円安を加速させる?「貿易赤字」との関係を安藤キャスターが解説

財務省が20日発表した2022年4~9月までの22年度上半期の貿易統計は、輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」が11兆75億円の赤字となりました。比較が可能な1979年以降では年度の半期の赤字として過去最大です。

この貿易収支は今の「円安」と深い関係があり、貿易赤字が続くと、そのことが円安に拍車をかける要因になります。どういうことなのか、安藤隆キャスターが解説します。

エネルギー価格上昇で貿易赤字続く

輸出から輸入を差し引いた「貿易収支」の推移を見ると、最近は輸入のほうが多く貿易赤字の状態が続いています。8月の貿易収支は2兆8200億円の赤字で1か月の貿易赤字としては過去最大となりました。そして9月は2兆940億円の赤字となっています。

貿易赤字となっているいちばんの要因は、原油などエネルギー価格の上昇で輸入額が大幅に膨らんだことです。輸出も増えてはいますが、輸入の急増に追いついていません。

貿易赤字が円安加速の要因に

貿易赤字が続くと、円安に拍車をかける要因にもなります。

日本はエネルギーや食料品の多くを輸入に頼っていますが、その代金はドルでの支払いが中心です。

単純化して1ドルの商品を輸入する場合を考えてみましょう。22年初めには115円ほどをドルに両替すれば支払いができました。しかし今では150円近く(20日午前)を両替しなければ支払いができません。

つまり、円安が進めば進むほど、輸入代金を支払うためにより多くの円をドルに両替しなければなりません。円がよりたくさん市場に出ることになり、そのことがさらなる円安につながるのです。

円安の時に輸入すれば貿易赤字になりやすいですが、円安そのものを加速させることにもなるのです。

これは日本経済が今抱えている構造的な課題とも言えるので、どう向き合っていくか考えていかなければなりません。
【2022年10月17日放送、10月20日情報更新】

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