生成AIを活用した対話のシステムを開発し、顧客の満足度を競うコンペが開催されました。人間と同じような接客はできたのでしょうか?
“ことば以外の情報”どうくみ取る?
名古屋市と福岡市の旅行代理店の店舗で開催された、AIロボットの接客コンペの予選。大学や企業など全国の12チームが参加しました。
各チームが生成AIを搭載した対話システムを開発。用意されたアンドロイドを使って対話を行い、客の満足度で成績を競います。
中には、こんな場面も。「京都タワーに行きたいです」という来店客に対して、AIロボットは…
AIが自然な接客を行うためには、客のことばを理解するだけではなく、表情や話し方など“ことば以外の情報”をくみ取る必要があります。
「うなずき」の動作に注目も…
名古屋大学の学生チームが目指したのは、相手のしぐさを読み取ることです。中でも「うなずき」の動作に注目しました。うなずきの動作は、会話では「承諾」のサインとなります。
客側がうなずいていれば、話を先に進めるというシステムですが、来店客の中にはロボットをいざ目の前にしてほとんどうなずかない人もいます。その結果…
相手の反応がないため、AIロボットは「ここまでのお話はよろしいですか」ということばを何度も繰り返してしまいます。
開発した学生の一人は「たぶんこのまま、10分間これをやるんでしょうね」とがっかり。学生にとっては、つらくも貴重な経験になりました。
相手を「ほめる」作戦の結果は…
また北陸先端科学技術大学院大学のチームは、相手を「ほめる」ことで対話を和ませる作戦を立てました。使うのはカメラの視覚情報です。
このチームは接客の満足度などが高く評価され、ほかの3チームとともに本選進出を決めました。
「AIを将来的な“仲間”に」
コンペの主催者の一人で、対話システムを研究する名古屋大学の東中竜一郎教授は、今回得られた知見を共有し、AIの対話の能力を磨いていきたいと考えています。
名古屋大学 東中竜一郎教授
「将来的に、われわれと一緒に共同作業ができる“仲間”のようなものになるんじゃないかなと。AIと人間が、よりこれまでにできなかったことをやっていく世界をつくりたい」
この対話ロボットコンペティション2023の本選会は、12月23日13時~17時に日本科学未来館で開かれます。
(名古屋局 河合哲朗)
【2023年12月22日放送】
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