北海道 チャイナマネー再び

北海道と中国を結ぶ空の便の運航再開が相次ぐ中、中国人による道内をターゲットにした投資が活発になっています。

ニセコエリアに投資熱再び

北海道の新千歳空港。道内で不動産会社を経営する中国人男性が、中国の富裕層を出迎えていました。美術品などのコレクターの男性や、香港の投資ファンドのナンバー2とその妻が訪れました。

案内したのは「ニセコエリア」です。この地区では以前から、中国を含む海外資本によって投資や開発が相次いでいました。コロナ禍でいったん投資は落ち込みましたが、水際対策が緩和されたことで、今後経済が再び熱くなると見込んでいるのです。

「高い建物は分譲で販売しているマンション型ホテル」などと説明を受けていた
冬季のニセコは海外のスキー・スノボ客らに人気

取材した日に一行が内見したのは、シンガポールの企業が開発したコンドミニアムです。2つの寝室がある部屋は分譲価格が約4億円。オーナーが使用しない時は宿泊客に貸し出し、利益を上げる仕組みです。

高級コンドミニアムの室内を内見する中国人投資家たち

案内した不動産会社の経営者は「ニセコは人気が爆発しているから、冬の(宿泊)予約はもういっぱい」「4月まですでにいっぱい」と説明。これに対し投資家らは「もう冬の予約がいっぱい?」と驚いていました。

一行は自信を深め、今後、不動産価値が高まれば高値で部屋を転売できると期待していました。

中国人投資家の男性
「コロナの影響はそれほど大きくない。すでに終わり、新しい1ページが開けた。非常に期待している」

“セカンドニセコ” 中国マネー流れ込む富良野

北海道富良野市には、ひと足早くチャイナマネーが流れ込んでいます。香港の資本が開発し、2022年12月に開業したホテル型のコンドミニアム「フェニックス・ウエスト」は、1部屋ずつ分譲で販売したところ、22ある部屋の多くを中国本土の投資家が購入したといいます。

コンドミニアムの室内。価格は「軽く1億円は超える」という

夏はラベンダー、冬はスキーと通年型観光が可能な点に、投資家たちは将来性を見ているのです。

ホテル型のコンドミニアム ジャエン・スレスタ総支配人
「富良野全体そうだが中国のオーナーに人気があって、“セカンドニセコ”みたいな形で、やはり投資目的」

専門家「乱開発・経済安全保障への抵触避けて」

専門家はこうした投資が地域の雇用や税収にプラスの効果をもたらす面があるとする一方、気をつけるべき点もあると指摘します。

事業構想大学院大学 髙橋克英 客員教授
「いちばん、まず避けたいのは乱開発。乱開発されてぐちゃぐちゃになるのはいちばん避けたい。さらに必ずアウトというのは、経済安全保障にかかわるようなもの」

経済安全保障にかかわる具体的なケースは、例えば、海外からの投資マネーが自衛隊の基地や原子力発電所など重要な施設の周囲に及ぶ場合が考えられます

アメリカでは、基地周辺の広大な土地を中国国籍の人物が購入したケースが明らかになるなど警戒感が広がっていて、日本でもこうした問題について意識を高めたほうがいいかもしれません。
(札幌局 川口朋晃)
【2023年8月4日放送】
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