やらないで後悔するより、やって後悔したい

寺本明日香

体操

体操女子の寺本明日香。自身2回目のオリンピック出場となった2016年リオデジャネイロ大会では、女子団体4位と過去最高の成績に貢献し、その後も日本の中心メンバーとして活躍してきた。しかし東京オリンピックの延期が決まる前の2020年2月に左足アキレスけんを断裂。一時はオリンピック出場を諦めた。
その時、寺本の気持ちを奮い立たせてくれたのが、ともに日本代表で戦ってきた村上茉愛だった。

「けがをした瞬間にオリンピックは無理だと思い、もう終わったと感じた。競技をやめたほうが楽だと思ったが、村上選手から“絶対に乗り越えられる”と書かれた色紙をもらい、心が痛くなった」

2019年6月、東京オリンピックの団体の出場権がかかった世界選手権の日本代表が発表された会場。寺本は、直前の代表選考をけがで棄権した村上が大粒の涙を流しているのを見つけ、「必ず出場権を取ってくるから一緒に東京オリンピックに出よう」とことばをかけた。そしてその4か月後の世界選手権でオリンピックの出場権を獲得。村上との約束を果たしていた。

まだ、けがをする前の演技はできていない。それでも仲間との絆を胸に、東京オリンピックを目指す。

「やらないで後悔するより、やって後悔したい。結果も重要だと思うが、人生を語るような演技をしたい」

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