変異ウイルス Q&A

全国で拡大している変異した新型コロナウイルスへの感染。特徴は?種類は?変異ウイルスの最新情報が分かるQ&Aです。

目次 ※ クリックすると各項目に移動 ※ タップすると各項目に移動

    Q.「デルタ株」の感染力、症状の重さ、ワクチンの効果は?

    A.
    新型コロナウイルスの変異ウイルスの1つで、世界中で猛威を振るっているのが「デルタ株」です。

    WHO=世界保健機関などによりますと、2020年10月にインドで初めて報告され、2021年4月以降のインドでの爆発的な感染拡大の原因の1つとみられていました。

    その後、世界中で確認されるようになり、WHOでは最も警戒度が高い「VOC=懸念される変異株」に位置づけています。

    「デルタ株」はウイルスの突起の部分にあたる「スパイクたんぱく質」の遺伝子に、「L452R」「P681R」などの変異があり、感染力の高まりに関わっているとされています。

    感染力の高さは?

    「デルタ株」の感染力については、従来のウイルスやイギリスで最初に確認された「アルファ株」などと比べて高まっているとされています。

    国内外の研究から、おおむね従来のウイルスに対して2倍程度、「アルファ株」に対しては1.5倍程度、感染力が高まっているとされています。

    またWHOによりますと、中国のグループの研究では、「デルタ株」に感染した人では体内のウイルスの量が従来のウイルスなどと比べて1200倍多かったということで、感染力の強さとの関連が指摘されています。

    国立感染症研究所が2021年8月16日時点で行った推計では、首都圏ではすでに感染全体の98%、関西や福岡、沖縄などでも90%以上を占め、各地でほぼ置き換わったとみられています。

    症状の重さは?

    「デルタ株」に感染した場合、症状が重くなるかどうかについてはまだ詳しく分かっていません。

    ただ、WHOでは入院に至るリスクが高まっているとしています。

    カナダのトロント大学のグループが、専門家のチェックを受ける前のデータとして2021年8月に示した研究では、20万人の新型コロナの患者を分析した結果、デルタ株は従来のウイルスなどに比べて、入院するリスクが2.08倍、ICUが必要になるリスクが3.34倍、死亡するリスクが2.32倍になっていたとしています。

    ワクチンの効果は?

    「デルタ株」に対するワクチンの効果について、WHOは2021年の7月27日の文書の中で、実験室レベルの研究では「デルタ株」に対してはワクチンによってできる中和抗体が少なくなるという結果が出ているとしました。

    ただ現在使われているワクチンは効果が非常に高いことなどから、これによって実際にワクチンを接種した際の効果自体が下がる訳ではないとしています。

    そのうえで、例えばアストラゼネカやファイザーのワクチンについては、感染を防ぐ効果や発症を防ぐ効果については「アルファ株」に比べて「デルタ株」では効果が下がる傾向があるものの、重症化を防ぐ効果に関しては「デルタ株」に対してもそこまで大きな差は無いか、もしくは全く差が見られなかったとしています。

    (2021年8月19日現在)

    目次に戻る

    Q.世界・日本での広がりは?

    A.
    WHO=世界保健機関は、感染力が強まる、感染した際の重症度が上がる、それにワクチンの効果が下がるおそれがある変異ウイルスを「懸念される変異株=VOC」に位置づけ、国際的に警戒するよう呼びかけています。現在、「VOC」として警戒が強められている変異ウイルスは4種類あります。

    イギリスで報告の変異ウイルス「アルファ株」

    イギリスで最初に見つかった感染力が強い変異ウイルス「アルファ株」は、2020年12月上旬に報告されましたが、その後行われたウイルスの解析から2020年9月20日にはこのウイルスに感染した人がいたことが分かっています。

    イギリスでは、2020年12月上旬には1日あたりの感染者数は1万人台だったのが、その後急増し、12月下旬には5万人台に、そして2021年1月に入ると6万人を超える日もありました。

