広がるメンズメイク 意識も商品も多様化

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性別に関係なくメイクを楽しむ動きがいま広がっています。男性向けメイク商品の市場規模は2018年に4億円でしたが、3年後の21年には20億円に達し、さらに伸びると見られています。

ビジネスの身だしなみとして取り入れたいという人など、目的や楽しみ方は人それぞれのようです。

百貨店の化粧品売り場 男性客の売り上げが増加

東京都内の百貨店「松屋銀座」の化粧品売り場。飲食店に勤めているという男性(37)が初めて訪れました。リモート会議に参加することが増え、画面に映る自分の姿を意識するようになったといいます。

男性は最近、目の下のクマが目立つようになり「すごく気になっている」といいます。売り場ですすめられたのは、目元を明るく見せる化粧品。鏡に映しながら試していました。

メイクを試す男性客。「慣れないのでくすぐったい」

化粧品売り場を訪れた男性
「数年前ぐらいからBTS(アイドルグループ)とか見ていて興味があった。できるだけ自分が整って仕事しているほうが、明るくできるのではないか」

この百貨店では、化粧品全体に占める男性客の売り上げが5年間でおよそ1.6倍になったといいます。性別を問わずに利用できるブランドも取り入れました。

また男性社員向けのメイクの講習会も開いています。社員みずからがメイクを楽しみ、お客さんにすすめられるようにするねらいです。

百貨店 河野新平 ショップ運営部長
「若い方だけではなく40代50代の方にも需要が出てきた。これから伸びしろのある市場だと思っているので、ジェンダーレスにメイクを楽しんでいただけるのではないか」

メンズメイクを広める動画も

男性向けのメイクを楽しみながら、動画でその技術を広めようとする人も増えています。

こうした動画には「参考になりました!」「男性のメイクに対する考え方や価値観が変わりました」などと共感の声がたくさん寄せられています。

8年前から動画でメイクのやり方を広めてきたメイクアップアーティストの高橋弘樹さんは、今後メンズメイクはより身近なものへと変わっていくのではないかと話しています。

メイクアップアーティスト 高橋弘樹さん
「ちょっと自分をきれいに見せる、いつもの自分よりもちょっとだけよく見せるという感じでメイクを取り入れていく人はこれから増えていくんじゃないかと思う。男性とか女性とかそういった垣根がどんどんとれてきて、どんどん一緒になっていくんじゃないか」

メンズメイクの市場にも詳しい「TPCマーケティングリサーチ」主任の福原裕子さんは「最近は従来の男性像にとらわれないブランドが増えてきている。メーカー側も個々のニーズに合わせて商品を多様化している」と話し、メンズメイクを後押しする環境も生まれているということです。
【2023年1月31日放送】
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