チャレンジすることによってしか結果は得られない

石川佳純

卓球

2021年1月の全日本選手権、女子シングルスで5年ぶりの優勝を果たした27歳の石川佳純。ここ数年、自身について語られる言葉に苦しんできた。

「ベテランと言われるようになってきて、『若い選手にもう勝てないんじゃないか』とか、『卓球が古い』みたいに言われることもあった。自分自身、だめなのかなと自信をなくした時期も正直あった」

全日本選手権では、4年前に平野美宇、3年前に伊藤美誠、2019年と2020年は早田ひなといずれも当時10代の選手に敗れた。

ミスの少ない確実性を重視した石川のスタイルに対し、速いタイミングで打ち返すスピードと攻撃的なプレーが持ち味の若い選手たち。比較され、結果も出せず、心が折れかけた。石川を奮い立たせたのは、支えてくれたコーチや家族などのことばだ。

「『もっとできるんだから、自分の可能性を信じてやったらいいじゃん』と言ってくれた。それを聞いて、『ああそうだよな、自分で自分を信じなきゃだめだよな』と、すごく前向きな気持ちになれた」

そして若い選手たちの存在が、自分を見つめ直すきっかけになった。

「年齢は若いけど、技術やメンタルがすごく充実している選手がたくさんいる。その中で、自分自身もレベルアップしていかないと勝つのは難しい」

石川は、攻撃的なプレースタイルへの変更を決断。特に、サーブやレシーブを強化し、速い段階からミスを恐れず、攻める意識を高めた。その成果は、1月の全日本選手権の決勝、伊藤との試合であらわれた。

勝負どころで厳しいコースをつくレシーブで攻めた石川。ゲームカウント1対3からの大逆転で伊藤を破った。

「今までのプレースタイルでは難しかったと思う。チャレンジすることによってしか、こういう結果は得られないと改めて感じ、自信になった」

石川は自分の可能性を信じ、これからも進化を続ける。

「もう無理なんじゃないかと思ったこともあるし、言われたこともたくさんある。でも、そうじゃないということを自分自身が卓球を通して教えてもらった。自分が頑張って結果を出すことで、同じ思いをしている人に勇気を届けたい。まだまだやれる。まだまだやりたい」

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