    この増加の大きな要因は変異ウイルスによるものと見られています。

    この間、世界各地に広がっていて、WHOによりますと、2021年7月27日までにこの変異ウイルスが報告されている国や地域は182に上ります。

    国立感染症研究所によりますと日本国内でも2021年5月下旬の段階では各地で全体の90%以上が従来のウイルスからこの変異ウイルスに置き換わったとされています。

    南アフリカで報告の変異ウイルス「ベータ株」

    南アフリカで最初に見つかった変異ウイルス「ベータ株」は、2020年5月に初めて報告され、11月中旬に南アフリカで行われた解析では、ほとんどがこのタイプの変異ウイルスだったとみられています。

    WHOによりますと、2021年7月27日までにこの変異ウイルスが報告されている国や地域は131に上ります。

    日本国内では、2021年7月26日までに25人から検出されています。

    ブラジルで広がった変異ウイルス「ガンマ株」

    ブラジルで広がった変異ウイルス「ガンマ株」は、2021年1月6日、ブラジルから日本に到着した人で最初に検出されました。

    WHOによりますと、2021年7月27日までにこの変異ウイルスが報告されている国や地域は、81に上ります。

    ブラジルでは、北部のマナウスで2020年12月ごろまでに出現したとされ、WHOによりますと、ブラジルでは2021年3月・4月の時点では遺伝子を詳しく調べた検体のうち、83%に上ったとしています。

    日本国内では、2021年7月26日までに86人から検出されています。

    インドで報告の変異ウイルス「デルタ株」など

    WHOは、インドで見つかった変異ウイルスのうち、最も感染が拡大しているタイプの「デルタ株」を警戒度が最も高い「懸念される変異株」に位置づけて監視を強化しています。

    イギリスで行われた分析で、「アルファ株」と比べて感染力がさらに50%程度強く、従来のウイルスと比べるとおよそ2倍に上ると分析されています。

    WHOによりますと、このウイルスが報告されている国や地域は、2021年7月27日現在で132に上ります。

    インドでは、2021年4月ごろに爆発的に感染が拡大しましたが、多くの人が集まった宗教や文化の行事があったことと並んで変異ウイルスが拡大の原因の1つと考えられています。

    国立感染症研究所によりますと日本国内でも置き換わりが進み、東京都など首都圏では2021年7月下旬の段階でおよそ75%がデルタ株になっていて、2021年8月下旬にはほぼすべてが置き換わると推定しています。

    ほかの変異ウイルスも

    WHOが「懸念される変異株=VOC」や「注目すべき変異株=VOI」に位置づけていないものの、国立感染症研究所が独自に「VOI」に位置づけている変異ウイルスがあります。

    その1つが、2021年2月25日にフィリピンから日本国内に入国した人で確認された変異ウイルスで、感染力が高まる変異と、免疫の攻撃から逃れる変異があると報告されています。

    この変異ウイルスは「シータ株」と呼ばれ、WHOは一時「VOI」に位置づけていましたが、検出される割合が少ないとして2021年7月に「VOI」という位置づけを外しました。

    国立感染症研究所では2021年4月に「懸念される変異株」と位置づけましたが、フィリピンでも大幅な増加傾向を示さず、フィリピン以外でも拡大傾向を示していないとして、2021年6月、国内でも「注目すべき変異株」に位置づけを変更しました。

    世界各地では新型コロナウイルスの遺伝子配列がデータベースに公開されていて新たな変異ウイルスが次々に報告されています。

    WHOは各国に対し、ウイルスの広がりを見る調査や戦略的な検査、ゲノム解析などを通じて、対策を強化し続けてほしいとしています。

    (2021年7月28日現在)

    目次に戻る

    Q.変異ウイルス それぞれの種類の特徴は?

