緑内障や白内障を早期発見へ 目の検査の最新技術

目の病気は、患者が症状に気づきにくかったり専門医が少なかったりといった理由で見過ごされている可能性もあるといいます。最新技術で目の病気を早期発見しようという取り組みが今、行われています。

緑内障 新しい検査機器で早期発見を期待

東京・江東区の眼科クリニック「南砂町駅前 にこにこ眼科」は、導入が広がっている、「緑内障」の新しい検査機器を使っています。

緑内障は目の神経が傷つき視野が欠けていく病気で、悪化すると失明にもつながりますが、症状に気づきにくいといいます。

両目では欠けた部分を補い合って見ているので、緑内障に気がつかないこともあるという

しかし緑内障の診断に必要な視野の検査は、暗室や大きな機器を使うため、その数が限られていました。

新しい検査機器は、ゴーグル型にすることで光を遮り、明るい場所でも検査が可能になりました。

ゴーグル型の検査機器
暗室ではなく、明るい場所で検査が可能に

また視野の検査は、さまざまな角度でどう見えているかを測る必要があり、立体的な空間が必要です。新しい検査機器は特殊なレンズで光を屈折させることで、平面的な液晶ディスプレーでも高い測定精度を実現しました。

東京・江東区の眼科クリニック 志和利彦 院長
「診察室の片隅で簡便に視野検査ができるのが、最大のメリット」

この検査機器を開発したベンチャー企業「クリュートメディカルシステムズ」は今後、健康診断などに導入を進めて緑内障の早期発見につなげたいとしています。

ベンチャー企業 江口哲也 社長
「いろいろなところで本人に(病気の)気づきを与えて『あれ、見えてない。ちょっとまずいから眼科へ行こう』と、こんな形で眼科に誘導していきたい」

ドライアイや白内障 スマホ使ったシステムで診察

眼科医の診察を簡易に受けられるようにする技術開発も進んでいます。スマートフォンで目の動画を撮影し、それを医師に送ることで診察してもらうシステムです。

撮影は、目に光を当てる専用の機器をスマホにつけて行います。事前に専用の目薬を差し、青いフィルターを入れて撮影すれば、目の表面の傷が分かってドライアイの診断が可能になります。

またアクリルの棒をセットすればスリット上の光になり、その反射から白内障の診断ができます。

この機器は、眼科医が設立したベンチャー企業「OUI Inc.」が開発しました。離島や発展途上国など眼科医の少ない地域を中心に役立てたいと考えています。

ベンチャー企業 清水映輔 代表取締役
「日常の『QOL(生活の質)』や『ADL(日常生活動作)』を向上させるために、このデバイスは非常にチャンスだと思っていて、予防という文脈で治療を届けるのがわれわれの使命だと思っている」

このシステムは、日本国内の離島のほか、すでにアフリカや東南アジアなど30か国で利用されています。

ケニアで活用されている様子

今後は、スマホで撮影した動画をAIが分析して医師の診断を手助けする機能も開発しているということです。

人生100年時代とも言われる中で、目の健康を守るための技術開発が進むことが期待されます。
【2023年8月17日放送、初回放送6月12日】
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