ジーンズ業界の環境への取り組み こんなものからも…

    ファッション産業は大量の水を使い二酸化炭素も多く排出するため、「石油業界の次に環境によくない産業」だと指摘されることもあります。

    ジーンズの業界では、原材料や製造過程を工夫して環境への負荷を減らす取り組みが進められています。

    ※過去の放送のセレクションをお届けします。

    リサイクルジーンズ量産 カギはデニム専用の再生ライン

    老舗ジーンズメーカー「エドウイン」が9月に発売した新製品は、生地に再生されたデニムを使っています。創業61年にして初めて「リサイクルジーンズ」の量産にこぎつけました。

    このメーカーは国内で年間200万着ほどを生産していますが、その過程で発生する400トンもの裁断くずを製品にリサイクルできないかと考えました。

    繊維のリサイクルを行うメーカー「クラボウ」に依頼したところ、ジーンズの布は、ほかの種類の布と同じ機械を使えないといいます。

    繊維をリサイクルする会社 安城工場 中村稔工場長
    「デニムは通常の生地と違いインディゴ(藍色)染料で染める特殊なもの。混ざらないように、ほかの素材への影響を与えないようにするところに苦労した」

    そこでこの工場では、一定量の裁断くずを受け入れることを前提にジーンズ専用のラインをつくりました。

    裁断くずから作った繊維に、綿を加えて糸を作ります。最終的に15%のリサイクル原料が含まれたジーンズの量産が実現しました。

    リサイクルを行うメーカーではジーンズ専用のラインをつくったことで、ほかのジーンズメーカーからも受注できるようになったということです。

    パイナップルの葉から繊維 ジーンズの原料に

    これまでにない材料をジーンズに使う取り組みも進められています。

    国内最大のパイナップルの生産地・沖縄県。収穫した後に大量に残るパイナップルの葉に、地元でリサイクル事業を行っている会社「フードリボン」が目をつけました。葉から繊維を取り出そうというのです。

    生産農家「葉は山積みだったが使い道がなかった」

    この会社では、パイナップルの葉を専用の機械にかけて繊維を取り出しました。取締役常務の平良香織さんによると、繊維は細くてつやがあり、通気性もいいそうです。

    葉から取り出した繊維。1束で葉っぱ約20枚分

    そしてこの繊維に、滋賀県に本社があるジーンズメーカー「エヴィスジャパン」が注目しました。

    このメーカーは、パイナップルの葉の繊維を14%含んだジーンズを限定で販売しました。1着4万円ほどとほかの商品より割高ですが、約300着売れたといいます。

    ジーンズメーカー 山根昭彦 代表取締役
    「(ジーンズは)修理しながらでも10年20年はけるとうたっている。つまりエコだと思う。物を廃棄せずに使い続ける精神と、パイナップルの葉を有効活用するところが合致するので、今後も使っていきたい」

    パイナップルから繊維を取り出している沖縄の会社では11月から、生産量の多いインドネシアでも事業を始めるということです。
    【2022年12月26日放送、初回放送2022年10月31日】
    あわせて読みたい