    A.
    WHO=世界保健機関は、感染力が強まる、感染した際の重症度が上がる、それにワクチンの効果が下がるなどの性質の変化が起こったとみられる変異ウイルスを「懸念される変異株=VOC」として、国際的に警戒するよう呼びかけています。

    また、感染力やワクチンの効果などに影響を与える可能性がある変異ウイルスや、国や地域を越えて見つかっている変異ウイルスなどを「注目すべき変異株=VOI」としています。

    WHOは特定の国への差別的な扱いを防ぐため、変異ウイルスをギリシャ文字で呼ぶよう提唱しています。

    WHOは2021年9月2日現在、「VOC」と「VOI」としてあわせて9種類の変異ウイルスを挙げています。

    このうち「VOC」とされた変異ウイルスは4種類あります。

    アルファ株

    イギリスで見つかった変異ウイルスの「アルファ株」は2020年12月上旬に初めて報告され、その後、世界中に広がりました。

    このウイルスには「スパイクたんぱく質」に「N501Y」と呼ばれる変異があることが分かっています。

    これは「スパイクたんぱく質」の501番目のアミノ酸がアスパラギン(略号N)からチロシン(略号Y)に置き換わっているという意味です。

    WHOがまとめた情報によりますと、この変異ウイルスは従来のウイルスに比べて感染力が強く、入院や重症、それに亡くなるリスクも高くなっているということです。

    一方で、ファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンの効果には大きな影響はないとしています。

    ベータ株

    南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスは、「ベータ株」と呼ばれています。

    2020年5月には発生していたとされ、11月中旬に南アフリカで行われた解析ではほとんどがこの変異ウイルスだったとみられています。

    「N501Y」の変異に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」という変異もあることから、ワクチンの効果への影響が懸念されています。

    WHOのまとめによりますとファイザーのワクチンとモデルナのワクチンについては、影響は「最小限にとどまる」とする研究から「相当程度低下する」とした研究まで幅があるとしています。

    ガンマ株

    ブラジルで広がった変異ウイルスは「ガンマ株」と呼ばれています。

    2021年1月6日、ブラジルから日本に到着した人で最初に検出されました。

    ブラジルでは2020年11月のサンプルで確認されていてWHOによりますと、2021年3月、4月の時点ではブラジルで遺伝子を詳しく調べた検体のうち、83%がこの変異ウイルスだったとしています。

    南アフリカで確認された「ベータ株」と同様に、「N501Y」に加えて抗体の攻撃から逃れる「E484K」の変異もあることが分かっています。

    WHOのまとめによりますと、ファイザーとモデルナ、アストラゼネカ、それぞれのワクチンについては、影響は「少なかった」とする研究から「中程度あった」とする研究まで報告されているとしています。

