ガソリン価格高騰 バイオ燃料を促進するブラジルの現状は?

  • 国際経済

ブラジルでも日本と同様にガソリン価格が値上がりしています。ただブラジルでは植物由来の燃料が広く普及し、燃料費の負担を軽減しています。

ガソリンより安値 「エタノール選ぶ人増えている」

ブラジル・サンパウロ市内にあるガソリンスタンド。ガソリンの価格は1リットル当たり6.3レアル、日本円にして180円余りです。一方バイオエタノールは1リットル当たり3.8レアル、日本円で110円程度と4割ほど安くなっています。

エタノール価格(中段)は「3.8」レアル。ガソリンより4割ほど安い

バイオエタノールについてドライバーに話を聞くと、ある男性は「環境に優しいだけでなく、財布にも優しいのがいい」と話しました。

またガソリンスタンドの店長は「エタノールを選ぶドライバーが増えている。価格が安いから」と話していました。

石油危機をきっかけに生産促進

ブラジルでバイオエタノールの原料となるのはサトウキビです。サンパウロ近郊にはサトウキビ農場があちこちに広がっています。

1970年代の石油危機をきっかけに、ブラジル政府は「プロアルコール」と呼ばれるキャンペーンを始めました。石油に代わる燃料としてサトウキビによるエタノール生産を促進させました。

エタノールを生産する工場
生産されたエタノール

この動きは脱炭素にもつながっています。バイオエタノールで走る車は二酸化炭素を排出しますが、サトウキビは成長過程で光合成により二酸化炭素を吸収します。その分が相殺されます。

日本含む各国メーカー バイオ燃料で走る車に力

国土が広いブラジルは、EV=電気自動車のスタンドを設置するには巨額の費用がかかります。そこで、自動車メーカー各社もバイオ燃料で走る車の生産に力を入れています。

フィアットなどを展開する「ステランティス」は3月、ブラジルではバイオエタノールの活用を戦略として位置づけると発表しました。バイオ燃料で走る新しいプラットフォームの開発に乗り出しています。

トヨタ自動車はサンパウロ近郊にある工場で、ガソリンとバイオエタノールのどちらでも走る「フレックス車」にハイブリッドシステムを搭載した、「フレックス・ハイブリッド車」を生産しています。

フレックス・ハイブリッド車は2019年の販売開始から4年で販売台数が5倍に増えています。人気の高まりを受けて、24年からはもう1車種増やす方針です。

トヨタ自動車 井上雅宏 中南米本部長
「燃費効率が3割から4割よくなるハイブリッドをつけたので、ブラジルのお客さんに驚きをもって受け入れられた」

専門家「今後は輸出も可能に」

専門家はバイオ燃料の可能性を次のように指摘しています。

ブラジルのフレックス車の専門家 エルウィン・フラニエック氏
「ブラジルにとってのバイオ燃料は、サウジアラビアの石油のようなものだ。数年で生産量を3倍、4倍にでき、国内市場だけでなく輸出も可能になる」

ブラジルでは、ガソリンだけで走る車のシェアはわずか2.3%フレックス燃料車は77%と高い普及率となっているということです。

そこへ日本を含めて各国の自動車メーカーが新製品を投入することで、バイオ由来の燃料の利用が一段と広がっていくことになりそうです。
(サンパウロ支局 木村隆介)
【2023年8月31日放送】
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