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欧米諸国からの経済制裁が続いているにもかかわらず、ロシア経済は2024年1月~3月のGDP=国内総生産が前の年に比べ5.4%伸びるなど、力強い成長が続いています。なぜなのか、背景を探りました。
マクドナルド跡のハンバーガーチェーンが人気
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首都モスクワの中心部にあるハンバーガーチェーン。アメリカの「マクドナルド」の事業を格安で買収したロシアのオーナーが経営しています。
牛肉のハンバーガーのメニューを見ると、「ビッグマック」にあたる「ビッグヒット」は日本円で約330円。手ごろな値段が受けて、店舗数は以前より多い890店に増え、1日当たり約190万人が来店するといいます。
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ソースの作り方やごまの色など細かい部分で違いはありますが、原材料は国内のサプライチェーンを引き継いだため、ほぼ同じ味の商品を提供できているとしています。
客の一人は次のように話しました。
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イケア元従業員が立ち上げた家具ブランド 1年で売り上げ3倍に
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外国のブランドの人気を利用しながら独自の進化を遂げようとしている会社もあります。家具店の「グッド・ラック」は3月、モスクワ市内のショッピングセンターに2号店をオープンしました。
このブランドは、事業を停止したスウェーデン発祥の「イケア」の元従業員が新たに立ち上げました。今はかつての勤務経験を生かした商品作りに取り組んでいます。
家具店 アントン・コルチン社長
「私たちは何年も多くの人に親しまれてきたものを引き継いだが、店の配置やウェブサイトのデザインは独自のものを取り入れ進化させている」
例えば子どもに大人気のサメのぬいぐるみは、コピー商品との批判を避けるためデザインのコンセプトを継承しつつ色を変えているといいます。
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ほかに、高さをわずかに変えた棚も好評だそうです。この会社の売り上げは1年で3倍になりました。
経済支える巨額の国防費
堅調な個人消費を支えるのが、軍需産業への財政出動で生まれた雇用です。賃金も上昇し、消費につながっています。
2024年のロシアの国防費は10兆8000億ルーブル(日本円で18兆円余り)と、2023年の当初予算の2倍以上に膨らみました。
戦時経済の体制が支えるロシア経済。専門家は、長引く戦争は人手不足を招き、景気の足を引っ張るおそれがあると指摘します。
コーネル大学 ニコラス・モルダー助教
「(軍事費の拠出は)ほかの支出を減らしているため当面は持続可能だ。ただ今後は、民間産業と軍事産業との間で労働力の振り分けを迫られるだろう。労働力の制約が成長率を押し下げる要因になるかもしれない」
外国企業が残した“財産”を活用するロシア。撤退した日系企業が残したインフラを使ってロシア企業が生産を始めたケースもあるということです。
こうしたケースでは、店舗網の整備や仕入れ先の開拓をいちから行う必要がなく、何よりも確立されたビジネスモデルを利用できるという有利な面があります。それが好調な経済につながっているのかもしれません。
(モスクワ支局長 野田順子)
【2024年5月23日放送】