    デルタ株

    WHOはインドで見つかった「L452R」という変異が入った3種類の変異ウイルスのうち、最も感染が拡大したタイプを「デルタ株」と呼んで「VOC」としています。

    感染力は強まっているとされ、感染した場合に入院に至るリスクも高まっている可能性が指摘されています。

    ワクチンの効果について、WHOのまとめではファイザーのワクチンではウイルスを中和する効果への影響は無いかもしくは最小限だったという研究結果が示されています。

    「VOI」は「ミュー株」など5種類

    WHOが「VOI」に位置づけている変異ウイルスは5種類あります。

    このうち「イータ株」は2020年12月にイギリスで最初に確認された変異ウイルスです。

    「イオタ株」はアメリカ・ニューヨークで見つかった変異ウイルスです。

    「カッパ株」はインドで見つかった変異ウイルスで、「デルタ株」と同様に「L452R」の変異が起こっています。

    そして、「ラムダ株」はペルーで最初に報告された変異ウイルスです。

    WHOによりますと2021年6月15日時点で29の国や地域から報告されていて、特にペルーやチリなど南米で多く報告されているということです。

    感染力やワクチンの効果への影響などについてはまだよく分かっていないということです。

    「ミュー株」は2021年8月30日付けで「VOI」に位置づけられました。

    ミュー株は2021年1月に南米のコロンビアで初めて確認されました。

    WHOによりますと南米やヨーロッパで感染が確認されていて、特にコロンビアとエクアドルで増加傾向にあるということです。

    WHOによりますとワクチンなどで得られた免疫の働きが下がるという報告もあるということですが、 詳しい性質を確定するにはさらに研究が必要だということです。

    その他の変異ウイルス

    それぞれの国では各地の実情に合わせて独自に「VOC」や「VOI」となる変異ウイルスを決めています。

    日本でも国立感染症研究所が2021年9月2日時点でWHOの「VOC」となっている4種類の変異ウイルスをすべて「VOC」に指定しているほか「VOI」として「カッパ株」を指定しています。

    いずれも海外から入ってきたとみられていますが、詳しい起源は不明で、感染力は変わらないと考えられています。

    また、これらの変異ウイルスがワクチンの効果を完全に無効化するとは考えにくいものの、効果を低下させる可能性を考えると、感染状況を注視する必要があるとしています。

    世界では新型コロナウイルスの遺伝子配列がデータベースに公開されていて新たな変異ウイルスが次々と報告されています。

    WHOは各国に対し、ウイルスの広がりを見る調査や戦略的な検査、ゲノム解析などを通じて、対策を強化し続けてほしいとしています。

    (2021年9月2日現在)

    目次に戻る

    Q.これまでのウイルスと違いは?

    A.
    ウイルスは「細菌」とは違って単独では増えることができません。新型コロナウイルスもヒトや動物の生きた細胞の中に入り込み、細胞にある材料を使ってみずからの複製を作らせることで増えていきます。

    このとき、ウイルスの遺伝子が大量にコピーされます。

    ところが、何度もコピーを繰り返すうちに遺伝情報を受け持つRNAと呼ばれる物質の並びにごく小さなミスが起こります。

    これが「変異」です。

    新型コロナウイルスでは、感染を繰り返していくと2週間に1か所ほどのペースで小さな変異が起こることが、これまでの研究で分かっています。

    ただ、こうした変異は非常に小さいため、ほとんどの場合は、ウイルスの性質が変化するほどの影響はありません。

    ところが、小さな変異でも遺伝情報の重要な部分に起こってしまうと、ウイルスの性質が変わってしまうことがあります。

    ▽イギリスで確認された変異ウイルス
    ▽南アフリカで広がった変異ウイルス
    ▽ブラジルで広がった見つかった変異ウイルス
    これらはいずれも変異によって性質が変化した新型コロナウイルスです。

    この3つに共通しているのは、ウイルスの「スパイクたんぱく質」という部分の遺伝情報に変異が起こっていることです。

    このスパイクたんぱく質は新型コロナウイルスがヒトの細胞に感染する際の足場となる非常に重要な部分で、変異によって性質が変わったことでこれまでの新型コロナウイルスより感染しやすくなっていると考えられています。

    目次に戻る

    Q.インドで見つかった変異ウイルスとは?

    A.
    インドでは、2021年4月以降、新型コロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、その原因として宗教行事や政治の集会で多くの人が集まったことや、人との間に距離を置くなどの対策が十分取られなかったことと並んで、インドで見つかった変異ウイルスの影響があると考えられています。

    WHOによりますと、インドで2020年10月に初めて報告され、2021年4月後半までにインドで陽性となった検体のおよそ0.1%について行われたゲノム解析のデータでは、あわせておよそ28%が同様の特徴を持つ変異ウイルスだったとしています。

    懸念される変異株

    インドで見つかった変異ウイルスは3つのタイプに分けられますが、このうち、最も拡大している呼ばれるタイプについて、WHO=世界保健機関は警戒度が最も高い「懸念される変異株」に位置づけて監視を強化しています。

