世界一、目指さないですか?普通

金谷拓実

ゴルフ

短い言葉で思っていることを率直に語る。ふだんは、あまり表情を変えずに淡々とプレーするポーカーフェース。そんな金谷拓実だからこそ、その言葉が強く印象に残った。

「世界一、目指さないですか?普通」

記者に向けたリップサービスのつもりはみじんもなく、ゴルファー世界一の称号を目指すことは金谷にとって“普通”だ。

広島県出身の22歳。ショットとパターの精度の高さと、物怖じしない強気な攻めが最大の持ち味だ。17歳の史上最年少で日本アマチュア選手権を制し、高校生になるとナショナルチームのメンバーとして世界の舞台で戦ってきた。

進学した東北福祉大では日本一を争う「日本オープン」で2位に入り、2019年は倉本昌弘、石川遼、松山英樹以来、アマチュアで史上4人目となるツアー優勝も果たした。

海外メジャーのマスターズトーナメントでも予選を通過し、大学での一つの目標だった世界アマチュアランキング1位の快挙を達成。十分すぎる実績を手に、2020年10月、満を持してプロ転向を表明した。

アマチュアでの実績からいつも比較されるのが、大学の先輩である松山英樹だ。海外遠征の際は、ともに食事をする仲。世界で活躍する松山の存在を「ロールモデルであり、憧れ」と語る。
その一方で「年齢も近い。早くライバルと思われる存在になりたい」とポーカーフェースの裏側には、メラメラとした闘争心も隠れている。

「女子の同世代はもう世界で活躍している。僕も負けていられない」

同学年の女子は、畑岡奈紗や渋野日向子などすでに世界で活躍する「黄金世代」だ。男子ゴルフ界は同じ世代の金谷がけん引する。そんな期待を抱かせる22歳のプロゴルファーとしての歩みに注目していきたい。

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