就活ニュース

“フツー”の人がリーダーとして成功するために大事なこと

2021年06月25日

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リーダー=カリスマ指導者。
そんなイメージありませんか?

でも、そんなことはないんです。
早稲田大学ラグビー蹴球部の監督としてチームを2度の全国優勝に導き、コーチングのプロとしても多くのリーダーを育成してきた中竹竜二さんは「カリスマだけがリーダーじゃない!」と言い切ります。

「私、ずば抜けた実力も統率力もないですし、リーダーなんて向いていない・・・」と思っている方のために「“フツーの人”がリーダーとして成功するための方法」を聞いてきました!

(聞き手:小野口愛梨 堤啓太)

学生

本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いします。

中竹さん

まずは、自己紹介を兼ねて、中竹さんがどういうお仕事をされているのか教えてください。

私自身仕事は多岐にわたっているんですが「リーダー」に関わることでいいますと、チームボックスという会社の代表をしています。

そこでは、リーダーを育成することで組織全体の風土や文化を変え、より良い組織や社会をつくっていくための支援をしています。

中竹竜二
1973年福岡県生まれ。早稲田大学ラグビー蹴球部では「プレーの実力は平凡な選手」(本人談)ながら、4年次は主将を務め、大学選手権準優勝。卒業後は、イギリス留学を経て三菱総合研究所入社。

32歳で母校の早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任すると自立支援型の指導法で大学選手権2連覇。現在は「コーチのコーチ」としてリーダー育成や組織変革のコンサルタントを行う。

会社の代表としてのリーダーでもあり、様々な組織のリーダーを育成するいわゆる「コーチのコーチ」をしています。

その他にもラグビーをはじめとした様々なスポーツの指導者へのコーチングを10年以上やってきました。

ご自身もリーダーであり、リーダーを育成することもされているんですね。

選手の指導は皆さんにもイメージがつくかと思いますが、組織が強くなっていくには、「教える側の人たちにどうやって学びを促していくか」ってことが大事なんです。

公式戦出場なしで主将に

学生
小野口

そもそもですけども、どうして早稲田大学のラグビー蹴球部に入ったのかをお聞きしたいです。

私はラグビーの盛んな福岡県で生まれて、たまたま家の前にラグビースクールがあったんです。

そこに、兄が入っていて、私の意思とは関係なく、小学校1年生の時に入ったんですよ。

写真はイメージです

小中学時代、土日にラグビースクールで活動しているうちにラグビーが好きになり、高校は東筑高校というところに行ってラグビー部に入りました。

花園を目指して3年間頑張っていたんですけれども、夢がかなわず県大会で負けました。

けがも多かったですし、ラグビーは高校まででやめようと思ってたんですが、目指していた花園までたどりつかず、県予選で負けたことに悔いが残っていて・・・。

高校を卒業して、現役で地元の大学に入ったんですけど、やっぱり「本気でラグビーがしたい、大学生活をかけて出し切りたい」と思って、仮面浪人して早稲田大学を受けなおしたんです。

その後、4年生では主将になられたということなんですけども、どんな経緯で選ばれたのでしょうか。

当時の練習場所だった東伏見グラウンドで泥だらけになって練習する中竹さん

当時は、監督と卒業していく4年生の学生幹部が話し合って、後任の主将を決めるのが通例でした。

実は、私は3年生のその時点まで、レギュラーどころか、(主要な)公式戦に1度も出たことがなかったんですよ。

そういう選手だったので、もちろん、監督や卒業していく4年生が主将として指名したのは別の選手でした。

だけど、自分たちの代のほぼ全員が「やるのは我々なんだから、主将は自分たちで決めたい」といって、その指名を受け入れなかったんです。

いろいろ話し合ったりもしたんですけど、そのまま平行線をたどり、結局先輩方は時間切れで卒業してしまったんです。

学生たち

えー!

最終的にOB会と大学側が決めて主将をやることにはなったんですけど「収拾がつかないから、仕方なく主将をやらせてやる」みたいな雰囲気だったですね。

どうして、そこまでして同期からリーダーに押し上げられたと思いますか?