    この変異ウイルスはウイルスの突起の部分にあたる「スパイクたんぱく質」のアミノ酸が変化していて、主な変異として感染力が高まるのに関わるとされる「L452R」のほか、「P681R」という変異があります。

    WHOによりますと、このタイプが報告されている国や地域は、2021年6月1日現在で62に上ります。

    特定の国への差別的な扱いを防ぐため、WHOは変異ウイルスについてギリシャ文字による呼称を使うことを推奨していて、この変異ウイルスを「デルタ」と呼ぶよう推奨しています。

    この変異ウイルスの感染力について、イギリスの公衆衛生当局は、2021年5月7日、イギリスで見つかった変異ウイルスと同等の感染力があることが示唆される一方、これまでのところ、感染した際の重症度が上がったりワクチンの効果に影響が出たりするという証拠は確認されていないとしています。

    イギリスでの分析で、イギリスで見つかった変異ウイルスと比べてもさらに50%感染力が強いという試算もあり、数理モデルを使った感染症の分析が専門の、京都大学の西浦博教授は「イギリスで見つかった変異ウイルスより、感染性が高く世界中で置き換わる可能性が高い。イギリスのものが日本に侵入するのには2か月ほどかかったが、それによりも短いスパンで、突如として流行が始まり拡大すると考えられる」とコメントしています。

    また、ワクチンの効果について、イギリス政府が2021年5月22日に出した報告では、ファイザーのワクチンを2回接種した後、▼イギリスで見つかった変異ウイルスに対しては発症を防ぐ効果が93%だったのに対して、▼インドで見つかった変異ウイルスに対しては88%、アストラゼネカのワクチンを2回接種した後、▼イギリスで見つかった変異ウイルスに対しては66%だったのに対して、▼インドで見つかった変異ウイルスに対しては60%だったとしています。

    ほかの2つのタイプ

    インドで見つかった変異ウイルスのうち、ほかの2つのタイプは主な変異として「L452R」と「P681R」に加えて、「E484Q」という変異も含まれています。

    これらの2つのタイプについて、WHOは▼一部で拡大しているものの各国への波及は少ない1つのタイプを「注意すべき変異株」に位置づけていますが、▼もう1つのタイプについては報告が比較的少ないとして「懸念される変異株」にも「注意すべき変異株」にも位置づけていません。

    一方、新型コロナウイルスでは2つ以上の変異が同時に起こるのは珍しいことではなく、感染力などの性質にどの程度影響のある変異かどうかが問題となります。

    イギリスで最初に確認された変異ウイルスはスパイクたんぱく質に主なものだけでも5つ以上の変異があり、このうち感染力を高めるとされる「N501Y」という変異が問題となっています。

    また、南アフリカで見つかった変異ウイルスとブラジルで広がった変異ウイルスでは、「N501Y」に加えて免疫の効果が低下する可能性のある「E484K」の変異もあり、インドで見つかった変異ウイルスと同様に問題となる2つの変異を合わせ持つウイルスとなっています。

    (2021年6月2日現在)

    目次に戻る

    Q.これまでより感染しやすい?

    A.
    変異した一部の新型コロナウイルスは感染力が高くなる変異があり、国際的に「懸念される変異株」としてWHO=世界保健機関や各国は監視体制を強化しています。

    特に警戒されているのは
    ▽イギリスで最初に見つかった変異ウイルス
    ▽南アフリカで最初に見つかった変異ウイルス
    ▽ブラジルで広がった変異ウイルスです。

    いずれも「N501Y」と呼ばれる変異があり、ウイルスが人などに感染する際の足がかりとなる表面の突起部分が感染しやすいように変化していて感染力が高くなっていると考えられています。

