ぶれている場合じゃない。責任と使命をしっかり全うしたい

荒木絵里香

バレーボール

2021年に延期された東京オリンピックに向けて強い気持ちで再び歩みを進めた。荒木絵里香、35歳。バレーボール日本代表のキャプテンだ。

「不安はないといったらうそになってしまいますけど、オリンピックもここでやりますってことがはっきり言われているので、そこに向かってしっかり自分のコンディション、チームとして強化していくことに集中してやることしかできないと思うので、しっかりそこに向かってやっていきたい」

荒木は10代で日本代表にデビュー。2012年ロンドンオリンピックではキャプテンとして日本に28年ぶりの銅メダルをもたらした。

その後、結婚と出産を経験。2020年東京オリンピックは競技人生の集大成と考えていただけに、大会延期には大きく心が揺れ動いた。再び1年後に向けて気持ちを切り替えるきっかけのひとつが、母親の何気ないことばだったという。

「延期になった時に、自分の心がパニックになっているときに、母に『いいんじゃない、やめても』って言われ、いや、やめられないってハッと気づかされた。気持ちはぐらぐらしていたのですけど、そう言われたら、やめるとか無いって思って。自分で掲げたチームの目標があるのに、ここで抜けるっていうこともしたくないしできない。あとで振り返った時に絶対後悔することは間違いないと思った」

荒木は、現在、愛知県内のチームに所属。この春、小学生となった娘は、実家のある千葉県内で生活している。新型コロナウイルスの影響でチームが活動を自粛している期間は、娘と一緒の時間は増えたものの、6月になりチームが練習を再開。再び離れて暮らす日々が始まっている。

「(娘に)寂しい思いさせているのは確かで、すごく胸が痛くなることもあります。今の娘には、多分、伝わらないことが多いと思うんですけど、目標に向かってチャレンジすること、挑戦することを全力でそこに向かってやるっていうことを今本当に自分が体現できる、時だと思う。そこに自分は全力でトライしているっていう姿を見せて、そういうことを本当に娘が10年後か20年後、30年後かもしれないですけど、いつか、いい影響を何かを感じてもらえたら、本当になんでもいいから、そこで感じてもらえるような今を、自分は過ごしたいなと思っています」

荒木にとって4回目のオリンピックとなる東京大会へ。決して後悔はしないと誓っている。

「自分自身、本当にいろいろな人たちのおかげで、ここまでやってこられたという感謝の思いとか、家族のサポート、会社のサポートっていうたくさんの力をもらって今の自分がある。それを全部自分自身のプラスの力に変えて、チームとして最高の結果で終われるように頑張りぬきたいと思っています。ぶれてる場合じゃないって感じです。本当に責任と使命があると思うので、しっかり全うしたいと思っています」

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