早稲田のラグビーって「日本一がすべて」みたいな価値観があるんですよね。「優勝しなければ、決勝で負けても、1回戦で負けても一緒だ」みたいな。

自分たちの代も、本気で日本一を目指していたわけですけど、1年生のときから3年生のときまで優勝できなかったんです。

なので「チーム作りを根底から変えないと勝てないんじゃないか」という強い思いがあったんだと思うんですよ。

なるほど。

それと、私たちの代は、自分たちが普段頭の中でなんとなく思っていることをしっかり議論し、これまでの伝統とか、上下関係とか、体育会系の理不尽なことに対して、きちんと向き合っていきたいという意志が強かったんです。

それを体現するには、私が主将になるのが最適だったんだと思います。

“ファシリテーター”というリーダー

3年生までレギュラーじゃなかったということでしたが、試合以外の面では、みんなを引っ張っていたんですか?

私がそれまで3年間何をやっていたかというと、私が物事を決めるというよりは、話し合いをするときの“ファシリテーター”をしていました。

ファシリテーター?

議長みたいな感じです。体育会系の厳しさもあり、早稲田大学ラグビー部の1、2年生って雑用がいっぱいあったんですよ。グランドを整備したり、ジャージをそろえたり、ボールを片づけたり。

天候や遠征などのスケジュールに合わせて多岐にわたる仕事を整理していかないといけない中で、私がみんなを集めてまとめ役をやっていたんですね。

そういう役回りがあったほうが円滑に進むと思っていたけど、誰もやらないので、自分がやったということなんですけどね。

そういう姿を見ていて「こういった感じでチームを作れたらいいんじゃないかな」という考えは同期の中にあったと思います。

試合前に、主将として部員に声をかける中竹竜二さん

自分が主将になったら自分なりのチーム作りができるっていう確信があったんでしょうか。

目指している日本一になれるかどうか、勝つか勝たないかは分からないですけど、みんなの意思を汲み取り、少しでも健全にいい組織に向かうファシリテーションは、自分にしかできないだろうなとは思ってましたね。

ただ、私が試合に出て活躍できるかっていう自信は、さらさらなかったです(笑)

極論を言うと、同期も私に対して、チーム作りをやってくれればよくて、試合に出て活躍することはぜんぜん期待していなかったと思います。

そもそも、私を主将に推した同期の中には、同じポジションの部員もいますし、主将だからレギュラー確定ってことは誰も許さなかった。そこに関してはフラットにいち選手として戦うっていう前提がありましたね。

主将として試合のグラウンドに出ていく4年生の中竹竜二さん

誰よりも考え抜いた

リーダーをする上で、中竹さんを支えていた言葉などは何かありましたか。

そのころ常に大事にしてたのは「全力で出し切る」ということ。

出し切る。

“オールアウト”って言葉で表現するんですけど、とにかく全力で出し切るというのを我々の代は一番大事にしていました。

余力を残してその日を終えるんじゃなくて、毎日先を見据えないで、尽きるまでやることによって人は成長するし、それによって得るものがあると信じていたんです。

中竹主将時代の早稲田大学ラグビー蹴球部の1年を追ったノンフィクションは「オールアウト」というタイトルで後に出版された(時見宗和 著、スキージャーナル 出版)

議論にしてもそうですね。私がファシリテーターをやるんですけど、学年会で話が終わらず徹夜で議論したり、殴り合いの喧嘩とかもしょっちゅうでした。

私は「徹底的にやるために、自分がキャプテンになったんだろうな」と思っていたので、妥協はしなかったですね。

キャプテンになってからご自分の中でそういうリーダー像を確立していったのか、それとも当時、誰か目標とする方がいたんですか?

目標とする人は誰もいなかったですね。

では、“我流”って感じなんですね。

我流といえば我流ですけど・・・。

奇をてらっていたというよりは、目的に対してどうすればいいかを論理的に考えた結果、私がやっているやり方が、今、このチームにおいてはベストだなっていう感覚はありましたね。

なぜですか?

