スタートアップを育てるアメリカの制度「SBIR」とは?

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アメリカでは、ベンチャーキャピタルといった民間からの資金を元手にさまざまなスタートアップが生まれています。

その陰には、国が初期の段階からリスクをとって“小さな事業”を見つけて育て上げる「SBIR」=Small Business Innovation Research(スモール ビジネス イノベーション リサーチ)と呼ばれる仕組みがあります。どんな仕組みなのでしょうか?

「ディレクター」が常に事業の進展確認

プログラムディレクターのベン・シュラグさん(右)

アメリカのスタートアップを支援する制度「SBIR」のプログラムディレクター、ベン・シュラグさん。あるスタートアップのCEOを訪ね、開発の進ちょく状況を確認していました。

このスタートアップは、光ファイバーを敷設する装置を開発しました。光ファイバーは、ケーブルを保護するために一般的に60センチ以上の深さに埋められていますが、この装置では約1センチの深さです。

 

溝を掘ると同時に、紫外線で表面を特殊な樹脂で固めながら進み、ケーブルの損傷を抑え、コストを10分の1にすることができるといいます。道路網を生かして国土の隅々まで通信インフラを広げることを目指しています。

このスタートアップの事業を軌道に乗せたのが、SBIRです。

国立科学財団 SBIR プログラムディレクター ベン・シュラグさん
私たちは資金を提供した企業と常に連絡をとって進展を確認しながら、成功するための支援をしている

段階的な支援の仕組み

SBIRは中小企業庁が統括し、さまざまな省庁が段階的に支援をするのが特徴です。

シュラグさんのようなプログラムディレクターはまず、アイデアの段階からほかにない優れた面を持ち将来ビジネス化できる「シード(種)」を見つけ出します。そして半年~1年で最大27万5000ドル(約4000万円)まで支援します。

その後、成果を確認し成長すると判断すれば、さらに2年間で最大200万ドル(約3億円)を支援します。

最終段階ではビジネス化に向けてマンツーマンでサポートします。

成長を果たすと、民間のベンチャーキャピタルからさらに注目され、事業が発展する可能性が高まります。

SBIRを通じて生まれたイノベーション

これまでもSBIRを通じて数々のイノベーションが生まれています。

民間ロケット会社では宇宙軌道での研究に生かされ…
掃除ロボットを生み出した企業は新しいセンサーなどを開発

シュラグさんがサポートするスタートアップも、いまベンチャーキャピタルからの出資を受けて実用化が進んでいます。

「失敗はむしろ称賛される」

ビジネス化が見えない段階でのサポートを国が担おうとするアメリカ。成功する企業は一握りですが、重要な仕組みだといいます。

プログラムディレクター シュラグさん
アメリカでは、スタートアップの失敗はむしろ称賛される。彼らには高い水準を求めて科学的に評価し、できるだけ自由にさせて、私たちはサポートに徹する

例え失敗してもどんどん挑戦することを国が支援することで、新しいビジネスのアイデアが次々と生まれているようです。

日本でもアメリカのSBIRを参考にした制度が始まっています。国が国にしかできない役割を担って効果的な支援を行えるかが問われています。
【2024年2月27日放送】
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