    イギリスで報告のウイルス

    イギリスで最初に見つかった変異ウイルスは、2020年9月20日には感染した人がいたことが分かっていて、イギリスでは従来のウイルスから置き換わっています。

    WHOのまとめによりますと、この変異ウイルスの感染力は、43%から90%高くなっているとしています。

    WHOは、数理モデルを使った解析では、感染の指標の1つで、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」が、従来のウイルスに比べ、41%高いと推定されるとしています。

    また、国立感染症研究所が日本国内での感染力の強さを計算したところ、感染の広がりやすさを示す「実効再生産数」が従来のウイルスより平均で1.32倍、高くなっていたということです。

    WHOによりますと、2021年4月13日までに132の国と地域で感染が確認されています。

    南アフリカで報告のウイルス

    南アフリカで最初に見つかった変異ウイルスは、2020年8月上旬に発生したとされ、11月中旬に南アフリカで行われた解析では、ほとんどのケースがこの変異ウイルスだったとみられています。

    WHOによりますと、この変異ウイルスは従来のものと比べ感染力が50%高いとみられるとしています。

    また、数理モデルを使った解析では、従来のウイルスに比べ、「実効再生産数」が36%高いと推定されるとしています。

    2021年4月13日までに82の国と地域で感染が確認されています。

    このウイルスには「E484K」と呼ばれる体の中で作られる抗体の攻撃から逃れる変異もあるため、再感染するリスクが上がると考えられています。

    ブラジルで広がったウイルス

    ブラジルで広がった変異ウイルスは、ブラジルから日本に到着した人で2021年1月6日、最初に検出されました。

    ブラジルでは、北部のマナウスで2020年12月4日に最初に出現したと見られ、WHOによりますと、2021年3月にはブラジルで検査した検体のうち、この変異ウイルスは73%に上ったとしています。

    感染力は従来のものより高いとされ、WHOによりますと、数理モデルを使った解析では、従来のウイルスに比べ、「実効再生産数」が11%高いと推定されるとしています。

    2021年4月13日までに52の国と地域で感染が確認されています。

    このウイルスも南アフリカで最初に報告された変異ウイルスと同様に、抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があるため、再感染したケースが報告されています。

    (2021年4月15日現在)

    目次に戻る

    Q.日本での変異ウイルスの検査態勢は?

    A.
    国は変異ウイルス対策として感染者の40%について、変異ウイルスの検査を行うことを目標としています。

    変異ウイルスかどうかを調べるには、遺伝情報にこれまでの新型ウイルスとは違う「変異」があるかどうかを調べる必要があり、現在は、主に2つの方法が使われています。

    まず、次世代シーケンサーと呼ばれる最新の機器を使ってウイルスの遺伝情報を司るRNAの配列をすべて調べる方法です。

    この方法では、ウイルスにどんな変異が起きているのか、詳細に特定することができます。

    ただ、検査結果が出るまでに数日かかる上、検査ができるのは、大学などの専門の研究機関以外では、国立感染症研究所や一部の自治体の地方衛生研究所などに限られています。

    もう一つは、現在、問題となっている3つのタイプの変異ウイルスに共通するRNAの配列があるかどうかをPCR検査で調べる方法です。

    こちらは、従来のPCR検査の設備がそのまま使えるため全国の地方衛生研究所で検査することができ、結果も数時間で出ます。

    国はこの方法を使って全国で変異ウイルスの広がりを監視するスクリーニング検査を行う体制整備を進めています。

    ただ、この方法では現在のところ、変異ウイルスがイギリスで確認されたタイプ、南アフリカで確認されたタイプ、それにブラジルで広がったタイプのどれに当たるかまでは調べることができません。

    このため、PCRで変異ウイルスが見つかった場合でも国立感染症研究所に検体を送るなどして更に詳しくゲノム解析を行っています。

    こうしたことからPCR検査の試薬を改良したり、ゲノム解析の方法を工夫したりしてより詳しく、より効率的に変異ウイルスを検出するための手法や技術の開発が進められています。

    (2021年4月1日現在)

    目次に戻る

    Q.子どもの感染リスクは?

