飲食店のロボット最前線 熟練技を再現

飲食店などで人の熟練技を再現するロボットの開発が進んでいます。なめらかな泡のビールを熟練の技で注ぐ方法を再現できるロボットや、絶妙な火加減など中華の料理人の技を再現したロボット。人手不足の解消だけではない可能性が広がっています。

職人が注ぐビール ロボットが再現

まずはビールを注ぐロボット。グラスをつかんでまず行うのは、内側を冷水で洗浄し冷やす行程です。これでなめらかに注ぐことができます。

中でも力を入れたのが、つかんだグラスを回転させる動きです。回転させることで過剰な炭酸を抜き、ほどよい味わいにします。

この回転させる動きは、ビアバーを営む職人の熟練した注ぎ方をあらゆる角度で撮影し、注ぐ位置や回し方、速度などを分析して再現しました。

ロボットを開発した会社 中村昌弘 社長
「職人がいなくても、職人と同じビールが注げる状態になっている」

ロボットはその後、最初に出てくる粗い泡を流すためにビールをつぎ足します。

最後に、表面に残った粗い泡を落とし…
グラスの外側を洗浄

人と変わらないスピードで、なめらかな泡のビールが完成するということです。

ロボットを開発した会社では、飲食店などへの導入やビールメーカーとのタイアップも目指しています。

開発した会社 中村社長
「エンターテインメント性もあるので、人の集まる駅とか空港、待ち時間にビールを楽しんでもらう。ニーズがあると思うので非常に商機を感じている」

火力もフライパンの回転も数値化

熟練した料理人の調理工程を再現したロボットもあります。全国にチェーン展開する飲食店が試験的に導入しました。

メニューを選択し、指示に従って食材や調味料を鍋に入れると、自動で調理を始めます。

このロボットが再現したのは、このチェーン店が最も技術が高いと評価した料理人の技です。調理工程を撮影して分析しました。

分析結果は、メニューの調理工程に応じて数値化します。例えばマーボー豆腐。フライパンやヘラの回転速度や火力を細かく設定しました。

マーボー豆腐はとろみを全体に行き渡らせることがポイントですが、ロボットで温度や回転のタイミングが計算され、職人と同じ仕上がりになるといいます。

ロボットでとろみをつける
20品ほど提供することが可能だという

外食チェーン 直営・営業部マネージャー 渡部卓也さん
「技術の継承とか、お客さんに対してクオリティ―、安定した商品を提供していくことを今後も守っていけると思う」

海外展開も視野に

2つのロボットはそれぞれ海外展開も見据えています。職人の味を現地にそのまま持っていけることや、ロボットが好きな外国人に受け入れられるのではないかと見ています。

日本の味は世界で受け入れられているので、海外での反応も気になるところです。
【2023年12月6日放送】
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