【アルゼンチン(7位)×ニュージーランド(2位)】
準決勝最初の試合は日本時間の21日。スタッド・ド・フランスで行われ、世界ランキング2位のニュージーランドと、世界7位のアルゼンチンが対戦します。
◆アルゼンチン◆
《プールD》
●アルゼンチン 10-27 イングランド
○アルゼンチン 19-10 サモア
○アルゼンチン 59-5 チリ
○アルゼンチン 39-27 日本
《準々決勝》
○アルゼンチン29-17 ウェールズ
アルゼンチン 2大会ぶり準決勝に
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アルゼンチンは1次リーグの最終戦で日本との大一番を制して、プール2位で決勝トーナメント進出を果たしました。
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準々決勝のウェールズ戦では、一進一退の攻防を繰り広げましたが、リードを奪って終盤に入り、試合終了間際にはベテランの司令塔、ニコラス・サンチェス選手がトライを決めるなどして突き放し、2大会ぶりとなる準決勝進出を決めました。
FW陣は世界屈指のフィジカル
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今大会はベテラン司令塔のサンチェス選手やキックの名手のエミリアーノ・ボッフェーリ選手などバックス陣の活躍が目立っていますが、世界有数のフィジカルの強さを誇るフォワード陣も調子を上げてきました。
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日本戦でのフォワードの接点の強さは記憶に新しいと思います。
選手個々のフィジカルの強さはもちろん、ブレイクダウン(密集でのボール争奪戦)やモールで日本を圧倒する場面も見られました。
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キャプテンでフッカーのフリアン・モントーヤ選手は、ニュージーランド戦に向けた会見で、自信をのぞかせていました。
フリアン・モントーヤ主将
「私たちはフォワードは一貫性と強度を保ち、トレーニングしている。私たちのレベルは上がっているし、自分たちに全幅の信頼を置いている。ウェールズ戦でもそれが見えたと思う」
◇ニュージーランド◇
《プールA》
●ニュージーランド 13-27 フランス
○ニュージーランド 71-3 ナミビア
○ニュージーランド 96-17 イタリア
○ニュージーランド 73-0 ウルグアイ
《準々決勝》
○ニュージーランド 28-24 アイルランド
ニュージーランド 開幕戦で敗れるも立て直す
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ニュージーランドは開幕戦で地元・フランスに敗れ、史上初めて1次リーグで敗れる屈辱を味わいましたが、その後は3連勝してプール2位で決勝トーナメントに勝ち上がりました。
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準々決勝、世界ランキング1位のアイルランド戦では、2枚のイエローカードを出され、数的不利な時間帯がありながらも、粘り強い守備とテンポの良い攻撃でアイルランドに主導権を渡しませんでした。
そして4点リードで迎えた試合終盤、アイルランドの5分以上にもわたる連続攻撃をしのぎきり、大接戦を制しました。
注目はボーデン・バレット
世界中にファンを持つ”オールブラックス”の身体能力抜群の選手たちが豊富な運動量と圧倒的な体の強さで展開するスピードあふれるラグビーは今大会も健在です。
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ここまで「281得点」「41トライ」はいずれも1位と、攻撃力の高さを表しています。
準決勝での注目は、フルバックのボーデン・バレット選手です。
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正確なキックやスピードのあるランに定評があり、自らトライも取ることができる決定力が高い選手です。
アイルランド戦では、みずから蹴ったボールを拾って最初のトライにつなげました。
バレット選手はアルゼンチンの戦いについて、”フィジカル”に加え ”キック”が試合の鍵を握るという見解を示しました。
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ボーデン・バレット選手
「アルゼンチンは特にフォワードの選手たちのフィジカルが強い。彼らは懸命に走り、懸命にスクラムを組み、懸命にボールを運ぶことができる。私たちが勝つために重要なのは、フィジカルの争いに勝つことだ。試合の日は寒く、雨が予想されているので、ロングキックがまた増えるかも知れない。ニュージーランドにはキックを蹴ることができる選手が複数いる。プレーの幅を広げるためにも重要になるだろう」
《試合のポイントは》
両チームは過去の対戦成績で、ニュージーランドが33勝2敗1引き分けと大きく勝ち越していますが、去年はアルゼンチンが勝利を挙げています。
身体能力をいかした攻撃力でニュージーランドが試合の主導権を握るのか。アルゼンチンが強靭なフィジカルを発揮して、初めての決勝に進出するのか、注目です。
