサーチ&テクノロジーズ」の酒井才介主席エコノミストの試算によると、22年度は21年度に比べ、年間で1世帯あたり9万6368円の負担増となります。
さらに来年度の23年度は、22年度に比べ3万9750円負担が増えると見込まれます。21年度との比較では10万円を大きく超える負担増となります。

電気代などを抑える政府の対策を加味しても、なお、これだけ負担が増えるという試算です。
さらなる負担増の可能性!?
そしてポイントの2つめです。家計負担はさまざまな要因でさらに増えたり、逆に減ったりする可能性があるのです。
負担が増えるとすれば、「想定以上に価格転嫁が進み値上げが加速する」場合が考えられます。
逆に負担が減るとすれば、「円高が進んで輸入物価が下がる」可能性が考えられます。
このうち価格転嫁について、酒井主席エコノミストは次のように指摘しています。
みずほリサーチ&テクノロジーズ 酒井才介主席エコノミスト
「日本の場合は、ほかのお店が値上げをすれば『じゃあウチも値上げしよう』ということで、同調的に値上げの動きが進むということが起こりやすいというのもあるので、来年度もこうした動きが広まることで、試算よりも物価がさらに上振れる可能性がある」
値上げを我慢することが限界に来ている企業が多いことは頭に入れておく必要がありそうです。
対策の一つに食品ロス削減
そしてポイントの3つめ。最大の課題が賃上げであることは間違いありません。そのうえで私たちにできる対策はあるでしょうか。
街頭で聞いてみると、節約の工夫を語る声が相次ぎました。
80代女性
「年金だけでは生活していけない。洋服を買わないようにしている」
50代男性
「月々のお父さんの小遣いが1万円ずつ減るんでしょうね。あとしぼるところはそれしかない」
専門家は対策として食品ロスの削減も挙げています。すでに意識して取り組んでいる人もいると思いますが、家庭や企業がそろってむだを減らすことで、お財布にも効果があるというのです。
酒井主席エコノミスト
「なるべく食べ残しをしないこと、むだに買いすぎない。こういった取り組みを通じて、まず1世帯あたり平均3000円程度、年間で支出負担を減らせる」
「もう一つは事業系の食品ロスというのもあって、例えば賞味期限が近づいてきてしまっている、あるいはちょっと傷ついてしまっているとか、こうした訳あり商品を買うことによって、1世帯あたり平均で3000円程度の支出負担を抑えられるというふうに計算している」
買いすぎを減らすことで年間3000円、訳あり商品などを買うことでさらに3000円、合わせて年間6000円の負担減になるとしています。最近は訳あり商品を扱うネット通販などもあり、利用できるのでは、ということでした。

価格転嫁の動きは、少なくとも23年の前半くらいまでは続きそうです。暮らしを守るために賃上げ機運を盛り上げる必要があるのはもちろん、できることに地道に取り組んでいくことも、今の時代に必要なのかもしれません。
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