ロータリーエンジン11年ぶりに復活!脱炭素の戦略は?

自動車メーカーのマツダが、1960年代に世界に先駆けて市販車に搭載した「ロータリーエンジン」は、ピストンが上下に動くのではなく、“おむすび”のような形をした三角形のローターが回転するのが特徴です。

このロータリーエンジンが11年ぶりに復活することになりました。車の電動化の動きを背景に、独自の技術を発展させる戦略とは?

ロータリーエンジン

ロータリーエンジンを「発電機」に 独自の電動車販売へ

マツダは復活したロータリーエンジンを搭載した新しいモデルを販売すると発表しました。広島県府中町で行われた記者発表の場で、小島岳二専務は次のように述べました。

自動車メーカー 小島岳二専務
「ロータリーエンジンを搭載して、EVとしての使い方を拡張した独自の新しい電動車として、国内に導入していく」

今回搭載される車はプラグインハイブリッド車用途は発電機で、ロータリーエンジンの回転で発電しモーターで走らせます

ロータリーエンジンを「発電機」にする

50リットルの給油と外部からの充電で、800キロの走行が可能になる計算です。

メーカーは、多用なニーズに合わせた電動車の開発にロータリーエンジンの新たな活用が欠かせないとしています。

小島岳二専務

小島専務
「電動車に行く道すがらの、今、トランジション・経過の時期だと考えている。将来にわたってカーボンニュートラルを達成していくうえで多様な選択肢の一つに位置づけられる」

“夢のエンジン” 燃費が悪く生産終了したが…

ロータリーエンジンは、56年前に初めて市販車に搭載されました。ピストンが往復する通常のエンジンと異なり三角形のローターが高速で回転するのが特徴で、メーカーが独自に開発しました。

56年前に初めて市販車に搭載された

当時、小型で軽量化を達成しながらも高い出力があったことから“夢のエンジン”とも言われました。

しかし通常のエンジンに比べ燃費で劣ったため、2012年に生産を終了していました

高出力でコンパクト 利点を再び活用

独自の技術を未来に生かすことはできないか。技術者たちが目を付けたのが、一定の高速回転で効率よくエネルギーを生み出せる特徴です。

もう一つ有利になると考えられたのが、コンパクトさです。プラグインハイブリッド車は、モーターのほかにバッテリーや発電機など多くのユニットを搭載させる必要があるためです。

さらなる軽量化を実現

今回、さらなる軽量化にも力を入れました。エンジンの心臓部「サイドハウジング」と呼ばれる部品の素材を見直し、鋳鉄からアルミに変更しました。

懸念された強度を高めるため、表面には特殊な金属を溶かして吹き付けた薄い層をつくりました。

こうした努力で約15キロの軽量化を実現し、走行距離を伸ばすことが可能になりました。

「独自の価値」で戦う

メーカーは、電動車の開発が世界で加速する中、独自の技術を発展させることで他社との違いを打ち出していきたいとしています。

小島専務
「われわれも自動車業界の中では比較的規模が小さなスモールプレーヤーだと認識している。独自の価値が必要になってくる」

メーカーでは、ロータリーエンジンの燃料に次世代エネルギーの水素などを活用できないか、さらに技術を深めていこうとしているということです。
(広島局 児林大介)
【2023年9月15日放送】
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