避難するとき 徒歩や車…ここに注意!

大雨や豪雨で周辺の状況が悪化する前に、早めに避難することが最も大切です。浸水する中で徒歩での避難は危険が伴います。川が氾濫すれば、車であっても簡単に流されます。歩いて避難するとき、車で避難するとき、命を守るためにこれだけは押さえていてほしいポイントです。
目次
歩いて避難 ここに注意!

長靴はNG 動きやすい服装で

避難する時は、ズボンをはくなど動きやすい服装で。けがをしないように、夏場でも長袖・長ズボンを。
足元は履き慣れたスニーカーに。長靴だと、中に水が入ると重くなって足を動かしにくくなります。ビーチサンダルなども脱げやすいので避けましょう。
非常持ち出し袋は、移動の負担にならないように、必要最小限にして、なるべく軽くしておく。転ばないように、リュックなどで背負い、なるべく両手を空けておきましょう。雨具は傘よりもカッパなどの身につけるタイプの方が安全です。
膝くらいの浸水で歩くのは困難に

避難するときは単独行動は避けて、できるだけ2人以上で行動し、冠水している場所は避けてください。浸水の深さが50センチ程度・大人の膝くらいの高さを超えると、水圧の影響で、成人男性でも歩くのが難しくなります。さらに、水に流れがある場合には、より浅い場所でも、簡単に足をとられて転倒し、流されてしまいます。
道路が冠水していると、足元を確認しにくいため、つまずいて転倒したり、蓋の開いたマンホールや側溝・用水路などに転落して流されたりする危険があります。やむをえず、冠水している場所を移動する時は、▽浸水の深い場所や流れのある場所を避け▽傘や長い棒などで足元が安全かを確認しながら慎重に進んでください。

車で避難 ここに注意!
車は簡単に流される
避難するときに「車だから大丈夫」と考えるのは間違いです。
2019年(令和元年)の台風19号では、屋外で死亡した人のうち4割が車での移動中に被害にあっていました。車ごと流されたり、陥没した道路に転落したりしています。
すでに雨や風が強まっている時には、車だからといって無理に出勤や帰宅をしないことが大切です。

川沿いの道路 田んぼ を避ける
川沿いの道路や田んぼのある地域はなるべく避けてください。
水があふれている場合、道路との境界線がわからなくなり、誤って転落する危険があります。氾濫した水で道路が削られたり陥没したりすることがあり、過去の災害では、気づかずに転落して犠牲になるケースもありました。
使い慣れている道であっても危険がないかを慎重に確認してください。
冠水した道路はできるだけ避ける
冠水した道路を走行するのは危険です。
たとえ、それほど深く浸水していないように見えても、実際には、かなり水がたまっている可能性があります。車が水没して動けなくなったり、流されてしまうこともあります。
路面の状況が確認できないと、陥没した道路や側溝、用水路などに気づかずに転落する危険性もあります。冠水した場所には安易に侵入せず、う回することを考えてください。
やむをえず冠水した道路を通らないといけない場合は、スピードを落とし、車間距離を十分に取りましょう。前の車の水しぶきで前方が全く見えなくなり、突然、前の車が停止すると追突する危険があるからです。また、スピードが速いと多くの水を巻き上げてしまい、エンジン内部に水が入って故障しやすくなります。
30センチ以上の浸水は危険
車が浸水すると、▽30センチ程度でエンジンが停止し、▽50センチ以上では車が浮いて流される危険があります。乗用車であれば、ドアの下の部分・車の床面がつからない程度までを目安にしてください。
ただし、浸水が浅かったとしても、川からあふれた水などで勢いがあれば、車は簡単に流されてしまいます。
車が浸水すると、水圧の影響で、ドアを開けることが難しくなります。ドアが大きくなると受ける水圧も大きくなるので、ドアが大きいタイプの車や、スライド式のドアの車も脱出が困難になります。
万が一に備えて、窓ガラスを割るための専用の工具を車に入れておくと安心です。工具が無い場合は、ヘッドレストの下の金属部分2本のうち1本をドアとガラスの隙間に差し込み、強く手前に引いてガラスを割ります。最悪の場合、車の中に大量の水が入り、外との水位の差が無くなればドアを開くことができる場合があるので覚えておきましょう。
アンダーパスに注意

線路や道路などの下を通る「アンダーパス」にも注意が必要です。
周辺より低くなっているため、大雨が降ると、短時間で一気に水がたまります。気づかずに車が入り込んで乗っていた人が死亡する事故もたびたび起きています。
避難するときは、アンダーパスはなるべく避けてください。やむをえず通る場合には、水がたまっていないか確認しながら慎重に進んでください。
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