中国 レアアース関連技術 輸出規制のねらいは?  【分かりやすく解説】

中国政府は12月21日、「レアアース」の関連技術の輸出を禁止すると発表しました。ほかにも、黒鉛など次々に輸出規制の対象を増やしています。ねらいは何なのか?渡部圭司キャスターが分かりやすく解説します。

レアアース・黒鉛… 次々と輸出規制

中国政府は、レアアースの関連技術の輸出を禁止すると発表したほか、12月1日からは
「黒鉛」の関連製品を輸出規制。8月には「ガリウムとゲルマニウム」の関連製品の輸出規制を実施しました。

これらは電気自動車(EV)や半導体などの製造に不可欠なものです。

「自己完結型サプライチェーン」目指す?

中国は何を目指しているのでしょうか。「自己完結型のサプライチェーン」ではないかという見方があります。

自己完結型のサプライチェーンとは、資源などの「上流」から、最終製品にいたる「下流」までのすべてを中国国内でつくるということです。

その目的としては、他の国が中国に対して輸出規制をしても問題がなくなることや、他の国が中国に依存する関係をつくれば抑止力にもなることが考えられます。すべて自国で完結する体制をつくろうというのです。

EVモーターに不可欠な高性能磁石 “自己完結”が進む?

具体的にはどういうことなのか、電気自動車のモーターなどに欠かせない、高性能な磁石のサプライチェーンで見ていきましょう。

磁石の原材料はレアアースで、「鉱山」から「精錬・加工」、「磁石製造」を経て、
最終的に「自動車」に使われる流れです。

「上流」にあたる鉱山と精錬・加工は、中国の企業に強みがあります。

そして、「中流」の磁石の製造は、もともと日本企業に強みがあります。
 
ところが、その技術が欲しかった中国は、日本企業と合弁会社をつくるなどして磁石製造の技術を身につけていきました。その結果この分野の日本企業の市場シェアはもともと高かったものの、今は2割にまで低下したといいます。

そして中国は今回、この磁石の製造技術の輸出を禁止しました。すでに十分な技術を
身につけたので、自国で囲い込む段階に入ったとも言えます。

そして最終的に「下流」の自動車製造も、EVでは中国企業が席けんしているのが今の状況です。

次はEV電池か

日本の政府関係者によると、中国が次に目指しているのが、EV電池のサプライチェーンだといいます。

電池の材料となる黒鉛の関連製品を輸出規制する一方で、ヨーロッパで中国企業がサプライチェーンをつくり上げようとしているというのです。

こうした中国の動きに対し、日本の政府関係者は「日本の強みの技術を特定して技術の流出を防ぐこと。半導体だけでなく重要な物資でも日米欧の連携強化が必要だ」と話しています。

【2023年12月27日放送】 
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