“おにぎり”から見える物価高 飲食店やコンビニどう工夫

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身近な食品が次々と値上げされています。この物価高に食品を扱う企業がどう向き合おうとしているのか、「おにぎり」から探ります。

居酒屋から専門店へ業態転換 食材絞り経費減らす

茨城県常総市に9月にオープンした、おにぎり専門店。オーナーの倉持照男さんは10年間営業してきた居酒屋が物価高で赤字続きになり、悩んだ末、おにぎり店に業態転換しました。

「傷口を広げる前に決断しようと思った」と倉持さんは振り返ります。

居酒屋時代は、多くの食材を廃棄覚悟で調達していました。お酒に合った多様なメニューを準備するためです。

その食材が軒並み高騰し、経費が売り上げを上回って、毎月の赤字は50万円に上っていました。

そこで目を付けたのが、「お米」「しゃけ」「昆布」など食材の種類を絞れるおにぎりでした。食材の廃棄を抑え、経費を半分にできれば、利益を確保できると見込んでいます。

おにぎり店オーナー 倉持照男さん
「物価上昇の影響を受けながら今までやってきたことを続けるよりは、新しいことにチャレンジしたほうがいい」

コンビニおにぎり「190円の壁」突破 ごはん改革で付加価値

コンビニで主力のおにぎりもコスト高と無縁ではありません。大手コンビニチェーン「ファミリーマート」は9月、光熱費や輸送費などの高騰を受けて、おにぎりの価格を10円程度引き上げました。

値上げによる消費者の買い控えをどう抑えるか。力を入れたのが、ごはんの炊き方です。試食を重ねて粘りや甘みがより際立つ炊き方を研究しました。

炊きたてのごはんを見ると、「カニ穴」と呼ばれる穴があります。土鍋などで炊いた時にできるもので、お米の1粒1粒が芯までしっかり炊きあがったことを示しています。

ごはんの「カニ穴」。芯まで炊きあがったことを示している

火力と水加減の調整で、追加の資金をかけずに品質の向上を実現したといいます。

東京港区の本社で行われた戦略会議を取材すると、担当者が「(おにぎり1個)『190円の壁』というのがあったが、あえて200円のおむすびを投入した」と報告していました。

値上げ後の売り上げは、付加価値を高めたことで前の年を上回っているといいます。会議では「価格は10円程度上がったが、その分お客様も価値の部分が伝わって買っていただいている」との報告もありました。

大手コンビニチェーン 価格戦略・販売計画グループ 阿部大地 マネジャー
「価格が変わったところに対して、それ以上にお客様が(値上げしても)おいしくなったとか、どういう価値として満足を得られるか、特にそこに注力する」

おにぎり一つから物価高に対する企業の対応や工夫が見えてきます。
(経済部 記者 佐野裕美江、隈部敢)
【2022年10月5日放送】

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