美肌需要をつかめ!日焼け・シミへの意識高まるベトナム

ベトナムの市場が急拡大しています。アジア開発銀行が発表した2023年の経済成長率の見通しは、ベトナムは6.5%と東南アジアの主要国の中で最も高くなっています。

とりわけ需要が急増しているのがスキンケア化粧品。日本企業も加わった激しい販売競争が巻き起こっています。

国民の平均年齢は30代前半 スキンケア需要急拡大

赤道に近く1年を通して日ざしが強いベトナムで、日焼けやシミを意識する人が増えています。取材した日、ホーチミンの気温は35度を超えていましたが、長袖の服を着たり、頭をフードで覆ったりして対策する人の姿が数多く見られました。

長袖の服を着て帽子をかぶっていた女性(22)は「日ざしが強いので肌が焼けるのが怖くて、こんな服装をしている」と話しました。

ホーチミンの薬局では、さまざまなスキンケア商品が販売されています。化粧品の市場規模はこの10年で2倍以上に拡大したというデータもあります。(出典:TPCマーケティングリサーチ)

薬局の店舗リーダー
「スキンケア商品の需要が高まっている。ほとんどのお客さんが美肌化粧品に注目している」

美肌への関心の高さに加え、スキンケア商品の需要を底上げしているのが、ベトナムの「若さ」と「経済成長」です。国民の平均年齢は30代前半。安定した経済成長で中間所得層が厚みを増していて、1人当たりの平均所得(月間)がこの10年で3倍に増加しているのです。

シェアトップは韓国

購買意欲が高いベトナムの成長市場を取り込もうと、韓国の化粧品メーカーが販売を伸ばしています。K-POP人気などを追い風に、市場シェアは30%でトップです。

追いかける日本メーカー

一方、日本メーカーのシェアは17%で第3位となっていて、追いかける立場です。

大手製薬グループの会社「第一三共ヘルスケア」は2022年12月から、ベトナムの美肌需要をつかもうと現地で美容液などの販売を始めました。

日本への旅行者が増える中、ベトナム国内での自社製品の認知率を調査したところ40%と高いことが分かり、参入を決める要因になりました。

大手製薬グループの会社 吉田勝彦 社長
「透き通る美しい肌を望む、1人でも多くのお客様に貢献していきたい。ベトナムの目覚ましい発展とともに、皆様に愛されるブランドになることを願っている」

吉田勝彦社長(左)

偽物対策がカギに

売り上げを伸ばすためにカギとなるのが偽物対策です。ベトナムでは日本ブランドの模造品が多く流通し、当局による摘発が相次いでいます。

この会社では、正規品の販売拡大で日本製の商品への信頼をさらに高めていこうとしています。

大手製薬グループの会社 ベトナム担当 三澤美穂 主任
「正規品をベトナムに持ってきて、『これが本物ですよ』『これを買ってください』とすることで、お客様にとっても安心して『これが本物だ。間違いない』という環境をつくっていきたい」

アジアの美肌ビジネス競争が、日本企業を巻き込んで一段と激しくなりそうです。
(ハノイ支局長 鈴木康太)
【2023年4月7日放送】
あわせて読みたい