高齢者の買い物助けます!アプリや“スローレジ”で安心を

キャッシュレス決済セルフレジ。買い物をする環境は便利になっている一方、複雑にもなっています。高齢になり認知機能が低下してくると、支払いに戸惑うなど難しさを感じる人も増えそうです。

そんな悩みを解決しようというサービスが広がっています。

プリペイドカードとアプリで使いすぎを防ぐ

「メモして『これを買おう』と思っても、そのメモをどこかに置いちゃった」

「(認知症の親族が)いくら使ったとか、おつりをいくらもらうかとか、分からなかった」

東京・品川区の武蔵小山商店街パルムで、道行く人に「高齢者の買い物に不安は?」と尋ねたところ、そんな答えが返ってきました。

東京都内のスタートアップ企業「KAERU」は、こうした不安の声に応えようと、プリペイドカードとスマホのアプリを組み合わせて使うサービスを開発しました。プリペイドカードは大手クレジット会社の加盟店で使うことができます。

アプリは1日に使える限度額が設定できて、使いすぎを防ぎます。

また、買う物をメモしてチェックすることで買い忘れを防ぐ機能や、すでに買った物を写真に撮り、重複して買うことを防ぐ機能もあります。

このサービスでは、認知症になっても家族の協力を得ながら買い物ができるプランも設けました。

このプランを利用する女性に話を聞いてみると、要介護1で認知症と診断されている母親(90)は買い物をする時、お金を数えることに困難があるそうです。「認知症がある母にとってはイライラしたり、うまくカウントできなければ不安になったりする。すごく負荷が高い」といいます。

このプランでは、高齢者はプリペイドカードだけを使います。本人の同意のもとで、買い物をした店の名前や使った金額が家族に送られてきます。どこまでの情報を家族に知らせるかは本人が決めることになっていて、高齢者の意思を大切にしながら使える仕組みになっているということです。

高齢者がカードを紛失してしまった場合は、家族がアプリから利用を停止できます。

サービスを開発したスタートアップ企業 岡田知拓 CEO
「お金のことなので、ミスをしてしまうと『申し訳ないな』と、お母さんお父さん側もなってしまう。われわれのサービスでぜひ外出の機会を増やしていただけたらうれしい」

「スローレジ」で支払いをサポート

高齢者や認知症の人の買い物を店側が支えるサービスもあります。

福岡県行橋市にある商業施設「ゆめタウン南行橋店」にあるのは「スローレジ」です。認知症サポーターの講座を受けた店員が配置されていて、金額の計算に戸惑っていたり、お金を出すのに時間がかかっていたりする人を丁寧にサポートします。

買い物客からは「安心して買い物ができる」という声がたくさん寄せられているそうです。

商業施設 安藤康太 店長
「高齢のお客様にとってスローレジは本当に安心して買い物ができるレジ。引き続き続けていきたい」

高齢になったり認知症になったりすると、不安を感じて一歩踏み出せないという人も少なくないと見られます。こうしたシステムや知識がある人のサポートで安心して買い物に出かけられる環境づくりが望まれます。
【2023年2月20日放送】
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