“感謝無敵”感謝に勝る能力はない

隅田知一郎

野球

2021年秋のプロ野球ドラフト会議で4球団が1位指名で競合した西日本工業大の投手、隅田知一郎。抽せんの結果、西武が交渉権を獲得し、入団が決まった。

「来季の優勝に向けてローテーションに開幕から入ることが目標。キャンプに向けた練習に取り組んでいる」

隅田は、最速150キロの力のあるストレートと、チェンジアップやカーブ、カットボールといった多彩な変化球を織り交ぜた投球術がプロのスカウトから高い評価を受けた。大学時代に飛躍を遂げた隅田の基礎は、長崎県の波佐見高校時代に培われたという。

高校入学時の体重は47キロほど。得永監督はまずは体重を8キロ増やすことを課したところ、すぐにクリアしたという。

「吐くくらい食べた。ちょっとずつ食べられるようになって、トレーニングにしっかりついていけた」

隅田は2年生の冬に左ひじを骨折。野球ができないつらい時期が続いた。

「監督から、いろいろな人のおかげで野球ができている、周りに感謝の気持ちを持ちなさいと指導をいただいた。みんなががんばっていたので、このままでは終われないという気持ちがあった」

このあと、3年生の夏に波佐見高校が16年ぶりの甲子園出場を果たす大きな力となった。得永監督は「けがをしている間に仲間に迷惑をかけた分、がんばらないといけないという思いであるとか、そういう人に対する思いやりとかが彼を引き上げた原動力になっていると思う」と振り返る。

そんな隅田が今も大切にしているのが、監督からもらった「感謝無敵」ということばだ。当時からのチームのスローガンで、“感謝に勝る能力はない”という意味だ。

「高校時代は自分がプロを目指すきっかけになった。感謝の気持ちを忘れずに、精進していけたらいいと思う」

小さい体をパワーアップさせた努力。けがに負けず、甲子園出場をつかんだ芯の強さ。そして、感謝の心。
鍛錬してきた精神の充実ぶりは必ずプロで生きるに違いない。

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