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日本の北海道など世界各地で5月にオーロラが見られた背景には、太陽の表面で起きた「太陽フレア」と呼ばれる巨大な爆発現象がありました。
海外では太陽フレアが経済活動に影響を及ぼすケースも出ていて、対策が進められています。
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トラクターのGPS 突如動かず
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アメリカ中西部・ミネソタ州の農家、パトリック・オコナーさんは、GPSを活用した自動運転のトラクターを使ってトウモロコシを栽培しています。
しかし5月の種まきの日、GPSが突如動かなくなり作業ができなくなりました。販売会社に問い合わせたところ「太陽フレアが原因」と言われました。
農家 パトリック・オコナーさん
「農家としてなすすべはない。GPSに頼るしかないから」
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2024年は太陽活動が活発
GPSを動かなくしたとみられる太陽フレアは、太陽の表面で起きる巨大な爆発現象です。
爆発で電気を帯びた大量の粒子などが地球に飛んでくることで、GPSや短波の無線通信が影響を受ける可能性があります。
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太陽は約11年の周期で活動が強まるとされていて、2024年は活発な時期にあたります。
衛星打ち上げ・電力にも影響
太陽の活動が活発なことで、さまざまな影響が懸念されています。アメリカの「スペースX」は2022年、打ち上げた衛星を制御できなくなり40基を失ったと発表しました。太陽フレアの影響と考えられています。
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停電も心配されています。カナダでは1989年、大規模な停電が9時間続いて約600万人が影響を受ける事態となりました。
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太陽フレアに備える電力会社も
アメリカ・テネシー州の電力会社のTVAは、太陽の活動が活発になった時に備えて約100万ドル(日本円で約1.6億円)をかけて新しい装置を導入しました。
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太陽フレアが原因で発生する異常な電流を瞬時に検知して、送電設備がダメージを受けないようにしています。
テネシー州の電力会社 ゲーリー・コベットさん
「この装置の目的は、太陽フレアで地球の磁気が乱れ、送電線に流れる(異常な)電流を遮断すること。変電装置を保護するだけでなく電力システム全体の信頼性を保護するためだ」
被害額 世界で「約160兆円~320兆円」の試算も
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アメリカの気象当局NOAAは、人工衛星のデータなどをもとに太陽の状態を24時間態勢で監視しています。
電力の関連設備などに影響が出れば被害が大きくなる可能性もあるとして、注意を呼びかけています。
NOAA宇宙天気予報センター マーク・ミーシュ博士
「全世界での被害が約160兆円~320兆円に及ぶという試算もある。われわれの社会は電力に依存しているためだ。政府や市民は太陽フレアの危険性をますます意識するようになってきている」
海外では企業がみずから開発した小型衛星を打ち上げ、より精度の高い予報を出そうという動きも起きているということです。
(アメリカ総局 田辺幹夫)
【2024年6月27日放送】