    A.
    変異ウイルスについては、国内外の専門家から、現時点で子どもで特にリスクが高くなるというデータはないとする見解が示されています。

    日本小児科学会は変異ウイルスについての見解をウェブサイトに掲載しています。

    それによりますと、変異ウイルスはこれまでのウイルスに比べ、ほかの人へ感染させる力が強いことが知られているとしたうえで、イギリスで流行が始まった変異ウイルスについて「国内では子どもが集まる施設で、この変異株によるクラスターの報告がされ、多くの子どもが感染しています。ただ、変異株がすでに広がっている英国ロンドンでは、変異株による感染は、特に子どもに多いということはなく、成人と子どもの感染者の割合は変異株の出現した前後で大きく変わっていません」と指摘しました。

    そして「子どもでは感染者の多くが無症状から軽症で、既存株でも変異株でもその違いはありません。頻度の高い症状としては、発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛などがあげられます。変異株が子どもにより重い症状を引き起こす可能性を示す証拠はこれまでに得られていません。変異株への対策は、これまでと変わりはありませんが、特に感染力が強いウイルスは、感染対策がうまくできない小さな子どもへの感染の広がりが心配されています。今後、国内での変異株の広がりと、子どもの感染者について慎重に見ていく必要があります」としています。

    またWHO=世界保健機関も子どもが変異ウイルスに感染しやすいとは言えないとしています。

    イギリスで広がった変異ウイルスは、子どもを含むすべての年代で感染しやすくなっていて、ほかの年代に比べて子どもたちのリスクが高いということはないとしたうえで、WHOの専門家は、この変異ウイルスの感染が広がった時期には、イギリスでは学校の休校措置が取られておらず、子どもたちの間で感染が広がったと見られると説明しています。

    そして変異ウイルスに関する研究は現在進められている途中だとしながらも、イギリスでの研究からは子どもたちがこの変異ウイルスに特に感染しやすいものではないとしています。

    目次に戻る

    Q.ワクチンの効果は?

    A.
    WHO=世界保健機関がまとめている情報によりますと、イギリスで報告された変異ウイルス「アルファ株」ではファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンの効果には、ほとんど影響しないとしています。

    一方、南アフリカで最初に報告された変異ウイルス「ベータ株」や、ブラジルで広がった変異ウイルス「ガンマ株」については、抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があることから、ウイルスの働きを中和して抑える効果が下がるとする研究が出されています。

    インドで見つかった変異ウイルスのうち、最も拡大している「デルタ株」に対するワクチンの効果については、WHOはまだ報告が限られているとしながらも、発症を防ぐ効果が下がる影響はファイザーのワクチンとアストラゼネカのワクチンではほとんどないとしているほか、ウイルスの働きを抑える中和抗体の量についてもファイザーのワクチンとモデルナのワクチンでは一定程度下がるものの、十分な量があるとしています。

    イギリスで報告のウイルス

    WHO=世界保健機関がまとめている情報によりますと、イギリスで報告された変異ウイルス「アルファ株」ではファイザーやモデルナ、それにアストラゼネカのワクチンの効果には、ほとんど影響しないとしています。

    このうち、ファイザーのワクチンについてはイスラエルで発症を防ぐ効果が94%、感染を防ぐ効果も92%だったなどとする論文が出されていて、分析の対象となった期間にこの変異ウイルスが流行していたことから効果があることが示唆されるとしています。

    モデルナのワクチンについて、会社などが医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した論文によりますと、細胞の実験ではこの変異ウイルスに対する効果に目立った変化はなかったとしています。

    また、アストラゼネカのワクチンについてオックスフォード大学などのグループが医学雑誌「ランセット」に発表した論文によりますと、この変異ウイルスに対するワクチンの有効性は70.4%だったとしています。

