半導体大競争時代① ”世界一” 台湾・TSMCの戦略

半導体の製造で世界一の台湾・「TSMC」は、最新のスマートフォンに搭載されている世界最高水準の半導体を製造しています。

日本では熊本県内に日本の企業と合同で工場の建設を進めていて、2024年に稼働する予定です。アジアとヨーロッパを統括するクリフ・ホー上級副社長に、今後の戦略を聞きました。

熊本では工場建設が進む

日本企業と連携 「お互いに得るもの大きい」

TSMCの技術力は世界トップクラスで、回路幅3ナノメートル(100万分の3ミリ)という微細な半導体を量産しています。

半導体の性能は回路の幅が狭いほど高くなります。TSMCは世界の微細化競争で先頭を走っています。

クリフ・ホー上級副社長は、日本企業と進めている連携について次のように話しました。

クリフ・ホー 上級副社長
「半導体はすべての製品が進歩していくための科学技術となるだろう。日本の半導体業界や政府と協力することで、この社会、そして人類全体のために、さらによい生活を提供していきたい」

台湾には、半導体を量産するための工場運営を学ぶために、熊本工場から技術者が研修に来ています。

研修に来た熊本工場からの技術者たち

取材した日は電力システムについて、工場が停電になった時に「1分半以内に工場全体に緊急送電が可能」などと説明を受けていました。

ホー 上級副社長
「日本の技術者の皆さんは第一線の技術者から学ぶことができる。その技能を生かして熊本工場でもすぐに量産に入ることができ、わが社も日本の顧客も、お互いに得るものはとても大きい」

人材確保に力 「人材募集バス」も登場

TSMCは新たな技術者を育てようと台湾での人材確保にも力を入れています。そのために、採用活動に使う「人材募集バス」をつくりました。

高雄市の中山大学では、40人ほどの学生と面接が行われていました。面接を受けた学生の一人は「会社のことがよく理解できた。もし採用されたら頑張る」と話しました。

「次は2ナノ目指す」

TSMCは1月、日本で2番目の工場の建設を検討していると発表しました。台湾と日本のそれぞれでさらに技術力を磨いていこうとしています。

ホー 上級副社長
「次は2ナノ(100万分の2ミリ)を目指す。われわれは製造と研究開発、そして技術革新をリードし、半導体産業に貢献していく」

半導体を制するかどうかが国家の命運をかけた闘いとも言われていて、開発競争がますます激しくなりそうです。
【2023年1月20日放送】
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