Q.「デルタ株」の感染力、症状の重さ、ワクチンの効果は?

A.
新型コロナウイルスの変異ウイルスの1つで、世界中で猛威を振るっているのが「デルタ株」です。

WHO=世界保健機関などによりますと、2020年10月にインドで初めて報告され、2021年4月以降のインドでの爆発的な感染拡大の原因の1つとみられていました。

その後、世界中で確認されるようになり、WHOでは最も警戒度が高い「VOC=懸念される変異株」に位置づけています。

「デルタ株」はウイルスの突起の部分にあたる「スパイクたんぱく質」の遺伝子に、「L452R」「P681R」などの変異があり、感染力の高まりに関わっているとされています。

感染力の高さは?

「デルタ株」の感染力については、従来のウイルスやイギリスで最初に確認された「アルファ株」などと比べて高まっているとされています。

国内外の研究から、おおむね従来のウイルスに対して2倍程度、「アルファ株」に対しては1.5倍程度、感染力が高まっているとされています。

またWHOによりますと、中国のグループの研究では、「デルタ株」に感染した人では体内のウイルスの量が従来のウイルスなどと比べて1200倍多かったということで、感染力の強さとの関連が指摘されています。

国立感染症研究所が2021年8月16日時点で行った推計では、首都圏ではすでに感染全体の98%、関西や福岡、沖縄などでも90%以上を占め、各地でほぼ置き換わったとみられています。

症状の重さは?

「デルタ株」に感染した場合、症状が重くなるかどうかについてはまだ詳しく分かっていません。

ただ、WHOでは入院に至るリスクが高まっているとしています。

カナダのトロント大学のグループが、専門家のチェックを受ける前のデータとして2021年8月に示した研究では、20万人の新型コロナの患者を分析した結果、デルタ株は従来のウイルスなどに比べて、入院するリスクが2.08倍、ICUが必要になるリスクが3.34倍、死亡するリスクが2.32倍になっていたとしています。

ワクチンの効果は?

「デルタ株」に対するワクチンの効果について、WHOは2021年の7月27日の文書の中で、実験室レベルの研究では「デルタ株」に対してはワクチンによってできる中和抗体が少なくなるという結果が出ているとしました。

ただ現在使われているワクチンは効果が非常に高いことなどから、これによって実際にワクチンを接種した際の効果自体が下がる訳ではないとしています。

そのうえで、例えばアストラゼネカやファイザーのワクチンについては、感染を防ぐ効果や発症を防ぐ効果については「アルファ株」に比べて「デルタ株」では効果が下がる傾向があるものの、重症化を防ぐ効果に関しては「デルタ株」に対してもそこまで大きな差は無いか、もしくは全く差が見られなかったとしています。

(2021年8月19日現在)