静岡おでんがトムヤムクン風に!?老舗練り物会社の東南アジア進出戦略

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真っ黒なだしが特徴の静岡おでん。その具材の一つ、ちくわを作る老舗の練り物会社が輸出に挑戦しています。その戦略とは?

新型コロナで苦境の老舗練り物会社

静岡県焼津市にある創業109年の練り物会社「カネサ大石佐太郎商店」は、飲食店や学校給食向けのちくわやかまぼこを作ってきました。しかし、新型コロナの影響で売り上げが大幅に減少。従業員に交代で休んでもらうなどして何とか経営を続けてきました。

4代目社長の匂坂義弘さんは今、ちくわの海外輸出に活路を見いだそうとしています。

練り物会社 匂坂義弘社長
「もう海外に(活路を)求めるしかないというところもあって、ここは『やるしかない』と決断した」


マレーシアで「おでん」需要高まる

目を付けたのは、日本から約5000キロ離れたマレーシアです。この国には魚や鶏の練り物を食べる食文化があり、魚肉のだんごなどを串に刺しスープに浸して食べる、おでんに似た伝統料理もあります。

マレーシアで日本のコンビニが数年前におでんを売り出したところ、新たな日本食として注目されているといいます。

現地のある家族におでんの感想を聞いてみると、「おいしい、おいしい。若い人たちがよく食べている」とのこと。「大きな鍋に具材をたくさん入れてみんなで食べる。それがマレーシア的」だといいます。

マレーシアのおでん需要の高まりを知った匂坂さんは、地元の総菜会社や専門商社と連携しておでんを作り、ちくわの販路を広げていきたいと考えたのです。

イスラム教徒向け みりん使わないちくわ開発

しかし、ちくわの輸出にはある課題がありました。マレーシアに多いイスラム教徒はアルコールが禁止されているため、ちくわに欠かせないみりんを入れることができないのです。

練り物会社 工場長 石田喜之さん
「(みりんなしだと)魚の臭みや仕上がりの照りなども変わってくる。そこが大変」

そこで、みりんなどの調味料を使わないちくわを経験豊富な職人たちが試行錯誤の末、開発しました。

「トムヤムクン風」で勝負をかける

さらに、おでんの味付けも一工夫。マレーシアで今広く人気になっている「トムヤムクン風」にしました。

パッケージも日本食であることをアピールするために、あえて日本語のデザインにしました。

匂坂さんは今後、ちくわそのものの魅力も伝えていきたいと考えています。

練り物会社 匂坂社長
「向こう(マレーシア)の味に合わせた、スパイシーな味付けをしたちくわを作っていきたい。何とかこれで起死回生をしたい」

日本のおでんも工夫次第で海外に市場を開拓できるかもしれません。
(静岡局 ディレクター 酒井夏洋)
【2022年5月9日放送】