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高度経済成長期の日本で、全国各地に建てられた「団地」。その多くは入居開始後40 年以上が経ち、老朽化などさまざまな課題に直面しています。
いま、団地の暮らしを快適にするための新しいライフスタイルの提案や、新技術が開発されています。エレベーターがなく敬遠されがちな4階・5階の部屋をセットで貸し出したり、階段の上り下りを助けてくれるロボットを導入したり。新しい動きに注目しました。
空き室増の4・5階 “セット貸し”で新ライフスタイル提案
茨城県取手市にある築およそ50年の団地には、1500世帯余りが暮らしています。エレベーターが設置されていないため、階段での上り下りが大変な4階5階の部屋は敬遠されがちで、空室が増えているといいます。
そこでこの団地ではことしから新たに、4階と5階を同じ住人に貸す“セット貸し”プランを始めました。
モデルルームを見せてもらいました。団地を供給・管理する会社によると「4階がふつうの居住スペースとなっていて、5階が趣味などに使っていただける広々とした空間になっている」といいます。
家賃は1住戸が4万円ほどのところ、4階5階のセットで5万円ほどになっています。
団地を供給・管理する会社 瀬戸研太郎さん
「(5階は)自由度の高い空間になっているので、キッズスペースであったり、筋トレルームであったり、さまざまな使い方ができるかなと想定している」
4階5階をセットで使っている入居者の一人、平井亨季さん(28)は、映像作品を制作するアーティストで、5階の部屋で上映会などを行っています。
平井亨季さん
「アトリエ付き住居みたいなのは、なかなか見つからない。だからすごく理想的な形」
団地を供給・管理する会社 瀬戸さん
「若い方に住んでもらうことにより、高齢者であったり子育て層が安心して暮らせるコミュニティづくりも図れるかなと思っている。より活気のある団地になっていくのではないか」
階段の上り下りを助けたい ロボット実用化めざす
階段の上り下りを楽にしようと、人を乗せて階段を移動するロボットの実証実験も行われています。実用化されれば、エレベーターを設置する10分の1のコストで導入が可能だといいます。
このロボットは団地内の基地で待機していて、住民が専用のカードで呼び出すと玄関前まで移動します。
住民を乗せて移動し、降ろした後は自動で基地に戻り、充電を行います。
このロボットはスタートアップ企業が3年前から開発してきました。角度が急な階段を安全に移動するために、さまざまな工夫を凝らしています。
例えば、前の車輪が下の段に接地するまで、後ろの車輪が逆方向に力をかけて滑り落ちないようにしています。
またカメラが障害物を捉えると、AIが認識して障害物を避ける機能も開発中です。
ロボットを開発している会社 藤倉秀幸 参事
「自動に安全に上らせることを最優先に進めて、社会実装に向けて頑張っていきたい」
総務省の調べによると、エレベーターがない4階、5階建ての住宅は全国で24万棟近くあります。大規模な改修をせずにより快適な団地暮らしをする工夫はまだありそうです。
【2024年6月17日放送】