海外で販路を拡大したいけれど、自力では難しい―。そうした地方企業と海外のバイヤーを直接つなごうと、鳥取県で地域商社を起業した中国出身の社長が奮闘しています。
鳥取の特産品を海外に
鳥取県北栄町で行われた商談会。地元・鳥取の企業が香港のバイヤーに、特産品のしょうがを使ったアメやシロップを売り込みました。
この商談会を開いたのは、中国出身の胡敏(こ・びん)さんです。鳥取で海外への販路拡大をサポートする商社を営んでいます。
地域商社 社長 胡敏さん
「いいものが、この地にたくさんある。自信を持った商品をどんどんPRして市場に持っていけたらいいなと思っている」
コロナが転機 地域商社を起業
胡さんは23年前、国際交流員として鳥取県に派遣され、香港便や上海便の誘致などインバウンド事業を手がけてきました。
転機となったのは新型コロナの流行です。国際交流員の仕事がすべてストップしたのです。
胡さんは鳥取の力になりたいと、知識や人脈を生かしてビジネスマッチングを行う会社を起業し、酒や化粧品など10社以上の商品の輸出をサポートしてきました。
胡さん
「私の夢、理想は、“人と人をつなぐ”、“鳥取と世界をつなぐ”」
「商社が入ることで輸出のハードルを越えられる」
鳥取県倉吉市のコメ販売会社は、胡さんの仲介でコメの輸出を始めました。この企業は国内でのコメの消費量が減る中、海外への販路拡大が課題でした。
コメ販売会社 営業部長 松井洋一さん
「輸出は、英語なり中国語なりハードルが高くて…」
この企業と香港のバイヤーを胡さんがマッチングしたところ、この企業が販売しているコメが香港の食品イベントで注目され、現地のスーパーマーケットなどで売り上げを伸ばしたのです。
香港のバイヤー
「私たちは、香港ではまだ有名でないコメの産地の、オリジナルのコメを探していた。香港で販売するのにぴったりだと思った」
コメ販売会社 松井さん
「間に商社が入ることで(輸出の)ハードルを越えられる」
胡さんは今後、事業を通じて地域を活性化することが目標だといいます。
胡さん
「海外への輸出が増えれば、地元の方にとっては雇用が増える。ビジネスマッチング事業を通して、より鳥取を元気に。元気なまちになっていただきたい」
海外からの観光客の中には、リピーターを中心に「次は日本の地方に行きたい」という人も多く、地域の特産品を知ってもらうチャンスとみられます。また最近は、各地の自治体が海外のネット通販サイトに特設ページを開設して特産品を売り込む動きも出ています。特産品の魅力をアピールして地域活性につなげることが期待されます。
(鳥取局 市来秋果)
【2023年11月29日放送】
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