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アメリカのテスラの新車販売台数が失速し、EVシフトにブレーキか?とも言われていますが、そうした中で勢いを見せているのが中国のEVメーカー、BYDです。
2023年10月~12月の販売台数は52万6409台と、テスラの48万4507台を上回り、世界1位に躍り出ました。その勢いは、日本市場ではどうなっているのでしょうか。
価格・寿命を売りに
東京・目黒区に4月、BYDの販売店がオープンしました。普通車のEVの小売価格は360万円~450万円程度で、競合する他社のEVより比較的安い価格で販売されています。
最大の売りは独自に開発したバッテリーです。メーカーは、一般的なEVより寿命が長いとしています。
来店客の1人は次のように話していました。
購入補助金引き下げも…出店攻勢かける
国は2024年度、EVの購入者に対する補助金の条件を見直しました。BYDは充電設備の設置などEVの普及に向けた取り組みが不十分だと判断され、補助額が85万円(23年度)から35万円(24年度)に引き下げられました。
それでもこのメーカーは、2025年末までに正規の販売店の数を今の4倍の100に増やす強気の計画です。
ビーワイディージャパン 劉学亮 社長
「(補助金が減るのは)お客さんにとってはちょっと残念だなと。多くの選択肢を日本の消費者に提供していこうというのが私たちの考えであって、電気自動車にまず乗っていただくのがすべてだと思う」
国内EVバス シェア8割
このメーカーは、日本ではまだブランドの認知度が高くありません。市場を開拓するためにまず取り組んできたのが公共交通の分野でした。
東京都内のバス会社は2023年、このメーカーのEVバスを3台購入しました。1日に1回4時間ほど充電すれば、従来のバスと同じように走行できるといいます。
バス運転手の1人は「モーターで、ギアのつながりがないから、乗っている雰囲気は滑らか」と話します。
このEVメーカーはこれまでに日本国内でEVバスを200台以上納入し、国内のシェアは8割を超えるといいます。
劉社長
「バスも当然ながら(乗用車も含め)オール電気自動車で、これから日本社会すべての面において何か貢献ができたら」
乗用車EVでも「一角を占める可能性」
乗用車のEV市場でも日本でシェアを伸ばせるか。専門家は次のように指摘しています。
自動車産業に詳しいアナリスト 中西孝樹さん
「長い目で見るとEVも性能が上がっていくし、コストも下がるということを考えれば、日本の市場、EVは右肩上がりで伸びていく。その中で商品力だとか、EVに特化したブランド、こういったものでBYDがその一角を占める可能性はある」
「日本メーカーは競争力ある商品を」
そのうえで、日本の自動車メーカーはこうした中国メーカーの動きに目を向け、危機感を持って開発を強化する必要があるといいます。
アナリスト 中西さん
「中国(メーカー)に対して、ちゃんと競争力のある商品と事業を展開しないと、5年10年先を見据えればEVは真剣に取り組まなければいけない。ここを追いつくチャンスだと考えることが非常に重要」
この中国EVメーカーは、日本車の牙城だった東南アジアでもEVで急速にシェアを拡大しています。日本の自動車メーカーがどう対応していくのか、注目されます。
(経済番組 佐野嘉紀)
【2024年5月8日放送】