人工衛星のデータ活用で農業が変わる!水温管理や土壌分析も可能に

    人手不足肥料の高騰といった農業の課題を、人工衛星のデータを使って解決しようという取り組みが広がっています。

    衛星データで水温管理したブランド米

    パッケージに「宇宙ビッグデータ米」と書かれたお米。2年前から販売が始まりました。大手米卸業者と東京都内のベンチャー企業「天地人」が連携して生産していて、このベンチャー企業が人工衛星が観測した地表の温度などのデータを提供しています。

    この米を作る田んぼでは夏場に水温が上がりすぎると、人工衛星のデータをもとに水門を開いて給水し水温を下げることができます。

    水門の自動開閉システムを開発する企業「笑農和」も参加していて、生産者はスマートフォンを操作するだけです。

    衛星データを提供するベンチャー企業 木村華さん
    「遠隔で、より最適なタイミングで水の入れ替えを行う。労力を削減して、よりおいしいお米を作るというところが、新たな可能性として期待できる」

    肥料が必要な農地 「一目で」把握

    衛星データの活用で肥料の高騰を克服しようという取り組みも始まっています。農業法人を経営する高橋幸照さんは、三重県多気町で32ヘクタールの田んぼや畑を管理しています。ロシアによるウクライナ侵攻後、肥料にかかるコストは約2倍になっているといいます。

    高橋幸照さん

    髙橋さんはこれまで、使用する肥料の量を「土壌分析」で決めてきました。200か所を超える田んぼや畑で、農地の四隅から土をとって2日ほどかけて乾燥。粒をそろえてから分析会社に提出します。

    従来の土壌分析には労力と時間が必要

    農業法人経営 髙橋幸照さん
    「土壌分析の作業はかなり時間がかかっていた。(田んぼや畑)1枚1枚なんて、やってられませんよ、そんなことは」

    この悩みを解決しようと、岐阜大学発のベンチャー企業が近く、新たなサービスの商用化を目指しています

    サービスの仕組みは、まず太陽から地表に届いた赤外線の反射を人工衛星で捉えます。その波長は農地ごとに異なります。そのデータと土の成分との関係をAI(=人工知能)に学習させて、農地の状態を可視化します。すると肥料が必要なエリアが一目で分かるようになります。

    肥料が必要な場所を可視化

    髙橋さんがこのサービスを利用したところ、200か所を超える田んぼや畑の土壌分析を、手間をかけず一挙にできるようになりました。

    髙橋さん
    「むだな投資や化学肥料も減らせる。これは画期的なことだと思う」

    肥料を効率的にまくことで、コストを抑えるだけでなく収穫量アップも可能になるといいます。

    岐阜大学 田中貴 准教授
    「土づくりは非常に大切で、農家さんが毎年悩んでいるポイント。これらのサービスを用いて世界の農業を変えていきたい」

    農機の無人走行、最適な収穫時期の予測にも活用

    衛星データの農業への活用は広がりを見せていて、例えば、トラクターや田植え機などを無人で自動走行させたり、野菜などの最適な収穫時期を予測したりする場合に活用されています。

    国もこうしたデータ活用事業に補助金を出すなど後押ししていて、農家の方が肌で効果を感じられる事例が増えていくことが期待されます。
    (津局 久村勇介)
    【2023年4月17日放送】
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