    南アフリカで報告のウイルス

    南アフリカで最初に報告された変異ウイルス「ベータ株」については、抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があることから、ウイルスの働きを中和して抑える効果が下がるとする研究が出されています。

    WHOのまとめによりますと、ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンについては、抗体の働きを示す値の低下が最小限にとどまるとする研究から、相当程度低下するとした研究まで幅があるとしています。

    ファイザーが2021年4月1日に発表したプレスリリースによりますと、南アフリカで行われた臨床試験では、発症を防ぐ効果は100%だったとしたうえで「南アフリカで流行している変異ウイルスに対して高い有効性が見られた」としています。

    また、モデルナも細胞の実験で抗体の働きを示す値はおよそ6分の1になったものの、ワクチンとして必要なレベルは上回っていたとしています。

    一方で、アストラゼネカのワクチンについて、南アフリカの大学などのグループが「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した論文によりますと、臨床試験で、この変異ウイルスによる発症を防ぐ効果は10.4%で、効果は見られなかったとしています。

    ブラジルで拡大のウイルス

    ブラジルで広がった変異ウイルス「ガンマ株」も抗体の攻撃から逃れる「E484K」と呼ばれる変異があることから、ウイルスの働きを中和して抑える効果が下がるとする研究が出されています。

    WHOのまとめによりますと、ファイザーとモデルナ、アストラゼネカ、それぞれのワクチンについて抗体の働きを示す値の低下は少なかったとする研究から、中程度あったとする研究まで報告されているとしています。

    ファイザーは、ワクチンを接種した人の抗体を使った細胞レベルでの実験でウイルスの働きを抑える効果はほぼ変わらなかったとしています。

    モデルナは、細胞の実験で抗体の働きを示す値はおよそ3分の1になったものの、ワクチンとして必要なレベルは上回っていたとしています。

    インドで報告のウイルス

    インドで見つかった変異ウイルスのうち、最も拡大している「デルタ株」に対するワクチンの効果について、WHOはまだ報告が限られているとしながらも発症を防ぐ効果が下がる影響はファイザーのワクチンとアストラゼネカのワクチンではほとんどないとしているほか、ウイルスの働きを抑える中和抗体の量についても、ファイザーのワクチンとモデルナのワクチンでは一定程度下がるものの、十分な量があるとしています。

    このうち発症を防ぐ効果について、イギリス政府が2021年5月22日に出した報告では、イギリスで確認された変異ウイルス「アルファ株」に対してファイザーのワクチンを2回接種したあとでは93%、アストラゼネカのワクチンを2回接種したあとでは66%だったのに対して、インドで確認された変異ウイルス「デルタ株」に対しては、ファイザーのワクチンは88%、アストラゼネカのワクチンは60%だったということで「2回の接種で十分な効果が得られる」としています。

    (2021年6月16日現在)

    目次に戻る

    Q.呼び方は「変異種」?「変異株」?

    A.
    2021年4月1日現在、問題となっている新型コロナウイルスの変異ウイルスは2020年12月にイギリスで見つかりました。

    変異ウイルスは英語では新型コロナウイルスの「variant」(バリアント)と表記され、これを日本語訳する形で国内では「変異種」や「変異株」、「変異型」などなどさまざまな呼び方がされてきました。

    これについて2021年1月に日本感染症学会が報道機関に対して見解を示しました。

    それによりますと、今回の変異ウイルスは遺伝情報がの一部が変異して、性質の一部が変化しているもののウイルスの種類が変わったわけではなく、同じウイルスのバリエーションだということで、「変異種」というのは学術的には誤った呼び方になるということです。

    学会によりますと、本来は「変異株」と呼ぶべきだということで、ほかには「変異ウイルス」という呼び方も許容範囲だとしています。学会では正しい用語を使うよう報道機関に呼びかけています。

    なお、NHKでは、「変異ウイルス」と「変異株」という表現を使っています。

    (2021年4月1日現在)

    目次に戻る