大雪の原因 JPCZ=日本海寒帯気団収束帯とは

大雪の季節、「この言葉を聞いたら警戒!」ということばの1つが、「JPCZ」=「日本海寒帯気団収束帯」です。 初めて聞いたけど何?と思われるかもしれません。これは、わずか数時間のうちに大量の雪が降る、いわゆる「ドカ雪」につながる現象です JPCZがなぜ危険なのか、そして「危険な雪の降り方」を把握する手段をぜひ知ってください。
目次
"JPCZ"のメカニズムは
大雪の時「強い寒気と冬型の気圧配置の影響で…」とよく説明されますが北から強い寒気が南下すると朝鮮半島でいったん東西にわかれます。
ペクトゥ山などの高い山があるためです。
そしてその後、日本海側に近づいた時に再び合流します。

これを「JPCZ」=(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)日本海寒帯気団収束帯と呼びます。
発達した雲は筋状になり、長さは1000キロ程度に達します。
日本海の海水温は比較的高いため、大量の水蒸気が供給され、雪雲が特に発達します。
大雪になりやすい日本海側の山沿いだけでなく平地でも積雪が増えるほか雲が次々と流れ込むため、東海など太平洋側でも大雪になることがあります。
とどまると「ドカ雪」 JPCZで過去にも大雪の被害
この「JPCZ」は少しずつ位置を変えますが、とどまると「ドカ雪」になります。

2017年の2月にはJPCZが中国地方や近畿の日本海側付近にとどまって大雪となり、鳥取市では積雪が90センチを超えて記録的な大雪となりました。
鳥取県内ではおよそ250台が立往生したほか雪の重みによって港にあった漁船などが相次いで沈没しました。
また、2021年1月にはJPCZが若狭湾付近に停滞して大雪が降り続き、福井県の北陸自動車でおよそ1600台が動けなくなり解消までに2日以上かかりました。
天気図でも“JPCZ”の可能性がわかる
「JPCZ」ができそうな状況は天気図をみてもわかります。
2021年12月17日の天気図です。

東北や北陸の付近、等圧線が何本も「くの字」のようにくぼんでいるのがわかります。
こうした状況ではJPCZが形成され、平地にも大雪が降りやすくなります。
このとき、北陸ではわずか3時間に20センチほどの雪が降るなど、積雪が急激に増えました。
こうした天気図のときは、"JPCZ"に警戒が必要なことが多いのです。
気象庁HP「今後の雪」でも確認を

「どこに」「どの程度」雪雲がとどまりそうかを確認する方法もあります。
気象庁のウェブサイトでは、6時間先までの雪の予想が見られます。
気象庁「今後の雪」はこちら(NHKサイトを離れます)トップページの「大雨・大雪」のアイコンから「今後の雪」を選ぶと、降雪量や積雪の深さの予想を、6時間先まで確認することができます。
特に降雪量に注意です。
「3時間」や「6時間」の降雪量がオレンジや赤、紫に近づくほど危険な降り方になると思ってください。
「大雪の情報」も確認を
また、強い雪が降るエリアが変わらない場合も危険です。
北陸や近畿、中国地方などで3時間で20センチから25センチの雪が降りさらにその後の6時間で30センチから40センチの雪が降ると予想された場合などに、気象庁は「顕著な大雪に関する気象情報」を発表します。
大規模な車の立往生などのおそれが高まっていることを伝える情報です。
また、こうした大雪となっているときは「大雪警報」が発表されていることも多くあります。
帰省や旅行で遠出する予定もあると思いますが、予報や情報を具体的にチェックし、状況に応じてルートの変更のほか、予定そのものを変えることも検討してください。
メディア総局展開センター 災害担当 清木まりあ
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