【イングランド(5位)×南アフリカ(1位)】
日本時間22日には、同じくスタッド・ド・フランスで、世界1位の南アフリカと世界5位のイングランドが対戦。前回の日本大会の決勝で戦った両チームが今大会は準決勝で顔を合わせます。
◆イングランド◆
《プールD》
○イングランド 27-10 アルゼンチン
○イングランド 34-12 日本
○イングランド 71-0 チリ
○イングランド 18-17 サモア
《準々決勝》
○イングランド 30-24 フィジー
イングランド 今大会唯一の無敗チーム
イングランドは、1次リーグが日本と同じプールDでした。大会前は不振も伝えられていましたが、初戦のアルゼンチンに勝つと、4連勝で1位通過しました。
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フィジーとの準々決勝は、終盤に追いつかれる苦しい展開となりましたが、キャプテンのオーウェン・ファレル選手が”伝統”のドロップゴールを決めて勝ち越し、2大会連続の準決勝行きを決めました。
また、今大会唯一、ここまでまだ無敗のチームです。
イングランド“伝統のキック”
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イングランドはキックを効果的に使いながら、強力なフォワード陣が攻め込む戦術を得意としています。
今大会も1次リーグでキックからプレーを続けた回数が135回と全チームの中で最も多くなっています。
ラグビーではキックをすると相手のボールになる可能性が高くなりますが、イングランドは、味方のボール保持につなぐ確率が21.5%とトップでした。
キックを得意としているイングランドですが、南アフリカ戦で警戒しているのが意外にも相手の「キック」です。
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今大会、ジョニー・ウィルキンソンさんの持つイングランド歴代最多得点記録を更新したキャプテンで司令塔のファレル選手は、南アフリカの“キック”への警戒感を口にしました。
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オーウェン・ファレル主将
「南アフリカのキックは何年も前から彼らの大きな武器になっているし、彼らはキックを進化させている。彼らは攻守両方が競り合えるキックをたくさん蹴ることができる。しかもスクラムハーフが蹴る縦のキックだけでなく、今ではフィールドを横切るキックを使うこと多いのでターンオーバーから致命的なダメージを受けることもある」
◇南アフリカ◇
《プールB》
○南アフリカ 18-3 スコットランド
○南アフリカ 76-0 ルーマニア
●南アフリカ 8-13 アイルランド
○南アフリカ 49-18 トンガ
《準々決勝》
○南アフリカ 29-28 フランス
南アフリカ 連覇まで“あと2つ”
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前回優勝の南アフリカは、1次リーグでアイルランドに競り負けましたが、それ以外の試合では順調な試合運びで1次リーグをプール2位で突破しました。
準々決勝のフランス戦では、地元のファンが多数詰めかける圧倒的アウェーな状況の中で、激しいシーソーゲームの末、フランスに1点差で勝利しました。
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注目はキックチャージのチェズリン・コルビ選手
キックを得意とするイングランドに対し、南アフリカのジャック・ニーナバーヘッドコーチは、自信をのぞかせます。
ジャック・ニーナバーHC
「イングランドには特有のキックゲームがあり、ボールを持たずにプレーすることに慣れている。キックを自陣で蹴り、プレッシャーをかけて相手のミスを待つ戦略です。何をして来るかはわかっている」
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南アフリカの特徴は世界ナンバーワンとも言われる圧倒的なフィジカルをいかしたラグビーですが、スピードやキックも侮れません。
注目はウイングのチェズリン・コルビ選手です。
準々決勝ではゴールキックを蹴るフランスの選手に驚異的なスピードで迫り、両手を挙げてキックをチャージして得点を阻止。世界中を驚かせました。
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このコルビ選手、ここまで全選手の中でボールを持って運んだ距離は最多となる317メートル。
ボールを持って、タックルしてきた相手を抜いて前に進むラインブレイクもチーム内で最多となる5回を達成していて、準決勝でもどんなプレーを見せてくれるか注目です。
《試合のポイントは》
両チームの対戦は、南アフリカが27勝16敗2引き分けと大きくリードしていて、去年のテストマッチでも南アフリカが27対13で勝利しています。
ともにフィジカルに強さがあり、両チームが互いのキックを警戒する中、試合終盤まで勝負がわからない緊迫した展開が予想されます。
連覇を目指す南アフリカが決勝に進むのか、イングランドが前回大会の決勝の雪辱を果たすのか、注目です。