企業のEV導入 助けます

業務用車両のEV(電気自動車)化を検討する会社が増えています。しかし、コストや運用への不安から断念する会社が少なくない中、お助けサービスが登場。ガソリン車をEVに改造したり、EVの導入にかかる充電インフラの整備などの手間を一手に引き受けたりして、需要に応えようとしています。

ガソリン車をEVに改造 営業車で実証実験

大手通信会社の営業車は一見ふつうのバンですが、車内に交換式のバッテリーが積まれています。

営業車に積まれた交換式バッテリー
内部はこのようになっている

この車は、もともとガソリン車だったバンをバッテリー交換式のEVに改造したものです。この通信会社が今、実証実験を行っています。

大手通信会社 村中裕子 主査
「カーボンニュートラルに貢献できる施策を検討したいということで始めた」

新車を買うより安くなる?

車を改造したのは、EV専門のベンチャー企業で、2024年1月にサービス開始を予定しています。顧客が持ち込んだ車を3日ほどでEVに改造することができて、費用は新車のEVを買うより大幅に安いといいます。

例えば、シートの下、もともとエンジンが入っていたところに…
モーターを設置

値段と手軽さがうけて、運送会社などから100台以上の注文が入っているそうです。

EV専門のベンチャー企業 佐藤俊 事業本部長
「もともと使っているガソリン車をアップグレードして使っていただくことができる。そういうところを非常に評価していただいている」

充電インフラ整備や運用支援を引き受けるサービス

EVの導入にかかる手間を一手に引き受けようというサービスもあります。大手運送会社の配送センターでは、14台のEVを導入しました。

大手運送会社 宮原 朗 運行管理課長
「カーボンニュートラルの取り組みを積極的に行っている企業と取り引きしたいという傾向は強くなっている」

しかしEVの台数が多くなるほどバッテリーなどの管理が難しくなります。そこでこの運送会社は、商用EV専門の管理会社のサービスを頼ることにしました。

管理会社がまず行ったのは、充電インフラの整備です。必要な電力を計算して、それをまかなうための設備を整えました。

新たに変電設備を設置
電線も新しく引き込んだ

この管理会社はEVの運用の支援も行います。専用のソフトウエアで効率的にバッテリーを充電することで、電気料金をなるべく抑えられるよう工夫しています。

専用のソフトウエアで効率的にバッテリーを充電

さらに、配達中の車のバッテリーの状態をリアルタイムで追跡し、バッテリー切れなどの異常があれば運送会社に伝えます。

将来的には、ルートや積載量によるバッテリー消費量をデータ化することで、運用をさらに効率化できるといいます。

商用EV専門の管理会社 山岡 佑 マネージャー
「EVへの切り替わりで、今まさに使われている車のオペレーションが大きく運用が変わる。導入から運用までをサポートする形が求められていくと考えている」

管理会社とともにサービスを提供している商用EVメーカー 小間裕康 代表取締役CEO
「電力をきちんとマネージメントすることで電気代をうまくコントロールしながら、さらに運営のコストを下げていく」

EVを導入したいと思っても、どう踏み出したらいいか分からない事業者もいると見られ、こうしたサービスの需要が広がるかもしれません。

大手メーカーも、EVに電動バイクのバッテリーをそのまま使って荷物を配達する実証実験を行っています。

充電設備といったインフラの整備ももちろん必要ですが、実際に導入してからのソフト面のサービスも求められているのかもしれません。
【2023年12月18日放送】

あわせて読みたい