「日本海東縁部」 短時間で到達する津波に注意
北海道沖から東北沖にかけての日本海側にある「日本海東縁部」。「日本海中部地震」「北海道南西沖地震」など、過去に大地震が起きている場所です。日本海側では陸地から近いところで津波が起きることが多く「強い揺れを感じたら、すぐに避難」が重要です。
2019年の防災関連ニュースなどで放送された内容です
目次
日本海東縁部 ひずみが集中
2019年6月18日夜、山形県沖でマグニチュード6.7の地震が発生、新潟県で震度6強、山形県で震度6弱を観測し、沿岸部に一時、津波注意報が発表されました。
地震調査委員会によりますと、この地震は北海道沖から新潟県沖にかけての「日本海東縁部」と呼ばれる活断層が帯状に存在する場所で発生しました。
この場所は北米プレートとユーラシアプレートが衝突している場所で「ひずみ」が集中しています。このため、過去にもマグニチュード7クラスの地震がたびたび発生しています。陸地に近い海底で地震が起きるため津波の到達まで時間が短く、津波の被害も相次いでいます。
10分以内に津波到達「日本海中部地震」
昭和58年(1983年5月26日)に発生したマグニチュード7.7の「日本海中部地震」では津波によって100人が犠牲になりました。秋田県男鹿市の海岸では、社会科見学の途中、昼食をとろうと訪れていた4年生と5年生の児童13人が津波に巻き込まれ犠牲になりました。
最大で10m近い高さとなった津波は、第1波が早いところで10分以内に到達しました。
数分で大津波到達「北海道南西沖地震」
平成5年(1993年)7月12日に発生したマグニチュード7.8の「北海道南西沖地震」では地震や津波による死者・行方不明者が230人に上り、震源地に近い北海道の奥尻島では198人が犠牲になりました。
奥尻島では、大津波が地震発生直後の数分間で襲来したと考えられています。
津波と液状化「新潟地震」
昭和39年(1964年)に発生したマグニチュード7.5の「新潟地震」では多くの死傷者が出ました。津波が発生したほか、液状化によって多くの建物が倒壊しました。
日本海側 地震の切迫度は?
日本海ではどの程度の確率で地震が起きるのでしょうか。
このうち「日本海東縁部」について地震調査委員会は30年以内にマグニチュード7.5から7.8の地震が発生する確率は3%~6%としています。最大で確率が90%以上ある太平洋側の地震に比べて低いと感じるかもしれませんが、活断層の地震として考えると最も高いSランクに匹敵します。
ほかの海底でも多くの活断層が
一方、同じ日本海でも北陸から九州北部にかけてはデータが少なく発生確率が出されていません。しかし、決して地震が起きないわけではありません。日本海側で起きる地震は繰り返し周期などがはっきりとせず、まだよくわかっていないことが多いからです。
下の図のように日本海には日本海東縁部以外の海底にも多くの活断層が確認されています。どこで地震が発生してもおかしくない状況なのです。
専門家も警告「揺れたらすぐ避難!」
活断層の地震に詳しい東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授は「太平洋側では津波警報が出てからの避難でも間に合うところが多いが、日本海の場合にはあっという間に津波が来るので、強い揺れを感じたらすぐに避難を始めてほしい」と注意を呼びかけています。
また、東京大学地震研究所の古村孝志教授は「日本海東縁部」では断層の角度が鉛直方向に近いような急な角度になることが多く、海底の変動が大きいため、地震の規模に比べて津波が発生しやすい特徴があると指摘しています。
古村教授は「日本海東縁部は東日本大震災を起こした日本海溝や南海トラフと同じように地震に注意が必要な場所だ。地震の規模が比較的小さくても津波起きやすいうえに陸地との距離が近いので数分で津波が到達する危険性がある。揺れを感じたら、速やかに避難することが重要だ」と指摘しています。
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