ロボットが弁当のおかずや総菜を盛りつけ 人手不足を解消できるか

総菜業界では、慢性的な人手不足が課題となっています。しかし、弁当のおかずや総菜などの食べ物を見栄えよく盛りつける作業は自動化が難しく、手作業に頼らざるを得ないのが現状です。そんな総菜づくりの現場に、ロボットの導入が始まっています。

から揚げや盛りつけスペース AIが画像認識

熊本市の食品会社「ヒライ」の工場。従業員に交じり、おかずを弁当の容器に盛りつけるロボットが3月から導入されました。両方のアームでから揚げをつかみ、容器の決まったスペースに盛りつけています。

この動作を可能にしたのがAI=人工知能です。ロボットの頭部に設置されたカメラがから揚げを写し、AIによる画像認識で一つ一つを見分けます。

そして、ロボットの胸のカメラで写した弁当の容器の画像から、AIが盛りつける場所を認識します。

このロボットはから揚げ以外にも、ミニトマトやいなりずしなどの食品も盛りつけることができます。

総菜業界 慢性的な人手不足

ロボットを導入した食品会社の社長の平井浩一郎さんは、日本惣菜協会の会長も務めています。惣菜協会は経済産業省や複数のロボットメーカーなどと連携。チームを組んで、盛りつけ作業の精度や効率を確かめています。

ロボットの普及によって、総菜業界で課題となっている慢性的な人手不足の解消につなげていくねらいです。

食品会社 平井浩一郎社長
「これ(ロボット化)をやらないと本当に将来がない。今回のトライを一つのきっかけにして(人手不足の課題)解決の糸口にしたい」

普及へ作業の効率化アピール 導入コストなど課題

このチームは新たなロボットも開発しました。ポテトサラダを盛りつけるロボットです。大手スーパー「マックスバリュ東海」の静岡県長泉町の工場で3月から導入され、1時間に約250パックを盛りつけることができます。

ポテトサラダの盛りつけをロボットで行うには壁がありました。粘りけがあるため、サラダをつかむとこびりついてしまうのです。

今回開発されたロボットはセンサーで重さなどを検知し、アームで定められた量をつかみます。盛りつける際にこびりついても、アームが振動して振り落とします。

ロボットの導入によって、これまで7人必要だった作業を3人でできるようになりました。導入したスーパーは、その分商品開発などに携わる人員を充実させていきたいと考えています。

大手スーパー 平親勝美部長
「1社単体では解決しづらいことがある。業界全体でクリアしていこうと。実際、効率が上がったことをアピールすることで普及につながればいい」

取材した2つのロボットは、さまざまな食品工場のラインに持ち込んで使えるタイプにしようとしています。ロボットを普及させるためには価格をいかに下げるかが課題で、チームではその方法も模索していきたいとしています。
【2022年5月11日放送】