“買い物困難者” 生成AIやロボットの技術で支援

高齢化が進み、スーパーが閉店、交通機関が減便―。さまざまな要因で「買い物困難者」が今後も増えると見られています。いま生成AIやロボットの最新技術を使ってそうした人たちを支援する動きが生まれています。

スーパーまで10キロ 生成AIが助けます

香川県坂出市王越町は、近くのスーパーまで約10キロの距離があります。

この地域に暮らす濵崎れい子さん(72)は、夕食の材料の買い物を相談しようと、タブレットに話しかけました。

「肉じゃが作ろうと思うんやけど」とタブレットに話しかけると…
材料を示し、価格を読み上げてくれた

これはIT企業などが行う実証実験で、生成AIがサービスの利用者と会話をしながら、必要な食材や価格を伝え、注文までしてくれます。

濵崎さんはこの日、材料の牛肉が高いと感じて「お肉はほかに何がありますか?」と聞いてみました。すると…。

今度はより安い鶏肉を提案
AIからの提案を受けた濵崎さん

濵崎さんが伝えた「それを、いた」ということば。「いた」とは、「いただきます」という意味の、この地域の方言です。ふだん使う言葉にもこの生成AIは対応してくれます。

生成AI買い物サービスの実証実験に参加する 濵崎れい子さん
インターネットは詳しくないが、分かりやすい、使いやすいと思う

このサービスでは連携した食料品店が注文を受け、提携するタクシーが空き時間を使って商品を配送します。それぞれの売り上げが伸びることも期待されています。

食料品店が注文の品を用意
提携するタクシーが運ぶ
夕食の材料を受け取る濵崎さん

サービスはことし4月の実用化を目指しています。

実証実験を行うECシステム企業 向畑憲良 代表取締役CEO
今後、より高齢化社会であったり、過疎地域が広がっていく中で、新しい技術で豊かになり便利になっていくべきだと思う

郊外の団地 ロープウエー型ロボットの役割は?

神奈川県川崎市麻生区の郊外にある団地では、ロープウエー型ロボットによる配送サービスの実証実験が行われています。

この団地は坂が多く住民の高齢化も進んで、買い物の負担が重くなっているといいます。

まずスマホの専用アプリで注文。すると…
提携するスーパーのスタッフが商品を集め、ロープウエー型ロボットへ
ロボットが配送する

そしてロープウエーで200メートル先にある団地の広場へ配送しています。

注文した商品は個別に分かれたロッカーに収納し、QRコードで認証して取り出します。

電力の消費量も少なく、騒音も少ないことが特徴だといいます。

ロープウエー型配送ロボットの実証実験を行う 電機メーカー事業開発室 青山秀紀さん
物流の人手不足解消の一つの手助けになるかと思う。技術によって世の中の役に立てると考えている

特に地方では、人手不足が深刻なところが多くあります。地域の実情にあった最新技術を使って買い物困難者を減らす取り組みが求められています。
【2024年1月22日放送】
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