干し柿を加工して「エナジーバー」を開発しよう―。山形県鶴岡市の柿農家たちの取り組みから、地域の特産品を使って、オリジナルの価値や特徴を持つ“オンリーワン”の商品を生み出すヒントを探ります。
干し柿のほかには? “新たな付加価値”を試行錯誤
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山形県庄内地方の伝統的な特産品、干し柿。この干し柿を使って新たな商品が開発されました。手軽に栄養補給ができる「エナジーバー」です。
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このエナジーバーを開発したのは、鶴岡市の佐久間麻都香さんです。大学で農業を学んだ佐久間さんは10年ほど前、研修中に、高齢で廃業を考えている柿農家と出会い、柿の生産を引き継ぎました。
地元の農業を守るために付加価値の高い特産品が必要と考えて、柿の葉のお茶作りなどにも挑戦しましたが、干し柿以上のものはできませんでした。
佐久間麻都香さん
「いろんな方がやり尽くしてきたんだろうなというのを私がたぶん繰り返してきたので、同じようにつまずいていたのかな」
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「干し柿はまさにドライフルーツ」
佐久間さんは5年前、地元のスタートアップ企業で働くオランダ人のデイビット・リップスさんと出会い、付加価値の高い特産品作りのヒントをもらいました。
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海外では、運動や仕事の合間に手軽に栄養をとろうと、ドライフルーツやナッツなどを使ったエナジーバーが普及しているというのです。
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干し柿はまさに「ドライフルーツ」。これから市場が広がりチャンスなのではと考えました。
佐久間さん
「昔からあるものを新しいかたちに生まれ変わらせるところにも面白さを感じている」
「使いみちない」かたい干し柿を活用
エナジーバー作りは未知の分野への挑戦でしたが、支えになってくれたのが仲間の柿農家でした。水分が抜けすぎて、かたくなってしまった干し柿を格安な値段で譲ってもらえることになったのです。
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実はこのかたさがエナジーバー作りには最適で、佐久間さんが求めていたものでした。
柿農家 佐藤憲夫さん
「使いみちが正直ないもんだから、自分のほうもありがたい」
生産拠点は空き店舗 初期投資抑える
エナジーバーの生産拠点に選んだのは、郊外の空き店舗です。格安で貸してもらえたことで初期投資を大きく抑えることができました。
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今では毎月6000個ほどを生産していて、地元のほかに首都圏の大手コンビニなどで販売が始まっています。
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海外からも問い合わせが
さらに問い合わせは海外からも来ていて、香港の食品卸企業と現地での販売を商談中です。
佐久間さん
「この(干し柿という)食べ方を見つけ出した人にすごく感謝というか、素晴らしいものだなあと。付加価値をつけていろんな方の手に取ってもらえたらなあと思う」
佐久間さんたちは現在、包装を改良して賞味期限を延ばせるように試験中だということで、成功すれば輸出の可能性がさらに広がるかもしれません。
(NHK山形 鶴岡支局 志子田仁人)
【2023年12月1日放送】
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