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松田力也 ”屈辱をバネに” ラグビーワールドカップへの決意

ことし9月にフランスで始まるラグビーワールドカップ。開幕まで6月8日で3か月となります。NHKでは、代表候補の選手たちにスポットをあてた特集記事を、ここまでNHKが放送してきた企画・リポートを含めシリーズでお伝えします。

今回は日本代表の命運を握る司令塔、スタンドオフのポジションをねらう松田力也選手。けがを乗り越えて大舞台を目指します。

目次

    日本代表大躍進の陰で

    「パワーアップした姿を見せられるように準備している。やっていける自信は持っている」

    こう力強く話してくれたのは松田力也選手、ラグビーリーグワンの埼玉パナソニックワイルドナイツのスタンドオフです。前回、日本で開催されたワールドカップでは25歳で代表に入り、安定感のあるプレーで日本のベストエイト進出に貢献しました。

    日本開催の前回大会に出場(2019年)

    しかし、出場した4試合はいずれも後半の途中から。チームの大躍進とはうらはらに主力としてプレーできなかった悔しさが残りました。

    準々決勝で敗退し涙ぐむ松田選手(右)

    松田選手
    試合に少ししか出られなかったのはすごく屈辱だった。悔しさもあるので、次の大会に向けてっていう自分の中でエネルギーを燃やせるいいきっかけになった。

    突然襲った"左ひざのじん帯断裂"

    フランス大会でやり返す。松田選手は、その強い思いを胸にリーグワンの試合に臨んでいました。順調に試合を重ねていた去年5月、それは突然起こりました。

    松田選手
    明らかに違いました、自分では。ステップ踏んだときに今までにない痛みが。これまでとは違ったものでした。

    左ひざの前十字じん帯断裂。復帰まで1年近くかかることもある大けがでした。

    病室の松田選手

    すぐに手術を受けた松田選手。すべてをかけてきたワールドカップ出場が危ぶまれる大けがに、いろいろな感情がわき上がってきたことを話してくれました。

    松田選手
    不安はすごく大きかったです。起きたらひざがよくなっているんじゃないかなっていう、絶対ないのに、そういう希望を持ったこともありました。

    負けない 自分に言い聞かせた言葉

    手術後、左の太ももは10センチ以上細くなりました。それでも自分に言い聞かせたのは"負けない"という言葉。"前よりも強くなるんだと"、けがを言い訳にせず、体づくりに励んできました。

    松田選手
    負けない、けがしない、パフォーマンスを上げられる体づくりの部分はリハビリを通して準備はできた。

    "フランスでやり返す"、その強い思いが松田選手の背中を押していました。

    復活した姿はリーグワンで

    けがからおよそ7か月後。今シーズン、リーグワンの開幕戦に松田選手はきっちりと間に合わせていました。この試合で松田選手の復活を印象づけたプレーがありました。

    リーグワン開幕戦 (2022年12月17日)

    およそ40メートルを走り切ってのトライ。ワールドカップへの不安を一蹴するのに十分なプレーでした。そしてなにより厳しいリハビリが間違っていなかったと自信を深めた瞬間でした。

    タックルを受けながら決めた松田選手のトライ

    松田選手
    あの距離、走り切れたっていうのが僕の中では結構手応えがありました。下半身のトレーニング含めてしっかり準備したからこそやっぱり走り切れたと思います。いけるなっていう手応えをつかんだ試合だったと思います。

    ワールドカップへの決意

    大けがを経験し、ひとまわり大きく、強くなって戻ってきた松田選手。フランスで大舞台に立つ決意は揺らぐことがありません。

    松田選手
    2019年以上の結果を出すためにいまできることを努力したいと思うし、1日1日のトレーニングだったり練習の中で成長し続けたい。

    【取材後記】
    大会の開幕まで100日を切りました。松田選手は今シーズン、キック成功率85.5パーセントをマークしてリーグワンの「ベストキッカー」に選ばれました。6月の日本代表合宿でもメンバーに入っています。正確なキックと安定感のあるプレーでフランス大会での活躍が期待されています。松田選手のプレーから目が離せません。(小林達記記者)

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