地震 知識

内陸直下 活断層による地震に警戒を

日本では「阪神・淡路大震災」や「熊本地震」など、内陸の直下にある活断層でも大地震が発生し、局地的に甚大な被害をもたらしてきました。政府の地震調査研究推進本部は、全国の活断層で地震が発生する危険度を、「S」や「A」などの4段階に「ランク分け」したうえで警戒を呼びかけています。

この情報は2022年1月に更新されました

目次

    活断層の地震とは

    活断層は日本の内陸や周辺海域にある断層で、地質調査などで繰り返しずれ動いて地震を起こしていたことが確認されているものをいいます。震源が比較的浅く、内陸で起きると阪神淡路大震災や熊本地震のように甚大な被害をもたらします。

    国は、このうち長さがおおむね20キロを超え、地震が起きた場合、社会や経済に大きな影響を与える114の活断層を「主要活断層帯」と認定して、重点的に調査や評価を行っています。

    周期的に発生する「海溝型地震」と違って、活断層の地震は発生間隔が数千年程度と長いため確率が大きな値になりません。2016年に熊本地震を引き起こしたとされる断層帯の一部の区間でも、地震の前、今後30年以内の発生確率が「ほぼ0%から0.9%」と評価され、危険性が正しく伝わらずかえって安心情報になったという指摘が出ていました。
    このため危険度は確率ではなく、4段階の「ランク」で分類されています。

    活断層の危険度ランク分け

    活断層による地震は、周期的に発生する「海溝型地震」と違って、発生間隔が数千年程度と長く確率が大きな値にならないため、危険度は4段階の「ランク」で分類されています。

    Sランクは?

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    全国の活断層(出展:地震調査研究推進本部)

    「Sランク」の活断層です。

    <北日本>

    ▽北海道にある「サロベツ断層帯」と「黒松内低地断層帯」。
    ▽山形県にある「新庄盆地断層帯」の一部区間。
    「山形盆地断層帯」の一部区間。
    「庄内平野東縁断層帯」の一部区間。

    <東日本>

    ▽新潟県にある「櫛形山脈断層帯」。
    「高田平野断層帯」の一部区間。
    「十日町断層帯」の一部区間。
    ▽富山県にある「礪波平野断層帯・呉羽山断層帯」の一部区間。
    ▽石川県にある「森本・富樫断層帯」。
    ▽神奈川県と静岡県にある「塩沢断層帯」。
    ▽神奈川県の三浦半島と周辺の海域にある「三浦半島断層群」の一部区間。
    ▽長野県と山梨県にある「糸魚川ー静岡構造線断層帯」の一部区間。
    ▽長野県にある「境峠・神谷断層帯」の一部区間。
    ▽長野県と岐阜県にある「木曽山脈西縁断層帯」の一部区間。
    ▽静岡県にある「富士川河口断層帯」の一部区間。
    ▽岐阜県にある「高山・大原断層帯」の一部区間。
    ▽岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」の一部区間。

    <西日本>

    ▽滋賀県にある「琵琶湖西岸断層帯」の一部区間。
    ▽京都府と奈良県にある「奈良盆地東縁断層帯」。
    ▽大阪府にある「上町断層帯」。
    ▽奈良県から和歌山県、兵庫県の淡路島の南、四国北部を通り、大分県に達する「中央構造線断層帯」の一部区間。
    ▽広島県と山口県の沖合にある「安芸灘断層帯」。
    ▽山口県と大分県の間の海底にある「周防灘断層帯」の一部区間。
    ▽山口県にある「菊川断層帯」の一部区間。
    ▽島根県にある「宍道(鹿島)断層」と「弥栄断層」、
    ▽福岡県にある「福智山断層帯」、
    ▽玄界灘から福岡平野にのびる「警固断層帯」の一部区間。
    ▽熊本県の「日奈久断層帯」の一部区間。
    ▽長崎県の「雲仙断層群」の一部区間。

    8活断層 阪神・淡路大震災前より切迫

    阪神・淡路大震災が起きる直前の発生確率は0.02%から8%で、現在の「Sランク」に当てはまります。

    全国114の主要な活断層のうち、2022年1月1日の時点で「Sランク」とされているのは31の活断層で、このうち「糸魚川ー静岡構造線断層帯」と「中央構造線断層帯」のそれぞれ一部区間、「三浦半島断層群」など合わせて8つの活断層帯では確率が8%を超え、阪神・淡路大震災の発生前より切迫度が高くなっています。

