【取材の現場から】「支えたい」教会で祈りをささげる人々
「団結しましょう。今は助け合うことが大切です」
ある日曜日、ウクライナの西部リビウの教会を訪れると、神父が呼びかけていました。
その日行われていた礼拝。集まった人たちが祈りをささげていました。
「戦争に行ったおいが、無事に帰ってくるよう祈っています」
「戦闘が続く地域で、市民が生き抜いてくれることを願っています」
祈りをささげる人たちに話を聞くと、それぞれの思いを話してくれました。
別の教会を訪れると、祈りとは別の形で、「団結」の意志を示していました。
訪れた人たちが、お金やパンなどを次々に教会に届けに来ています。教会の一角には、市民が持ち寄ったチェーンソー、車のバッテリー、マットレスなども山積みになっていました。
「今は働いておらず、こうした形でしか貢献できませんが、戦う同胞を支えたい」
(物資を届けに来た52歳の女性)
「海外からも支援が集まるのは、世界がこれ以上の事態の悪化を望んでいないからだと思います」
(国内外から募った寄付金で医薬品などを購入し提供しているという33歳の男性)
この教会で物資の受け入れを担当するロマン・メントフ神父(27)は、目に涙を浮かべながら、次のように話しました。
「お年寄りも若者も、できる限りのことをしようと物資を持ってきてくれます。みんなが国を守る英雄です」
日が暮れ、冷たい雨が降りしきる中でも、途絶えることのない支援物資を持ち込む人たち。あいさつをするように、こんな言葉を交わしていました。
「ウクライナに栄光あれ」
「英雄たちに栄光あれ」
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イスタンブール支局
佐野 圭崇
2013年入局、山口放送局などを経て2021年からイスタンブール支局。シリアや各地の難民、国内避難民の取材を担当。リビウ取材班として2月末に現地入り。