2023年11月27日
中国 中国・台湾

最新パンダのシャンシャン 中国での暮らしは?お相手は?

東京の上野動物園で生まれ育ち、ことし2月に中国に返還されたメスのジャイアントパンダのシャンシャン。

中国でどんな暮らしをしているのか。
繁殖に適した年齢を迎える中、お相手は見つかったのか。

現地でシャンシャンの世話を担当する飼育員の女性に話を聞きました。

(広州支局長 建畠一勇)

たけのこモグモグ… 中国でも食欲旺盛!

のしのしと、しっかりした足取りでこちらに向かってくるシャンシャン。

中国に返還されたジャイアントパンダ「シャンシャン」

どしんと腰を下ろし、好物のりんごを手でつかんで、ぱくりとかじりつきました。ガラス越しの報道陣を気にするそぶりも見せず、満足そうにほおばっていました。

りんごをたいらげると、次はたけのこに舌鼓。おなかの上はあっという間に、たけのこの皮が山積み状態に。

シャンシャン、中国でも食欲旺盛。元気な姿を見せています。

シャンシャンが暮らす中国四川省

私たちが訪れたのは中国内陸部にある四川省です。東京から直行便だと6時間ほどの距離です。“パンダのふるさと”として知られ、この地には、およそ1800頭いる野生のパンダのうち、7割以上が生息しているとされています。

中心都市の成都から南西におよそ120キロ。空港からは車で2時間ほどのところにある雅安という町に、シャンシャンが暮らす「中国ジャイアントパンダ保護研究センター・雅安碧峰峡基地」があります。

中国ジャイアントパンダ保護研究センター・雅安碧峰峡基地

緑豊かな山の中にあるこちらの施設。敷地は400ヘクタールで、東京ドームに換算すると、85個分もの広さです。この広大な敷地の中で、シャンシャンを含むおよそ60頭のパンダが保護されています。

施設にはシャンシャン以外にもたくさんのパンダが

返還から8か月が過ぎた先月(10月)、シャンシャンはようやく一般公開が始まりました。

シャンシャンがいるのは、大きなガラスの仕切りが設置された場所です。

パンダ基地の中ではあるものの、緑豊かな敷地内で、自然に近い環境で暮らしています。えさは、新鮮な竹やりんごなどが提供されています。案内板には、漢字表記で「香香」(シャンシャン)と書かれ、日本から来たことが記されています。

飼育員が語る 落ち着きがなかったシャンシャン

シャンシャンが日本からやってきて以降、ずっと世話を担当しているのが、飼育員の趙蘭蘭さんです。シャンシャンの健康状態や中国での暮らしぶりについて、日本のメディアの取材に答えました。

中国に来たばかりの時は、環境に慣れず、シャンシャンは落ち着きがなかったと明かします。

シャンシャンの世話をする飼育員 趙蘭蘭さん

趙さん
「シャンシャンは気が小さく、少し臆病な性格を持ったパンダです。環境に適応するには時間が必要でした。
検疫のため隔離されている時は、ストレスを感じていたようでした。施設の中を行ったり来たり走り回っていましたし、エサを食べないときもありました。
そのときはシャンシャンをなだめる方法すらありませんでした」

「私を信頼して」毎日顔を見せて声をかけ続けた

環境に慣れないシャンシャン。趙さん以外の人はシャンシャンに近づかないようにし、あせらずに時間をかけて見守りを続けることにしました。

趙さんは毎日、シャンシャンに言葉をかけ続けて、少しずつ趙さんや周囲の環境に慣れさせたということです。

上野動物園では日本語を聞いて育ったシャンシャンですが、今では、現地のなまりが入った中国語にも反応してくれるようになったと言います。

趙さん
「毎日、長い時間、言葉をかけて交流することによって、シャンシャンが私やこの環境に慣れるように心がけました。基本的に毎日一緒にいて、顔をあわせてやりとりしました。
シャンシャンが私が伝えたいことを理解しているかはわかりませんが、私がお世話を担当していることを理解し、信頼してほしいと思っていました」

趙さん
「当初は私の姿を見ると顔を背けて逃げていましたが、今は対面で向き合うことができ、食事もとってくれます。屋外にいるときに私が声をかけると、小屋のほうにもどってきてくれるようになりました。
これは、時間をかけてシャンシャンと信頼関係を築くことができた証なんです」

一般公開 観光客多い時期を避け

趙さんは、シャンシャンの一般公開の時期についても、過度なストレスを与えないよう配慮し、多くの観光客が詰めかける中国の建国記念日にあたる「国慶節」の大型連休が終わってからに設定しました。

今では環境にもなれ、食欲はかなりあるようで、毎日、竹を16キロ、たけのこを6キロ、リンゴを400グラムほど食べ、一般公開後も、健康状態は良好だということです。

シャンシャンにパートナーは?

上野動物園によると、ジャイアントパンダのメスは、3、4歳ごろから20歳前後までの間が繁殖に適した年齢だといいます。

2017年6月生まれのシャンシャンもすでに6歳です。報道陣からはこんな質問もあがりました。

Q「シャンシャンにボーイフレンドの候補はいますか?」

趙さん
「これは国レベルでの調整が必要です。遺伝的な観点からも考慮し、どういう繁殖ペアがふさわしいか決めていきます。ただ、現在は発情期ではありませんし、提供できる情報はありません」

Q「シャンシャンはほかの国に送られる可能性はありますか?」

趙さん
「今の時点でははっきりとしたことはわかりません」

ぜひシャンシャン見に来て

一般公開を受けて、シャンシャンを一目見ようと、日本からもすでに多くの人がこの施設を訪れるようになっているということです。

最後に、日本にいるシャンシャンのファンに対して、趙さんは次のように話しました。

趙さん
「シャンシャンは中国に来る前からとても注目されていましたが、公開後は毎日、多くのファンが見に訪れています。
私たちがしっかり世話をしていて、とても良い状態ですので、どうぞ安心してください。そして時間があるときに、ぜひその姿を実際に見に来てください」

(11月7日 首都圏ネットワークで放送)

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