    また、次いで危険度が高い「Aランク」の活断層は全国に35あります。

    2016年に熊本地震を引き起こした「布田川断層帯」は、地震直前の評価で「Aランク」でした。

    “未知”の活断層で地震発生のケースも

    一方、2004年の新潟県中越地震や2008年の岩手・宮城内陸地震など、これまで知られていなかった活断層がずれ動いて地震が起きるケースも相次いでいます。

    2021年も主要活断層帯の確認されていない石川県の能登半島で地震活動が活発になっているほか、京都大学防災研究所の西村卓也准教授がGPSのデータから分析したところ、九州南部のうち、主要活断層帯のないエリアでも地震発生確率が高いということです。

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    国の地震活動評価にも携わる西村准教授は「活断層が近くにあれば地震のリスクが高いことは間違いなく、まずは確認してほしい。そのうえで活断層が見つかっていなくても地震が起きる可能性があることにも注意が必要だ。耐震補強を進めるほか、家具の転倒防止など身近なできる事から備えを進めていくことが重要だ」と話しています。

    特に切迫度が高いとされる8つの活断層帯

    2022年1月1日の時点で、「Sランク」に分類されている活断層は全国に31ありますが、このうち確率が、阪神・淡路大震災が発生する直前の8%を超え、特に切迫度が高いとされているのは、次の8つの活断層帯です。

    切迫度が高い順に、
    ▽「糸魚川ー静岡構造線断層帯」のうち長野県の区間
    ▽静岡県にある「富士川河口断層帯」
    ▽熊本県の「日奈久断層帯」の一部
    ▽長野県の「境峠・神谷断層帯」
    ▽「中央構造線断層帯」のうち愛媛県の区間
    ▽岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」
    ▽神奈川県にある「三浦半島断層群」
    ▽広島県と山口県の沖合の「安芸灘断層帯」となっています。

    活断層が引き起こす地震は、南海トラフや日本海溝などで起きるプレート境界型の地震と異なり、発生間隔が数千年程度と長いのが特徴で、今後30年以内の発生確率を計算すると、その値は小さくなってしまいます。

    ただ、確率が低く見えても、決して地震が起きないわけではなく、突然、大きな揺れが襲ってくることもあります。

    日頃からの備えを進めることが大切です。

    内陸地震のリスク明らかにする研究は

    内陸地震の調査は一般に、航空写真や掘削調査などを通じて活断層の位置や地震の履歴などを調べ、将来起こりうる地震の規模や発生間隔を推定し計算しています。一方で、過去の記録だけからすべてのリスクを明らかにするのは限界があり、2004年の新潟県中越地震、2008年の岩手・宮城内陸地震など、それまでは知られていなかった断層がずれ動く地震も相次いでいます。

    こうした中、別の手法で内陸地震のリスクを明らかにしようという研究も進んでいます。地殻変動が専門で京都大学防災研究所の西村卓也准教授は、大地の動きを捉えるGPSのデータから、地震を引き起こす「ひずみ」がどの程度蓄積しているのか分析し発生確率を算出しています。

    西日本を対象に分析を進めたところ、30年以内にマグニチュード6.8以上の大地震が起こる確率は、鹿児島県と宮崎県などの九州南部で31%~42%となりました。地震調査研究推進本部が同じ領域で活断層の調査に基づいて算出した発生確率は7%~18%で、2倍以上高くなる結果となりました。

    2021年にマグニチュード5.1の地震が発生した能登半島でも、地面が隆起する地殻変動が確認されていて、現在も継続しているということです。

    西村准教授は、活断層が見つかっていない場所でもひずみの蓄積が進んでいる可能性があるとみて対象を今後全国に広げ、分析を続けることにしています。

    西村准教授は「地震の発生確率を長期的に予測する手法はまだ発展途上で、さまざまな手法がある。GPSのデータも組み合わせて総合的に長期予測の精度向上に貢献できるように研究を進めていきたい」と話しています。

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