なぜかというと誰よりも考え抜いてたっていう自信があったからです。

いろいろ経験が積み重なって、自分がやってるものが正しいと思えるようになっていくのならわかるんですけど・・・。その状況で、自分のやっていることに確信をもっていたのがすごいなって普通に思っちゃったんですけど。

いい質問ですね。それで言うと、私は小学生ぐらいから、自分に対してかなり冷静だったとは思いますね。

実は、子どもの頃あまり字を読むのが得意じゃなかったんです。それで馬鹿にされたり、学校でもうまくいかなかったりしたことがあり、すごく悩んだんですね。

小学校の国語の授業って、教科書の音読をさせられるじゃないですか。あれに毎日苦しんでたんですよ。

これはもう嫌だと思って、小学2年生の時、翌日読まされそうな部分を全部覚えたんですね。

次の日の授業で、案の定当たって、人生で初めてスラスラ読んだんですよ。

でも、今まで笑ってたヤツや先生が褒めてくれるかなと思ったら誰も褒めてくれずにスルー。「はい、じゃあ次」みたいな感じになったときに、「ああ」と思ったんです。

といいますと?

これぐらいできたところで誰も褒めてくれない。そう思った時にすごく悔しくて。

「人の期待に応えるのはやめよう」というのと「自分は人の10倍努力してやっと追いつくから、残念だけれどもこれからの人生、人の10倍頑張らないとダメなんだ」っていうマインドセットに変わったんです。

劣等生だと思っていたので、仕方なく自分のやり方を見いだしていかないといけないし、他の人からすると間違いのように見えたとしても、こちらの方が圧倒的に考えてるって自信があるときは自分のやり方でやろうと思いましたね。

自分の能力の低さを、ネガティブじゃなくポジティブに捉えていた感じがあって、自分はいわゆる普通の人の成功パターンじゃないということにかなり早い段階で気付いていたんですよ。

すごいですね。

字を読むのが得意じゃないことは、のちに、読字障害(ディスレクシア)だったことが分かったんですけど。

読字障害を持った人の受験勉強のやり方なんて誰も教えてくれなかったので、自分で編み出した勉強方法をとりました。

なので、私は、塾に行かずに受験を乗り越えてきたんですよ。

そうだったんですか。

その延長で、私みたいに、プレーヤーとしては大したことのない人間が主将をやる時に、(プレーで引っ張れる実力がある)歴代主将と同じようなことをやっても意味があるはずがなくて、私しかやれないことをやるしかなかったんです。

すごく納得しました。

リーダーとは「責任者」ではなく・・・

中竹さんにとってリーダーというのは何かというのを、一言で表していただくとしたら何でしょうか?

責任ではなく責任感。

「責任があるかどうか」じゃなくて、「責任感を持っているかどうか」ということです。

自分の心の中に、でしょうか?

はい。何でこれを強調するのかというと、私は基本、全員がリーダーだと思ってるんですよ。

私が作るチームは全員リーダーなんですよ。役職は関係なく。

私は会社を経営していますので、もしうちの社員が何か問題を起こしたら代表である私が謝りに行かないといけないです。責任があるから。

同様に、チームが負けたら自分の責任だって監督は思っているんですけど、一方で問題が起こった時に、「それ、自分の責任かも」って思える人はみんなリーダーだと思うんです。

みんながリーダーって、初めて聞きました。

だから私はチームを作る時、最初に「全員がリーダーです」と言います。「リーダーの定義は責任感を持つことです、責任そのものではありません」。「この瞬間からリーダーなので、頑張っていきましょうね」と。

残念ながら世の中には逆のパターンで、責任はあるけど、責任感がないという企業人もたくさんいます。

だから、あえて「責任ではなく責任感」という言葉を強調します。

ありがとうございます。

一方で、自分もそうですが、「本当に自分がリーダーでいいのかな」とか自信がない人も多いと思うんです。

そんな人が「リーダーになるための第1歩というか、こんなことから意識するといい」ということはありますか?

若い方に限らないんですが、正解を求める傾向が強いじゃないですか。答えがわかっていたらやるけど、分からなかったらやらない。自信があったらやるけど、自信がなかったらやらないって。

この癖を捨てた方がいいですね。私だって迷うし、悩むわけですよ。ただ、悩むから考えて、探求するんです。

迷っていること自体が、成長のチャンスだなって思ってくれればいいなと、思うんですね。

後編は、監督編です。低迷していたワセダラグビーを復活させた“カリスマ指導者”清宮克幸監督の後任として監督となった中竹さん。“カリスマ”を失い、新監督に反発する学生たちと苦労しながら見いだしたチーム作りの哲学をおうかがいします。「みんなが輝く“最強なチーム”の作り方」はこちらからごらんください。

編集:吉岡真衣子

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