“安い水素”が世界を変える!低コスト製造技術がイスラエルで登場

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燃やしても二酸化炭素が発生しないクリーンなエネルギーとして注目される「水素」。生産にかかるコストの高さが課題となる中、イスラエルの企業が革新的な技術の開発を進めています。最大で10分の1のコストダウンが実現可能だというこの技術で「水素社会」の実現が近づくか、注目です。

COP27 水素の可能性に注目

エジプトで開かれている気候変動対策の国連の会議「COP27」で、水素が注目されています。水素を低コストで製造する技術を開発するイスラエルの企業「H2Pro」のブースには、多くの人が訪れていました。

来場者の一人は「水素の可能性を考えた場合、驚くべき重要な技術だ」と期待を寄せていました。

「電気分解」に革新的技術

イスラエル北部カイサリアにあるこの企業の研究施設では、安価な水素を実現するため、特殊な電極の開発が進んでいます。

開発が進む特殊な電極

水素は水を電気分解して作り出します。しかし酸素が同時に発生するため、化学反応を起こすと爆発のおそれがあります。このため「隔離膜」が必要になりますが、これがコスト増の一因になっていました。

この企業が開発した特殊な電極を使えば、酸素の発生を遅らせて水素だけを先に発生させることができます。これにより隔離膜が必要なくなり、効率的に電気分解を進められます。

製造コスト最大10分の1目指す

この企業では、2030年には最大でこれまでの10分の1となる、水素1キログラム当たり1ドルで製造することを目指しています。

将来性が見込まれ、日本の大手商社の住友商事や、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏のファンドなどから合わせて1億ドルを調達しています。

低コストでの水素製造技術を開発する イスラエル企業 タルモン・マルコCEO
「1キロ1ドルを早く実現できるほど既存のエネルギー源に並ぶことができ、世界的なグリーン経済への移行を促進することができる」

小型エンジン開発の動きも 日本の自動車部品メーカーも出資

水素の普及を見越した動きも活発になっています。イスラエルのスタートアップ企業は、ガソリンの代わりに水素を燃料として使える小型のエンジンを開発しています。

この企業に注目したのが日本の自動車部品メーカー「TPR」です。この部品メーカーはガソリン車向けのエンジン部品を主に製造していますが、EV=電気自動車へのシフトが進む中で先行きに危機感を抱いています。

そこで、イスラエル企業の現地の工場などを視察し1000万ドルを出資。自社の製品の活用だけでなく、水素を使うエンジンの共同開発も目指す方針です。

日本の自動車部品メーカー 塚本英貴 執行役員
「水素は今われわれが考えられるアイテムの中では非常に大きな可能性を持っている。技術的な側面でわれわれも携われるのではないか」

この部品メーカーは水素を活用した製品の開発などを積極的に進めて利益を伸ばしていきたいとしています。

「水素社会」の実現に欠かせないのは、水素が安く安定的に供給されることです。この新たな技術が軌道に乗るか、注目されます。
(エルサレム支局 曽我太一)
【2022年11月17日放送】
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