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五郎丸歩×田村優 豪華対談 ~第2回 どう戦うJAPAN~

ラグビーのワールドカップフランス大会まで1か月を切りました。2015年のワールドカップをともに戦った五郎丸歩さんと田村優選手による豪華対談(ことし6月に実施)をテキストでほぼ全文を掲載いたします。コアファンも「にわか」と呼ばれるファンも大会が待ち遠しくなるような話を聞いてきました。さまざまなテーマに沿った対談を3回にわけてお伝えします。第2回は「どう戦う…JAPAN」です。

目次

    1次リーグを勝ち抜くポイントは?

    (五郎丸)
    僕は3つあると思っていて、1つはスクラム。これは大前提の土台なので、ここで負けてしまったら戦いにならない。

    合宿でモールの練習を繰り返す

    もう1つは、日本は速い展開をしたいので、ブレークダウン、ボール争奪戦のところでいかに有利に進めるか。

    もう1つは、ペナルティーのマネージメント。いまのラグビーでは、頭に少しでも手がかかったり、肩でタックルにいってしまったら、一発でレッドカード。その後、出られなくなります。例えば中心メンバーがチリ戦でやってしまったら、1次リーグのほかの試合に出られないということにもなる。今大会の1番の鍵は何かと言われると、ペナルティーのマネージメントです。カードをもらわないということ。安全なタックルをやり続けるというところが一番やらなくてはいけないところだと思います。

    (田村)
    そうですね。それと脳しんとうですよね。あとはケガ。やっぱり重いチームに対して、きちっとしたタックルを決めるのは結構大変ですよね。

    主将の姫野選手(左端)とリーチ選手(左から2人目)

    あとは、誰がギアを上げる人になるのかなっていうのも、ポイントかなと思います。19年は1試合ごとに強くなっていった感じがあって、成長のスピードも倍速ぐらいだったと記憶しています。

    初戦・チリ戦をどう戦う

    (五郎丸)
    やっぱりワールドカップの開幕初戦って、めちゃくちゃ緊張するよね。

    2019年大会開幕戦前の日本代表フィフティーン

    (田村)
    やばいですよ。

    (五郎丸)
    どれだけ準備できているかが一つポイントにはなってきますね。チリは初出場でアメリカに勝って最終的に上がってきた。過去のデータや選手たちの映像があまりないというのが気持ち悪い部分ではありますが、そこをどう分析していくか。

    (田村)
    そうですよね。試合数が少なくてわからないのはちょっと怖さはありますよね。19年のロシアも事前に見ていましたけど、数も少ないし正直わからなかったです。いざ試合をしてみると、ぶつかれば強いし、初戦の緊張感でボールを動かせないんですよ。ボールも手につかないし。チリが相手だったら日本はボールを動かしたいんでしょうけど、雨が降ったりしてそうできない状況になった時にどう対応するのか。ちょっと楽しみですね。

    (五郎丸)
    南米のチームで間違いなく体は強いし、初出場ということでかなり勢いもあるだろうなと。

    (田村)
    いいランナー多いですよ。

    (五郎丸)
    キックもたぶん上手だろうし、その中でいかに冷静に戦うかが鍵になりますね。ヨーロッパのファンって目がかなり肥えているんです。この2大会、ワールドカップの旋風を巻き起こしてきた日本への期待感はやっぱり高いと思います。初戦をうまく戦ってヨーロッパの観衆を味方につけられるかがかなり大事になってくる。特に2戦目がイングランド戦なので。

    (田村)
    海外の他の国の人たちが応援してくれる感じが強いですよね。

    (五郎丸)
    やっぱりいいプレーに対する称賛というのは間違いなくヨーロッパの中ではある。欲を言えば、「日本代表、すごいよね」っていう期待感を持たせるような試合をして、イングランド戦に、ヨーロッパのファンの人たちと一緒に向かいたい。

    2戦目 イングランド戦は?

    (田村)
    僕の注目はリーチ マイケル選手ですかね。どのタイミングで入るか分からないですが、やっぱり経験と勘で大事なところで大きな仕事をしてくれると思います。

    合宿でファンとふれあうリーチ選手

    (五郎丸)
    もう1人あげるとすると、10番=スタンドオフに誰が入るか。

    (田村)
    そうですね。

    (五郎丸)
    この4年間一番安定してないところが、この10番のポジション。司令塔がずっと安定していなかったし、ここに誰が入るかによってゲームはかなり変わってきますね。

    (田村)
    僕は松田力也選手にがんばってほしい。

    松田力也選手

    やっぱり前回のワールドカップは控えにまわって悔しい思いを持って出るというのが大きいと思うので、すごく期待していますし応援しています。一方、李承信選手は僕が今までプレーした中で一番スキルがあって可能性をすごく感じた選手です。それと何か独特なオーラみたいなものも感じます。勝たせる意志みたいなものがすごくあるんですよね。なので松田力也選手、李承信選手、リーチ選手ですかね。15年、五郎丸さんと同部屋でいろんなことを聞いたり感じたりしました。そのうえで臨んだワールドカップが19年でした。彼らに伝えたことが少しでもプラスになっていればうれしいですし、もちろん期待もしています。

