まだまだ卓球をやりたい、これからも頑張りたいと思えた

平野美宇

卓球

悔しい時も苦しい時も乗り越えて立った初めての大舞台、東京オリンピック。21歳の平野美宇は、女子団体のメンバーとして銀メダルを獲得した直後の記者会見で意外なことばを口にした。

「リオデジャネイロオリンピックからの5年間はすごく苦しいときもあって、ここ1、2年は卓球が好きじゃなかった。東京オリンピックが終わったらやりたくないなと思っていた」

前回のリオデジャネイロ大会で代表を逃した平野は、その悔しさを原動力に「超高速」と呼ばれる速いテンポの攻撃を確立し、翌年には中国のトップ選手を次々と破って卓球界に衝撃を与えた。しかし、その後は徹底的に研究され、思うような結果を残せない苦しい時期が続いた。
東京オリンピックのシングルスの代表争いでも、石川佳純にわずかの差で敗れ、代表を逃した。

それでも団体の代表に選ばれてたどりついた初めてのオリンピック。平野はこれまでの苦しさや悔しさをぶつけるように、躍動した。準決勝までの3試合すべてでダブルスとシングルスに出場し、2勝をあげる大車輪の活躍を見せた。

「プレーするのがすごく楽しい」

幼いころから目指してきた舞台での活躍は自信へと変わり、勝利を重ねるごとに笑顔が増えていった。決勝では、卓球王国・中国の壁に阻まれて銀メダルだったが、試合後の会見で口にしたのは、オリンピックが変えてくれた卓球への思いだった。

「今回試合をしていてすごく楽しくて、試合を楽しんだり幸せだなと思えたりしたのは、すごく久しぶりだった。まだまだ卓球をやりたいなと思えるようになってきたし、今はこれからも頑張りたいという気持ちがすごく大きい」

卓球の楽しさと自信を取り戻し、平野は前を向いて初めてのオリンピックを終えた。

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