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川で子どもと安全に楽しむために 守ってほしい10のポイント

魅力がいっぱいの川遊び。釣りや河原でのバーベキュー。水辺で遊んだり、生き物を観察するだけでも楽しいですよね。

でも、お父さん、お母さん、川遊びは常に命の危険も隣り合わせであることだけは絶対に忘れないでください。
家族の安全を守るためのポイントを、イラストと実際に川の危険に身を投じる動画でまとめました。

2022年7月に放送されたニュースの内容です

目次

    ※ポイントをイラストにまとめました。川に行く時に思い出せるよう保存して、安全な川遊びにお役立てください。

    川の何が怖い?

    ポイント①一見、穏やかでも危険

    実は子どもが溺れて命を落とす事故は川で多く起きています。雨が降って増水している川に子どもを連れていくことはないと思いますが、良く晴れた日、流れも穏やかそうに見える、こんな川にも危険が潜んでいます。

    東京都心から車で1時間の秋川 休日は家族でにぎわう

    川の水はきれいに澄んでいて、川底まで見えますが、実は流れが穏やかになっているところに「急な深み」があることが多いんです。

    「急な深み」のある場所

    水難事故の調査を行っている水難学会の斎藤秀俊会長に「急な深み」のあるポイントを現地で教えてもらいましたが、一見すると安全にさえ思えます。救助にあたるダイバーを配置したうえで、水中撮影の訓練を積んだ浅石啓介カメラマンが実際に川に入ってみました。

    再生時間 0:33

    ポイント②泳げる大人でも溺れる

    (浅石カメラマン)水に入って5歩進んだだけで、頭のてっぺんまで、一気に沈んでしまいました。水深は2メートルほど。覚悟はしていましたが、ここまで急激に深くなっているようには見えず、焦りました。

    さらに水難学会の調査では深みにはまりかけて「戻り際に溺れる」ケースが近年散見されるということです。この川の中流域で、まさにそうした事故の要因となる川底がサラサラの砂利でできた深みにも入ってみました。

    再生時間 0:22

    (浅石カメラマン)崩れやすい砂利の急斜面に足を取られてしまい、アリジゴクに引き込まれるような、とてつもない恐怖感でした。子どもはもちろん、泳げる大人でも溺れる危険が高いと感じました。

    【リスクを減らす①】出発する前に

    ポイント③必ずライフジャケットを

    水難学会によると、こうした「急な深み」は全国どこの川にもあるそうです。川の近くで遊ぶなら、水難事故の危険は常に意識してください。

    大人は川に入るつもりがなくても、興奮した子どもが川に駆け寄っていくこともあると思います。必ずライフジャケットを着用するようにして、万が一の時に少しでも助かる可能性を上げてください。

    この時、子どもだけではなくて、大人も必ずライフジャケットを着用することも重要です。万が一、子どもが流された際に大人がライフジャケットを着ていないと、自分だけでなく、子どもの命も危険な状態にさらすことになります。

    ポイント④ライフジャケット選びはマークをチェック

    ライフジャケットは、浮力や構造、耐久力などの基準を満たしたものを選ぶとより安心です。国土交通省や海上保安庁では次のマークが入ったものを推奨しています。

    【リスクを減らす②】川についたら

    ポイント⑤「ひざ下」まで(泳がない、飛び込まない)

    水難学会では、ライフジャケットを着用したとしても、川では泳がないでほしいとしています。流れに巻き込まれて岩の下に入り込んでしまったり、ライフジャケットの浮力に勝る強い流れが起こったりするためだとしています。

    また、よくあるのが、対岸まで渡ろうとして溺れるパターンです。途中まで浅いと油断して、歩いて渡ろうとして急に深くなっているところで溺れたり、泳いでいるうちに流されて深みにはまったりすることがあるそうです。

    橋や岩からの飛び込みも危険です。複雑な流れにはまって、水面に浮いてくる前に溺れてしまう事故が実際に起きています。

    泳がなくても、腰より深いところでは流れの影響が強く、転んだ拍子に深みにはまったり、流されたりしてしまうおそれがあります。絶対に安全というわけではありませんが、「ひざ下まで」の水深なら流れの影響が比較的少なく、溺れる可能性を低くすることができます。

    ポイント⑥物が流されたら諦める

    サンダルや帽子などを川に落として流されてしまい、それを拾おうと追いかけたときに深みにはまって溺れる事故も相次いでいます。川で物が流されてしまった時は追いかけずに諦める、という心づもりをしておくことも重要です。

    ポイント⑦「着いてすぐ」「帰り際」が危ない

    川に着いた時、子どもは「早く水に入って遊びたい!」と興奮状態になっていることが多いです。水着に着替えたら、親が見ていない隙に、そのまま子どもだけで川に入ろうとすることもあるでしょう。

    事故が起きる時は、最初に子どもだけで川に入り、いきなり深みで溺れるパターンが少なくありません。「帰り際」も同様に、親が河川敷で帰り支度をするため撤収作業に集中している間に、子どもだけで川で遊んでいて、気がついたときには子どもがいない。辺りを探すが見つからず、あとで、川底から発見されるケースも目立ちます。

    ポイント⑧子どもと一緒に遊ぶ

    川で溺れる瞬間は一瞬の出来事です。だからこそ、実は子どもから「目を離さない」では足りなくて「手の届く範囲で、子どもと一緒に遊ぶ」ことを心がけることが大切です。そうすれば、子どもが万が一溺れそうになっても親がサポートすることができます。

    それでも溺れそうになってしまったら

    ポイント⑨最後は「浮いて救助を待つ」

    それでも溺れそうになってしまったら、最後の手段は「浮いて救助を待つ」です。水難学会の斎藤秀俊会長によると、ライフジャケットを着ている場合、背浮きではなく、膝を抱え込む「ヘルプ姿勢」で待つのがいいとしています。顔が水面よりも上で保てるほか、体温が下がるのを防ぐ効果もあるということです。

    流されたときの「ヘルプ姿勢」

    事前にプールなどで子どもと一緒に練習するのが理想ですが、動画でも具体的な方法を解説した記事を用意しましたので、お子さんと一緒に確認してください。

    「浮いて救助を待つ」ってどうすれば?動画で詳しく

    例え泳げる大人でも、自分が川に入って泳いで助けにいくのはお互いの危険を高めてしまいかねません。もし手元にペットボトルなど水に浮くものがあれば、それを投げ込んで浮くのを助けてください。ロープや長い棒などがあれば、それを投げ込んでつかまってもらい、岸に引き上げるのを試みることもできます。

    ポイント⑩ためらわず救助を呼ぶ

    子どもが流されてしまったことに気づいたら、ためらわずに救助をすぐ呼んでください。川の水難事故は119番(消防)です。

    子どもが大きくなっても

    小学校高学年にもなると、友だちと川遊びに行くこともあると思います。体力がついて泳ぎに自信がある場合は特に、友だちとつい盛り上がって川に入って泳いでしまうこともあるかも知れませんが、毎年のようにそうした状況で命を落とす若い人が後を絶ちません。お父さん、お母さんが小さい頃から「川の危険」をしっかりと伝えてあげてください。それがお子さんの将来を守ることにも繋がります。

    取材・撮影:首都圏局 浅石啓介 阿部和弘 千葉局 高橋大輔
    イラスト:森下絵里香アナウンサー
    編集:報道局 村堀等

    子どもは静かに溺れる…

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    知っていますか?溺れたときの「ヘルプ姿勢」

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