    4戦目 アルゼンチン戦 勝利のポイント

    (田村)
    アルゼンチンは、イングランドと同じぐらい強いですよね。

    2019年大会でアメリカに快勝のアルゼンチン

    (五郎丸)
    強い。

    (田村)
    あと荒いですよ。顔を踏んだりしてくるので。やっぱり南米のチームはいいランナーが多い。最後はめちゃくちゃ接戦になりそうですね。

    (五郎丸)
    日本代表が1次リーグを突破できるかできないかは、この試合にかかっていると思います。その大事な試合で、レッドカードが出ないことが大前提だし、戦えるメンバーを最後までしっかり保持し続けるというのは今大会非常に大事になると思います。

    (田村)
    選手で言ったら誰ですかね。

    (五郎丸)
    誰か1人をあげるとするのであれば、堀江翔太選手がポイントになるんじゃないかなと。

    合宿での堀江翔太選手

    (田村)
    そうですよね。スタートからいっても良さそうですよね。

    (五郎丸)
    精神的にもチームを落ち着かせることができるし、経験もあるし、人望もある。彼が勝負どころで、どういうふうにチームを持っていくか。おそらくキャプテンになることはないけど、それ以上の存在感を彼は持っている。重要なポイントで、重要な発言と重要なプレーでチームを引っ張ってくれるんじゃないかな。アルゼンチン戦に関しては、アルゼンチンがどうこうよりも自分たちがどう戦うかというところが一番キーになってくると思います。

    (田村)
    2019年と照らし合わせると、アルゼンチンはちょっとサモアに似ている感じが僕はすごくある。そうなると、明らかに能力を持っている選手ってすごく大事だと思うんですよね。誰も止めれないっていう。経験ももちろん必要だと思う。

    テストマッチで突進する松島選手(ことし7月)

    僕は松島幸太朗選手。最後誰も抜けないところを抜いてくれたり、起きないことを起こしてくれる特別な能力を持っている選手だと思います。1本トライが欲しいとき、必ず松島選手がいつもいいところにいる。僕は松島選手に期待したい。

    世界の注目チームや優勝候補は

    (田村)
    僕はもう1択です。フランスです。

    (五郎丸)
    その心は?

    (田村)
    僕、ラグビー普段全然見ないんですけど、フランスのトップ14の決勝戦は見たいなと思って見たんですよ。国としてラグビーが根付いていて応援もすごい。そんなにきれいなラグビーをしているわけじゃなかったんですけど、ワールドカップ以上のものがこの決勝戦に出ているなと思いました。彼らがフランス代表になってワールドカップを戦うとなったら相当価値のあるチームだろうなと思いました。

    (五郎丸)
    私も同じく優勝候補はフランスです。フランスは19年大会の前から23年にピークを迎える選手たちを代表に招集しました。切り替えたにもかかわらず、19年は結果を残しました。そこからかなり成熟したチームになったなという印象があります。やはり国内リーグが今世界最高峰のレベルで、選手たちはその高いレベルで日々プレーしている。日本代表のテストマッチみたいな試合をずっとやっているので強い。あと、注目チームでいうと日本はめちゃくちゃ楽しいラグビーをしていますね。

    (田村)
    たしかにそうですね。

    テストマッチの後一緒に写真に収まる日仏の代表選手

    (五郎丸)
    この2大会、世界中誰も期待していないことを成し遂げてしまう日本のラグビー界のワクワク感。これも唯一無二だなと。おそらく世界のラグビーファンは、そういう目で見ているだろうし、対戦相手がイングランドだろうがアルゼンチンだろうが日本だったらやるんじゃないかっていう期待感がある。やっぱりやっているラグビー自体がめちゃくちゃ展開が速くて日本にしかできない独自のもの。日本のラグビーの価値というのはそういうところにあるんじゃないかと思います。あとは、毎回言っているんですけど、フィジーはおもしろい。

    (田村)
    優勝してほしいですけどね。

    (五郎丸)
    優勝してほしいし実力はある。日本とちょっと似ている感じもあります。

    (田村)
    そうですね。魅力的ですよね。

    (五郎丸)
    前評判を全部ひっくり返すっていう。

    (田村)
    1発で全部変えちゃいますもんね。楽しみなチームも多いですね。あと、所属チームが一緒のファフ・デクラーク選手に何言われるかわからないので、南アフリカも挙げておきます。

    (五郎丸)
    優勝候補筆頭は間違いなくフランスですね。これは間違いないです。

    日本代表