記録的短時間大雨情報とは? どう身を守る?

「キロクアメ」とも呼ばれる「記録的短時間大雨情報」。長くて覚えにくい名前ですが、過去を振り返ると、災害につながることが多いとても怖い情報です。情報の意味と、その時にどう行動すればいいのかまとめました。
目次

危険な「キロクアメ」と各地の発表基準
「記録的短時間大雨情報」は「数年に1度しか降らないような危険な雨が降っていて、災害の危険性が高まっているよ!」と警戒を呼び掛ける情報です。

発表される基準となる雨量は県ごとにことなりますが、だいたい100ミリ前後の猛烈な雨です。
気象庁 記録的短時間大雨情報の発表基準一覧(※NHKサイトを離れます)299人が死亡した1982年(昭和57年)の長崎大水害をきっかけに作られた情報です。
気象庁の発表文には、場所と時間、雨量だけが短く記載され、猛烈な雨が降った事実を少しでも早く伝えようという切迫感があります。
災害につながるサイン 過去を検証
「記録的短時間大雨情報」が怖いのは、災害との関係が強いからです。
2017年の九州北部豪雨では、福岡県朝倉市付近に合計15回の「記録的短時間大雨情報」が出て大きな被害が出ました。

静岡大学の牛山素行教授らの研究グループが、2016年9月~2020年7月までに発表された「記録的短時間大雨情報」について検証した結果…
▽情報が複数回出た自治体では8割余り
で、洪水や土砂災害など何らかの災害が発生していたということです。
「近年の記録的短時間大雨情報について」牛山素行教授らの論文(※NHKサイトを離れます)すぐに身の安全を確保して!
情報が出た時は、安全な場所で命を守ってください。
ただ、すでに大雨で周辺の状況が悪くなっている可能性があります。
✅まずは窓から外の様子を確認して下さい。雨の勢いが強くて周囲の様子が見えなかったり、すでに周辺の道路が冠水したり土砂災害が起きたりしている場合には、外に出て移動するのは危険です。
✅自宅の2階以上で、崖や斜面から離れた部屋に移動するなど、少しでも助かる確率の高い場所で過ごして下さい。また、マンションの上の階の人も、外に出るよりも建物の中にとどまった方が安全です。
✅周囲の様子を見て、まだ動けそうな場合には、近所にある鉄筋コンクリートの建物に移動すると安全性を高められます。
公的な避難場所に行こうと考える方もいると思いますが、移動する際に川や崖の近くを通る場合は、災害に巻き込まれる可能性があります。これまでの災害でも、避難中に犠牲になる人が相次いでいます。
遠くの避難場所ではなく、近場の安全な建物を目指すようにして下さい。
大阪放送局 災害担当記者 藤島新也

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